マラソンバトル




第9話 マラソンバトル

「町内マラソン大会?」
「ああ、明日にあるらしい」
太助はリビングでお茶を飲んでいるとキリュウがマラソン大会に出ないかといってきたのである。
「別にいいけど、なんで?」
太助が聞くとキリュウは視線を泳がせながら言った。
「あっああ、実はその・・・一位の商品が温泉リゾート地旅行券なんだ」
「ふ〜ん、なるほど納得した」
太助がなるほどなという顔をしているとテレビを見ていた飛欄がきいてきた。
「温泉って何ですか?」
飛欄が聞くと太助がそっかといって答えた。
「温泉って言うのは地中にあるお湯を掘り当てて風呂にした物だよ。
キリュウは温泉が大好きでさぁ〜この前なんか一日に5・6回入ってたよ」
太助が飛欄に説明していると、キリュウは少し照れたような顔をして、主殿!と叫んでいた。
「キリュウさんそんなに温泉っていいものなんですか?」
「ああ、あんなに素晴らしい所は他には無い」
キリュウが笑顔で妄想しているのを見て飛欄が、そうなんですかと呟いていた。
「それではぜひとも言ってみたいですね。主様、頑張ってくださいよ!」
「俺かぁ!?飛欄のほうが足速いだろ?」
「そうですけど、体力は無いんです・・・・」
飛欄は落ち込んでうつむきになっていた。
「わかったよ!だから落ち込むな!でもキリュウ達も出ろよ!」
それを聞いて飛欄たちは嬉しそうにうんうんとうなずいていた。
(ったく何で俺がこんな目に・・・・)

夕刻 6:00

「マラソン大会ですか?」
太助は食事中に先程の事をシャオとルーアンに(ルーアンは聞いてない)話していた。
「ああ、なんでも二人とも温泉行きたいから優勝したいんだって、シャオも出るの?」
シャオはすこし迷ったようだが出ることにしたようだ。(ルーアンは聞いてない)
「そうか、まぁなんかやな予感がするけど頑張るか!」
食事が終わると飛欄が、「明日に備えて早寝してください」といってきたので見たい番組(めち○い○)があったが渋々と自室に帰っていった。(ルーアンはその見たい番組を見ながら菓子を食っていた)

大会当日 早朝7:00

ザァー
「あ〜あ、雨が降ってきたよ。これじゃあマラソン大会は中止だな」
朝、太助が朝食を取っていると雨が振り出してきたのである。
「なに!せっかくの温泉が〜・・・・」
キリュウが凄く落ち込んでいると飛欄が「まかせなさい」といって庭に出た。
「飛欄殿どうするつもりだ?」
キリュウが聞くと「ふふふ・・見ていなさい」と笑みを浮かべながら風陣槍を取り出した。
「『風によって形になりし風陣槍よ、今その槍の形を弓の型風陣弓に変えよ』錬風陣!!」
飛欄がそう叫ぶとこの前の試練のときのように槍の形が消え、弓の形になった。
「風陣弓にしてどうするんだ?飛欄」
「見ていてくださいこれが私の本気です!!
『天界に住む風竜よ我が命によりて我のはなつ矢に宿れ』風竜矢(MAXパワー)乱れ撃ち!!」
飛欄が6本の矢を放つとそれぞれの矢に試練の時とは比較にならない大きさの
風竜が現れた。
「でっ、でっけぇ〜!!」
太助が驚いてる束の間、風竜は空の雲を食い尽くし、あっという間に晴天になった。
「すごいです!飛欄さんこんなことができるんですかぁ〜」
シャオが驚いていると飛欄は「そんなことないですよ」と赤くなって否定していた。
「ねぇ〜たー様・・・」
「なんだルーアン」
「あの子は怒らせない方がいいわね・・・」
「・・・そ〜だな」
太助とルーアンはそんな会話をしながら皆と集合場所に向かった。

同時刻 出雲家では・・・

「はぁ〜、雨が降ってきてしまいましたね・・・」
「そ〜だな」
出雲はなぜかその場にいるいつもの二人組み、たかし、乎一郎と話をしていた。
「ところで貴方たちがここに居るんですか?」
出雲がいやそうな顔をして尋ねるとたかしは
(なんだよその顔は、いかにもいやそうって顔だな)
と心の中でつぶやいて答えた。
「しかたね〜だろ乎一郎と朝のウォーミングアップしてたらいきなり雨が降ってきたんだから」
「いや、何もうちに来なくても・・・ってウォーミングアップってことは貴方も大会に出るんですか!?」
出雲が驚いて言うとたかしは「お前もか〜!?」と叫んだ。
「ふっ悪いですが、賞品は私が貰いますよ!そして愛しのシャオさんと・・・」
「なに言ってんだよ!シャオちゃんをGETするのは俺だぁ〜!」
出雲とたかしが「俺だ!」「私だ!」と言い合っている時、乎一郎は
「どっちが勝っても、券が余るからそれを貰って僕がルーアン先生と・・!!」
などと目を輝かせていたがある異変に気がついた。
「たかし君!出雲さん!ちょっと来て!」
乎一郎がいきなり叫んだので出雲たちは急いで呼一郎の所へ行った。
「なっ何ですかあれは!」
「竜!?しかも6体もいるぜ!」
出雲たちはしばらく呆然として見ていると雨が止んだので、再び口論が始り勝負することになり、走って集合場所に向かった。
「待ってよぉ〜出雲さん、たかし君〜!」

