危険な試練(3)



第7話 危険な試練(3)  

 ピピピピピピピ
「うっ・・・・・う〜ん」
バサ   パチ
「う〜ん、よく寝たぁ〜・・・・」
太助は寝ボケながら着替え始めた。
「ん?何かいや〜な予感がするなぁ〜・・・・・」
バン!!
「たー様ぁ〜ん!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!?」
「たー様、昨日何処どこ言ってたのよ〜!」
「ちょっ!離れろルーアンまだ着替え中だぞ!」
「照れなくてもいいのに〜」
「いいから出けぇ〜!」
バタン!
「ったくも〜朝っぱらからうるさいなぁ〜」
愚痴を言いながらも着替えを終わらせて一階に降りていった。
ガチャ
「おはよ〜」
「おはようございます太助様」
「おはよう主殿」
「おはようございます主様」
「あれっ?めずらしいな〜キリュウがこんな朝早くに起きてるなんて」
「そうか?」
「うん」
「そうか・・・私が早く起きるのはめずらしいのか」
「いやなにもそんなに悩まなくても・・・」
「たー様さっきっからあたしのこと無視してない・・・?」
「・・・・そんなことないさぁ〜!」
「じゃあ今の間は何よ」
「うう・・・そっそれは」
「皆さん朝ごはんが出来ましたよ〜」
「えっ?いっただっきま〜す!」
ソファーからテーブルまでの移動時間なんと1秒しかかかってなかった。
「はやっ!でも助かったぁ〜」
「太助様どうしたんですか?」
「なんでもない、今行くよ」
太助は心の中でため息をつきながらテーブルに座った。
「いっただっきま〜す。おお、離珠サンキュ〜」 
「(どういたしましてでし)」
「そういえば何時頃家を出るんだ?」
「9時頃だ」
「9時?ちょっと遅いんじゃないか?」
「いえ、体調を整えて試練を受けた方がいいので」
「そうか・・・わかった(って!ルーアンが居るのにこんな会話してたら絶対ついてくるよ!)」
「ガツガツガツガツ!おかわり!」
「はい、どうぞ」
「ありがと、ガツガツガツガツガツ!」
「ホッ、どうやら食べるのに夢中で聞いてなかったのか・・・」
「どうしたんだ主殿」
「いっいやなんでもない!」
「そうか?」
ガタン!
「はぅ!お腹が〜!!」
ガチャ!ドタドタドタ!バン!バタン!
「毎回同じ事してよくあきないなぁ〜」

