新しい日々



封印・再び



第11話 封印・再び

 ゴゴゴゴゴゴッ・・・・・
「くっ!抑えきれないっ!」
「くそっ、一番厄介な封印が!」
5つの人影は、目の前で揺れて今にも壊れそうな棺にてを掲げながら毒づいた。
「ちっ!俺たちだけじゃ止められない・・・・翼王!誰でもいい、外に出て
力ある者を少しでも多く呼んできてくれ!」
「しかし、そんな事をしたら封印が・・・・っ!」
翼王と呼ばれた銀髪の男が、否定しようとすると。碧の目と緑色の髪の男・碧王が叫んだ。
「何もしなくては、第二の封印が解けるだろうが!頼む、できるだけ速く力のある者を!」
「・・・・・わかりました。できるだけ速く探してきますっ!皆、踏ん張ってくださいよ!」
翼王は、足元に光を放つ陣を形成し、すばやく外へ瞬間移動した。
「さて、俺たちだけで止めてられるかな?」
「蒼王、無駄な口を叩くな!それに、止めなくては世界が・・・・」
「そうだな・・・すまなかった壁王。さぁ!全力で行くぞ壁王、焔王!」
蒼王が叫ぶと、蒼王より少し若い焔王が答えた。
「うっせー!言われなくても全開だぁぁぁ!」
その返事を軽く聞き流し、心の中で囁いた。
(頼んだぞ翼王!)
パリパリパリ・・・・カッ!
「く・・・そ、封印がっ!」
ドコォォン!!

同時刻 符縛温泉旅館
 
「一体何が起こったんだー!」
たかしが、走りながら頭を押さえて叫んでいるとうるさそうに振り返り
出雲が返答した。
「知りませんよそんな事!それに、うるさいから叫ばないで下さい!」
たかしは、なにぉー!とか叫びながら反論しようとしたが、見事につまずきこけてしまった。
「まったく、喋りながら走るか・・・ら!?」
バタン!
「死なば諸共だ・・・」
言葉どおり出雲はたかしに足を引っ張られて道連れのような形になった。
「なっ何をするんですか!貴方がこけた事は私には関係ないでしょう!?」
「うっせー!お前が文句言うからだーっ!」
出雲の正論にたかしが屁理屈で対抗している間に、太助たち(ルーアン・呼一郎を除く)は、
廊下先の階段を下ろうとしていた。
「ちょ!まってくださいよ!」
「俺たちをおいて行くなー!!」
ズドドドドド!!
先ほどの口喧嘩の事を忘れる事にして、二人は後を追いかけて走って行った。
たかし達を待つためにソコで立ち止まった中
「それで七梨、裏庭へ行ってどうするんだよ?」
と、山野辺が太助に質問すると真剣そうな顔をして答えた。
「何かいやな予感がするんだ。それに、さっきの揺れの時に嫌な気配がしたんだ」
「なんだそりゃ?」
太助の返答に、まったく理解できなかったのか。頭の上に『?マーク』を浮かべて言った。
「それに関しては、私も同感です。あの時と同じような・・・それに風が、震えています」
飛欄が顔色を悪くしながら言うのを見て、太助は頷き言った。
「そうなんだ・・・・あの時、『遺跡』で感じたあの嫌な気配ととても似ている」
予想もしなかったその言葉に、一同は絶句した。
「そんな!それでは、ここにも封印があり、それが解けたと言うのですか!?」
いつの間にか追いついていた出雲が動揺しながら、叫んだ。
「わかりません。ですが、確実に封印と関係がある事は確かです」
そのとても信じられない答えに、「そんな・・・」と呟き、顔を青くした。
「だけどほっとけないだろ、一度関わってしまった事なんだから」
「そうですね。それにあの式神達が話してた内容だと、放っておけば日本が危険です。
何とかして止めなくては!」
太助と飛欄の会話を聞いて、一同は諦めたのか。「仕方が無いか・・・」と呟いて再び走り出した。
「太助様、こちらは良いとして、ルーアンさん達はどうするんですか?」
・・・・・
一同は皆同じ顔をして呟いた。
「「「「「「忘れてた・・・」」」」」」