集合場所 AM8:30 
 
「うわぁ〜、すごい人数だな〜90人ぐらいいるんじゃないか?」
太助たちが集合場所(学校の校庭)に着くとマラソン参加者がたくさんいた。
「すごいですね・・・・子供から大人までみんな出てますね。勝てますか?」
飛欄は少し心配そうに聞いてきた。
「ん〜・・・・何とかなるだ・・・・ろ!?」
太助はいきなり声を張り上げたので周りの人たちがこちらを睨んでいたが太助は気にしないで叫び続けた。
「出雲とたかし!(ついでに乎一郎も)なんでここに居るんだ!?」
太助が話しかけた先を見てみると彼の言葉どうりそこには出雲とたかしと乎一郎が居た。
「太助君、私たちが参加してはならないんですか?」
「そうだぞ太助!俺らも市民なんだからいいだろ!」
出雲とたかしがそろってそう言うと太助は「はぁ〜」とため息を着けながら心の中で呟いた。
(だから、お前ら何時からそんなに仲が良くなったんだよ・・・・)
太助がため息をついているのを見計らってさらに追い討ちをかけた。
「ふふふ・・・悪いが優勝は私がもらいますよ!そしてシャオさんと・・・・!」
太助は「ちょっと待て〜!そんなこと俺が許すか!」と叫ぼうとしたが たかしが「おれがシャオちゃんをゲットするんだ」といって口論になり あきれてみんなの元へ帰っていった。
「はぁ〜、何であいつらはいつもああなんだろう・・・・・しかし出雲たちが出るとなると辛い勝負になるな・・・・」
太助はブツブツと呟いていると飛欄がかれを見つけて近ずいて来た。
「主様なにをブツブツ言っているんですか?」
「ん?ああ、飛欄か実はさぁ〜・・・」
太助は先ほどの一通りの出来事を飛欄に話した。
「そうですか、出雲さんたちが出ると少しきつくなりますね」
「少し・・・・」
太助が「マジかよ」という顔をしていると、飛欄は心を読んだように話しかけてきた。
「心配しなくても大丈夫ですよ。いざという事態になったら私が助太刀しますから」
「・・・・間違っても出雲たちを攻撃するなよ」
太助がさらに心配そうに聞いてきたので彼女は「失礼ですね!しませんよそんな事」
とむくれていた。