食後

「よし!そろそろ時間だぞ!」
「気合が入ってるな主殿」
「まぁ〜な、最後の試練だしね。気合入れなきゃ危険でしょ!」
「そうですね。逆に言うと気が抜けたら危険ということですけど」
「おっ脅かすなよ飛欄」
「脅しじゃないですよ?ですから気を抜かないで下さいね」
「おっ、おお」
「それでは行くとするか」
「そうだな」
太助達は庭に出ると昨日と同じ場所に向かった。
ちなみに乗り方は昨日と同じ。
「そう言えば今日の最後の試練は昨日の試練の応用みたいなこと言ってたけどそんなに難しいのか?」
「はい、昨日のことがちゃんと身についていなければ「超」が付くほど難しいです」
「そんなに!?」
「大丈夫ですよ。昨日やったばかりですしそれに出来ても身に付くまで 止めませんでしたから」
「そっ、そっか〜まぁがんばるよ!」
「そうか、ならば手加減はむようだな」
「え!?」
「冗談だ」
「なっなんだ・・・・(冗談に見えなかった)」
「さあ付きましたよ」
地上に降りると飛欄は何かを探し始めた。
「何をしているんだ?飛欄殿」
「ああ、キリュウさんお願いが有るんですがいいですか?」
「ん?べつにいいが」
「ここらへんで丈夫な木って分かりますか?」
「分かるがどうするんだ?」
「教えてください」
「ああ・・・・(なんだか、花織殿に似てきたよう気が)」
「これですか?」
「ああ、それだ」
「そうですか。では準備にかかりますか」
「え?」
「『我が周り踊り舞う風たちよ我が命により彼の物を切り裂け』切刃風!」
飛欄の周りの風が集まり目の前の木を切断し何かの形にした。
「よし、これに少し風を纏わせて耐久度を上げてっと」
「なっ、どうやったんだ?これ・・・・」
「カマイタチですよ、風達に頼んで木を木刀の形切ってもらったんです」
「ほぇ〜すごいんですね風さん達は」
「ほんとだなぁ〜」
「そんなことないですよ」
「で?何に使うんだ?」
「後で説明しますよ。それじゃあひとまず広場(荒地)の真ん中に行きましょう」
飛欄はそう言うと広場の真ん中を目指して歩いていった。
「それでは試練の説明をします」
「ああ頼む」
「今回の試練は昨日も行ったように今までの応用です。まず私がこの森のどこかに隠れます。10分経ったら私の気配をたどって探しに来て下さい、もちろんそれと同時にキリュウさんが投石や他のものを巨大化させて攻撃します。私を発見したら気配を完全に消しこの木刀で私に一太刀でも入れられたら試練終了です」
「なっ、木刀なんかで人たち入れたら危ないよ!」
「大丈夫です。ちゃんと風陣槍で防御しますから」
「・・・・・・わかった」
「それじゃあ早速開始します。準備はいいですか?」
「OK」
「それでは第三の試練始めます。では私は隠れるので又後で出会いましょう」
「ああ、って早!?」
太助が返事した時にはもう飛欄の姿は豆粒ほどの大きさになっていた。
「飛欄、足早いなぁ〜シャオ知ってたか?」
「いえ知りませんでした。ほぇ〜もう見えなくなってしまいました〜」
「さて準備体操でもするか。10分経ったら教えてくれ」
「分かりました」
「1・2・3・4・5・6・7・8・・・・・・・」
「何でやめるんだ主殿?」
「いや、さっきから飛欄の気配を追ってたんだけどさ、いきなり消えたんだよ気配」
「そういえば伝言があった。『3分ほどしたら気配を消すから追っても無駄ですよ』
と言っていた」
「はっ!?それじゃあ探せないじゃん!」
「10分立ったら又気配を出すそうだ」
「そうか、あ〜ビックリした〜気配を感じないのに探せって言われてもな〜」
「それより主殿、準備運動はいいのか?」
「そうだった。1・2・3・4」
「太助様、時間です」
「5・ってもう!?」
「はい」
「試練だ、耐えられよ」
「うう〜・・・じゃ、始めるか!」
「うむ、では始めるぞ。万象大乱!」
「おぉぉぉぉ!はやっ、ちょ、待てぇぇぇぇぇぇ!」
「問答無用!万象大乱!」
「うぉぉぉぉぉ!?くそ、やるしかないか!」
「太助様頑張ってください!」
「おう!」
太助は何とか投石(岩石並)をかわしながら森に入っていった。
「うおぉぉぉぉぉ!くそっ、かろうじて気配は分かるけどキリュウの投石を避けるので集中できない。って、おぁぁぁぁぁぁ!?」
「主殿、考え事などしていると怪我をするぞ!」
「くっそぉぉぉぉ集中だぁぁぁぁ!」
「・・・万象大乱」
「あ!?うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「万象大乱」
「えっ!?あぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まだまだ試練が足りないな主殿!」
「集中だぁ〜・・・・・左ぃ!」
ドスン!
「右ぃ!前っ!左ぃ!」
ドスン!ズドン!バキィ!
「くそぉぉぉぉ!飛欄は何処だ〜!?」
「万象大乱!」
「下だぁ〜!!」
ズズズズズズ!
「そんなことでは飛欄どのは見つからないぞ!」
「はぁはぁ・・・・ん?この気配は!よし!」
「むっ、気配を消したな主殿。飛欄殿が見つかったのか」
ザザザザザザザッ
「近い・・・・・右斜め前方のほうから気配が・・・・」
ザザザザザザザッ
「いた!」
ザザザザザッ・・ドッ!
太助は木刀を構え跳躍した。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
ガキィン!
「気配が消しきれてませんよ主様」
「ちっ!はぁ!」
カキィン!
「くっそぉぉぉぉぉ!ぬぁぁぁぁぁぁ!」
ガキ!ドカ!ガキィン!
「はぁはぁはぁ!」
「もう終わりですか?」
「くっ!何で目閉じてるのに太刀筋が分かるんだよぉ!」
「気配を消しきれてないから読まれるんです」
「はぁはぁはぁはぁ・・・・・」
フッ・・・・
刹那、太助の気配が完全に消えた。
「えっ!?」
「はぁぁぁぁぁ!」
ガキィィィィ!
「くっ!これでもダメなのか!」
「いえ上出来です」
「えっ?」
「今の気配の消し方は完璧だったと言ってるんです」
「でも防がれたじゃないか」
「ええ、目を開けましたから」
「は?目を開けた?って事は・・・」
「はい、第三の試練終了です」
シーン・・・・・・
「・・・・主様?」
「よ・・・・」
「よ?」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「主様!声が大きいです」
「あっごめん!嬉しくってつい」
「それだけ主様が成長したってことですよ」
「サンキュー!」
「それでは広場に帰りましょうか」
「そうだな」
太助のその声は上空のキリュウやシャオの所まで届いていた。
「試練をクリアしたか主殿。しかし、野村殿並の声だな・・・・・」
「ほぇ〜たかしさんって声大きかったんだ〜」
「なっ!?」
「何ですかキリュウさん」
「いや、なんでもない・・・・(野村殿のあの声を聞いていて何故声が大きかったんだ〜と言えるんだ?)」
「そうですか」
「それよりシャオ殿広場に戻るぞ」
「はい」

広場

「太助様、お疲れ様でした」
「ありがとうシャオ」
「よくぞ試練を超えられた。これで又一歩成長されたな」
「そうですね」
「これもキリュウ達のおかげだよ。サンキューな!」
「そんなことはない主殿だから超えられたのだ」
「そうですよ。根性がない人なら最初の2時間でギブアップしてますよ」
「・・・それでも二人がいたからこそ成長できたんだと俺は思うな」
「主殿・・・・」
「主様・・・・」
「そんじゃ、そろそろ帰るか」
「そうですね、もう遅いですし」
「早く帰らないとルーアン殿がうるさいぞ?主殿」
「そっ、そだな。帰るか!(出来るだけ早く帰りたい・・・・)」
太助達はそれぞれ短天扇と軒轅にのって自分達の家に帰っていった。


あとがき

いや〜さすがに長編となると疲れますねぇー
今回はルーアンが出演できたのでとても嬉しく思っています(その割には酷い扱い)
次回はお馴染みのキャラたちを出しまくるのでお楽しみに〜
それでは又第8話で逢いましょう!
 
2003年8月4日アキト作