同時刻 食堂

「・・・わ・・・」
「わ?」
呼一郎は目の前でお好み焼き(何故?)を見ながら呟いていた。
ルーアンは徐々に体を戦慄かせていき、そのうち『ブチ!』と言う音が聞こえたのは
呼一郎の気のせいだろうか?
否、それは正しかった。
「私のお好み焼きに埃がーーーっ!!!」
ルーアンは、泣きながら天井を見上げた。
「誰よ!こんな爆発っぽい事した奴はっ!」
「ルアーンセンセー。ぽい事じゃなくて、爆発ですよー。それに、なんか日本語変でしたよ?」
呼一郎は、冷静に現状(および注意)をルーアンに言ったが、そんな事は最初から聞いてなかったように叫ぶ。
「よくも私のお好み焼きをこんなにしてくれたわねー!!絶対見つけ出して陽天心で懲らしめてやる!!」
今にも爆発しそうな勢いでいきなりルーアンは、走りだした。
「あっ!待ってくださいよールーアンセンセー」
呼一郎は泣きながらルーアンを追いかけて走り出した。
(でも、ルーアンセンセー場所わかるのかな?)
呼一郎の心のささやきに答えるかの如くいきなりルーアンは立ち止まり呼一郎に聞いた。
「ねぇ、遠藤くん」
いきなりたずねられたことに少しビックリしたが、すぐに目をきらめかせて聞いた。
「なんですか?ルーアンセンセー」
「・・・爆震地何処?」
・・・・・・
呼一郎は予想にはしてたが、まさかいきなり聞かれるとは思っていなかったので、少し沈黙して答えた。
「この旅館の裏の方でしたよ」
(やっぱり分からなかったんだ。ルーアン先生・・・でも、いいや!)
ダダダダダ!
「主殿、ルーアン殿がいたぞ!」
ルーアンと呼一郎は、声のした方を向いて見ると、キリュウ達が走ってくるのが見え、ルーアンはやはりと言っていい程の速さでスピードで太助に抱きついた。
「たー様、私のお好み焼きがー!」
いきなり意味の分からない事と、抱きつかれたことにより自然と声を大きくした。
「離れろルーアン!今は大変な時何だ!っていうよりお好み焼きって何だー!?」
「たー様、お好み焼き知らないの?」
「そういう事じゃなくってー!取り合えず行くぞ!話は走りながら話す」
太助は、ルーアンに告げると再び走り出した。
ルーアンは、
(なんでたー様とその他大勢が急いでの?)
と、思い聞いて見た。
「で?たー様、何があったの?」
太助は、少し真剣そうな顔をして言った。
「ああ・・・・実はさっきの爆発の時に微かだけど、あの封印されてた魔物の気配がしたんだ」
ルーアンは、驚き聞き返した。
「それって、封印が解けたってことよね・・・・フッ!お好み焼きの怨み思い知らせてやる!」
(・・・問題はそっちじゃないような・・・お好み焼きって・・・・それ以前に旅館にあるか?そんなもの)
太助は、呆れつつも受け流し、今は裏庭を目指すことに集中した。
「太助様、そろそろ着きますよ!」
「ああ、いきなり現れたらあれだし、飛欄!風で分らないか?」
飛欄は、今やってますと言って風に耳を傾けるのに集中した。
「一人誰か倒れてます。これは・・・・敵意はありません。おそらく大丈夫でしょう」
「そうか」
廊下を曲がると、裏庭への入り口があり、そこに入ると太助達は、驚いて立ち尽くした。
「なっ・・・・何だよこれ・・・・」
たかしが、呟きながら眺めている所には、直径15メートルほどの大穴が開いていた。
「・・・・!七梨、人が倒れてるぞ!」
山野辺の言った通り、一人見覚えが有る男が倒れていた。
太助達は、大丈夫かどうか確認し近づくと、その男の正体に気付いて驚いた。
「・・・・!翼王さん!?どうしたんですか!しっかりしてください!!」
すると、倒れていた男・翼王は、目を開けた。
「君は・・・・・確か第一の遺跡の・・・・・」
虚ろながらも、太助の顔を見ながら言った。
太助は、危険な状態と認識したのか、すぐに自分たちの部屋に運ぼうと思い、立ち上がって翼王を運ぼうとするが、翼王は「待ってくれ・・・」と静止をかけてきた。
「私の事はいい、それよりもあいつらの・・・・蒼王達の所へ行ってくれないか・・・?」
皆は、それがどう言うことか瞬時に理解し聞いた。
「翼王殿、やはり封印が解けたのか・・・?」
・・・・・・
少しの沈黙の後、重々しく口を開いた。
「恐らくは・・・・私は私達だけでは押さえるのが無理とわかり、力ある者を探しに地上へ転移したのですが、瞬間爆発が起こり巻き込まれました。あの爆発は、封印のとけた時に生じた空間の歪みによって生じたもの、と考えるのが妥当でしょう」
やはり・・・という、顔の中、飛欄が聞いた。
「と、仮定しますと・・・私たちが行きましょう。それしかないですし、いいですよね?主様」
静かに、ああ・・・・と呟き続けていった。
「不本意だけどな、この場でそんな事ができるのはシャオ達だけだ・・・本当ならこんな危険な事させたくないけど、でないと世界が危ないだろ?・・・・・それでいいですか、翼王さん」
「ええ・・・・君達からは何か私達と似た力を感じる。君達は、式神か精霊なのでしょうが、気を付けてください。奴は並大抵ではない、たとえ貴方たちでも下手をしたら死にかねません・・・」
その言葉を聞くと、シャオに長沙を呼んでもらって、手当てをし部屋に寝かして、再び大穴へと帰ってきた。
「・・・・主様、ここの穴から落ちればすぐらしいです」
風に聞いたのか、オ穴に視線を向けながら太助に告げた。
「皆、覚悟はいいか?」
「おう!もちろんだぜ!俺の熱き魂でどんな奴も吹き飛ばしてやる!」
「ルーアンセンセーとなら僕、何処にだって行くよ!」
「不本意ながらも、私も神に使える者としていかねばならないでしょう」
「不本意なら来るなよ・・・・シャオ、むちゃだけはするなよ・・・」
「分ってます、翔子さん。太助様、行きましょう!」
皆は決意を声にして言い、それを聞いて叫ぶ。
「よし!いくぞ、皆!」
「「「「「「「おう!(はい!)」」」」」」」
そして太助達は、穴に飛び込んだ。

あとがき

スランプ常習犯かつ受験生とか言い訳してる作者アキトです。
なーんか、短い上時間がかかりました・・・が!区切れがいいので12話へ〜♪
すみません、ゆるして、真面目にやれとか思っているでしょうが真面目です。許してくれる人、または12話を楽しみにしてくれる人に陳謝っ!何故長くなったかと言うと、それは
断じてゲーセンの方に気が行ったりなんてしてな・・・・ゲフンゲフン!!いや、なんでもないです。
では、また12話で逢いましょう!

2004年3月10日アキト作