スタート地点最前列 AM9:00

スタート地点で太助たちは何故か知らないが参加している町長と一緒に最前列をキープしていた。
「さて、と飛欄ほんとに勝率はあるのか?」
いまだ自信が無い太助は不安そうな顔をして聞いてきた。
「大丈夫ですよ。少なくても私の体力が続くまでは」
太助は飛欄の発言を聞いて少し悩んだようだが飛欄が「後で分かりますよ」
と言ったので、気を取り直すことにした。
「皆さん準備はいいですか?」
司会者の掛け声を聞き参加者一堂足に力を込める。
「それでは・・・・・」
パーン!!
その炸裂音を合図として太助たちは走り出した。
「ふふ、太助君先に行かせてもらいますよ!」
出雲はそう言うとペースを上げ始めた。たかしも「うぉぉぉぉぉ!!おれの熱き魂の叫びが負けてたまるかぁぁぁ!!!」と出雲に続いたが、30分後道端に歩いているたかしと乎一郎を発見した。
「たかし、大丈夫か?」
太助はあまりにたかしの顔が青いので聞いてみたが、
「ふっ、やはり俺は冬がよく似合う男なのか?」
などとブツブツとつぶやいてるいた、その横で乎一郎が
「しっかりしてよたかし君!これじゃあ僕がルーアン先生とぉ〜」と文句を言っているのを聞いて「こりゃ駄目だと」言ってペースを上げ始めた。(ちなみにキリュウもたかしたちと一緒に歩いてもう駄目だと呟いていた)
「くそ!全然出雲の奴が見えないぞ」
太助は少しづつあせり始めた。
「そうですね、そろそろ後半に差し掛かる所ですし、例の作戦行きますか」
飛欄はそう言うと、風陣槍を取り出した。
「おい、まさか攻撃なんかしないよな!?」
太助がまさか!という顔をして聞くと普通に答えてきた。
「しませんよ!主様以外・・・・」
太助は一瞬ほっとしたが主様以外という言葉を聞いてうぇぇぇぇぇ!!と叫んでいた。
「何で俺を攻撃するんだよ!?」
太助が顔を引きつらせて言うと、飛欄は少し苦笑しながら言った。
「大丈夫ですよ、実はかる〜く風衝波を主様にあててスピードアップさせようということなんですよ」
太助はその言葉を聞いて「それでも危ないだろ・・・・」と突っ込んでいたが問答無用でいきなり飛欄にそれをされた。
「いっきますよ〜♪風衝波!!」
「ちょっとまてぇぇぇぇ!!??」
太助は最後まで言葉を言えず後ろから来る風によりおもいきりスピードアップした。
「はぇぇぇぇぇぇぇぇ!!くそっ!あとでとっちめてやるぅぅ!!」
と太助は毒づいていたが少しでも油断するとこけそうになるので、集中し出した。
「たしかに、これならスグに出雲に追いつけるか。出雲の気配は・・・・」
太助は出雲が何処に居るのか気配を感じ取っていたがその必要はなかった。
「太助君!!??」
「ん〜と、って出雲ぉぉ!?」
太助が走っている隣にはトップランナーの出雲が走っていた。
「何でそんなに速いんですか!?」
あまりの速さに出雲が驚愕していると太助は
「さあね、1つだけいえることはお前にシャオは渡さない!」
そう叫んで太助はさらにスピードアップする・・・・はずだった
「え!?なんだ?」
太助はいきなりスピードが落ちていることに気がついた。すると、何処からとも無く声が聞こえてきた。
「あっ・・・・主様っ・・・も・・う・限界」
と飛欄の苦しそうな声が聞こえてきた。
(体力が続く限りってこのことかぁぁぁ!)
太助はさっきまではとっちめてやるなどと言っていたが今度は逆に体力の無さを少し呪っていた。
「どうしたんですか?いきなりペースが落ちましたよ!」
真隣を走っている出雲が話しかけてきた。
「うるさい!負けてたまるかっ!」
太助はその声を合図にラストスパートをかけ、ゴール地点まであと100Mのところで太助は少しづつ出雲を離し始めた。
「あともうすこしでっ!」
「させません!」
出雲と太助はお互いに意地を張り合い走り続けていたが・・・・・
パーン!!
太助がほんの1mの差をつけてゴールした。
「よっ・・・・・しゃぁぁぁぁ!!!」

ゴール地点AM11:00

ゴール地点では全ての選手が走り終わり、表彰が終わろうとしていた。
「では、第三十八回町内マラソン大会優勝者は・・・・七梨 太助君です!」
太助は照れながら優勝商品のリゾート温泉旅行券を司会者から頂いた。
太助は商品をもらってシャオたちの下へ帰ろうとすると、
「よう、七梨」
と、山野辺が話しかけてきた。
「やっ山野辺〜!?」
太助はいきなり現れた山野辺に動揺を隠せなかった。
「んだよそのリアクションは!」
「いっいや、いきなり現れるからつい。で、何か用か?」
太助はさりげなく話題を変えたが、「なに話題すりかえてるんだよ」と山野辺に気ずかれたが、返事をしてきた。
「まっ、用があったんだけどさ、その商品・・・」
「ん?ああリゾート券のことか?」
太助は商品を出して答えた。
「ああ、それなんだけど偶然私も親戚からそのチケットもらってさぁ〜 シャオを誘おうと思ったんだけどさ。何か商品を七梨が手に入れちまったしなぁ〜」
太助は何かいやな予感がして顔を引きつらせたが案の定山野辺が
「んじゃ仕方ないか。お兄さんたちのでもあげよっかな〜?」
と微笑しながらチケットをこちらに見せびらかしていた。
「なっ!なんでそんなことするんだぁ〜!!」
「別にいいじゃないか、私のチケットだし。別にやましいことなんて無いだろ?」
太助は山野辺が微笑してながら冷たく言い放ってきたので、
(なんでこうなるんだぁ〜!!!)
と心の中で叫びながら、泣きながら地面に膝を付けをつけた。
「んじゃ〜な七っ梨〜♪」
山野辺はもはや太助を見ないでスキップしながら出雲の達の方へ向かっていった。
「・・・・・ちくしょ〜〜〜〜〜!!」
太助は叫びながらチケットを地面に投げつけた。

あとがき

 どうもアキトです。今回の作品はスーパーマーケット編にに続いて二作品目の日常編です。
太助は今回踏んだり蹴ったりで作者としてもかわいそうですが(じゃあ、やるなよ!)
やはりこれくらいの落ちがないとつまらないから・・・・(ヒド!
次回の作品はリゾート温泉地の話です。
では、また10話で逢いましょう!

2003年9月26日アキト作