三精霊の墓参り1



三精霊の墓参り1



夏休みの中間ぐらいの日の出来事。
朝、シャオは洗濯をしていた。
「今日いい風が吹きますね、キリュウさん」
「そうだな、シャオ殿」
キリュウは屋根の上で一枚の葉を大きくして日陰を作り風をうけていた。
「そう言えばキリュウさん、今日は何で扇風機を使わないんですか?」
「それはだなシャオ殿、私は夏の間一日中扇風機を使い続けているから、主殿がたまには外の風に当たってきたらどうだといわれたのでな」
今日は夏にしては意外と冷たい風が吹いていた。
「そなんですかぁ」
シャオは洗濯物を干し終え家の中に入っていった。
シャオは洗濯が終わったのでリビングのソファーに座り一休みしていると太助が来てソファーに座った。
すると太助が
「なぁシャオ、今までの主たちの墓参りって行くの?」
「え!?太助様どうしたんですか急に」
太助がシャオに聞くとシャオは驚いて理由を聞いた。
「日本には昔から盆って言う先祖の墓参りをするんだけど、シャオは先祖がいないけど昔の主たちの墓に言ったりしないのかなって、思ったんだけど」
「そう言えば一度も行ってませんね」
すると先ほど風にあたっていたキリュウが、太助に試練を与えようと入って来た。
「そう言えば私も一度も行ってないな」
シャオと太助の会話を聞いたキリュウも会話にまざって来た。
「私たちはいつも使命が終わった時か主が死んだときに宿ったィに戻るのでお墓があるのか無いのかさえ分かりませんので」
「そうなんだ」
シャオがそう言うと太助はちょっと悪いことを聞いたなと思った。
「太助様、気になさらないでください、しかたがないことですので」
「ああ」
シャオがそう言うと太助は気が安らんだ。
「シャオ殿、そろそろお昼ではないか?」
キリュウが時計を見て言った。
「まぁ、そんな時間になったんですね」
シャオが慌ててソフャーから立ち上がり台所に行った。
「では、昼食ができるまで試練を受けられよ」
「え!!」

キリュウが短天扇を取り出した。
「万象大乱」
「うわっ」
太助が座っていると巨大化したテーブルが太助の顔に当たるのを避けると座ってるソファーが大きくなった。
ゴン・・・・
太助は大きくなったテーブルに頭を強くぶつけ倒れた。
「太助様、起きてください」
「主殿、起きられよ」
「ん・・・」
シャオとキリュウの声に太助は気がつき目を覚ました。
「なんか頭がいたい」
太助は頭をさすった。
「先ほど頭を強く打たれたからな」
キリュウがそう言うとシャオが
「太助様、料理が出来ましたが食べますか?」
「え、なんか料理作るの、早くないかシャオ?」
「主殿、三十分ぐらい気を失っていたぞ」
「そんなに!!」
太助は時計を見ると試練を受けたとき見た時間と今の時間を比べるとそのぐらい時間がたっていた。
「俺もまだまだだな」
太助はそう言うとキリュウ、シャオと一緒に台所に向かった。
テーブルに着くとその後からキリュウとルーアンとフェイが座りシャオが料理をテーブルに置いた。
「太助様、今日は水餃子です」
シャオはにっこりと微笑んで言った。
そして太助は水餃子を口にした。
「太助様おいしいですか?」
「ああ、うまいよ、シャオ」
ルーアンは高速でご飯を食べ、キリュウは静かに食べている。
すると太助は食べるのをやめ喋り始めた。
「なあ、午後はシャオたち中国に行って昔の主たちの墓参りにでも行ってみたら?」
「え、でも場所も分かりませんし」
シャオはそう答えると太助が
「別に墓参りじゃなくても故郷に行って息抜きしてくればいいし」

「主殿がそう言うのだ、シャオ殿行ってみてはどうだ」
キリュウもシャオに進めた。
「せっかくだからいいんじゃない」
ルーアンもシャオに進めた。
「それじゃあ、お言葉に甘えて行きます」
シャオは中国に行くのを決めた。
「午後ぐらい一人でも大丈夫だよ、シャオ、キリュウの試練を受けてるんだから」
太助はシャオが心配しないよう言った。
「では私も食事が終わったら行ってくる、主殿」
「せっかくだから私も行ってくるね、たー様」
そうして食事が終わりシャオ、キリュウ、ルーアンを見送りに玄関に行った。
「それじゃあいって来る、主殿」
「たーさま、行ってくるわね」
「太助様、離珠とフェイちゃんとお留守番お願いしますね」
「ああ分かったよ、それじゃあ、行ってらっしゃい」
太助はシャオたちを見送るとソファーに座ってテレビを見始めた。
フェイも横のソファーに座り時々太助を見ていた。
そしてシャオ、キリュウ、ルーアンは途中で別れた。
『キリュウの墓参り』
キリュウは中国のどこかを短天扇に乗って飛んでいた。
そして飛んでいるとふと思い出した。
「そう言えば飛染殿の住んでいた家はこのあたりだったな」
キリュウはその場所から短天扇を地上に着かせ近くの木々たちに聞いた。
すると少し遠くの方に普通の木より大きな木があった。
「まだ残っていたか」
キリュウは短天扇に乗ると大きな木に向かって飛んだ。
「ここか」
見るとそこには大きな木の隣に墓であったがその原型は無く石の塊になっていたがそこにはきちんと花や水が添えられていた、位置は他の墓より少し離れた場所にあった。
キリュウは墓石の前まで歩いて行きくと
「飛染殿、悪いな、手ぶらで来てしまって・・・急なことだったのでな・・・・その、飛染殿・・私の試練は辛かっただろう、私を嫌っていたのだろう、試練が終わっても・・・あなたの父上や母上に嫌われていたのだから・・・飛染殿は最後の試練を終えた後どうしていたのだ・・結婚はされたか・・私の試練のせいで、できなかったことができるようになってうれしかっただろう・・・飛染殿・・・無理に試練を与えてすまなかった、でも、仕方が無かったのだ、私は、嫌われないとやっていけなかった、親しくなればなるほど、使命を果たす程に近づいて来る主との別れを辛いとは思わなくてすむから・・・今思うともう少しちゃんと話をしたかった・・飛染殿、今の私にはこんな事しか話ことが浮かばいない・・・・そろそろほかの主たちにも墓に行かないといけないのでな」
キリュウは立ち上がった。
その時、足音が聞こえてきた。
キリュウは後を見ると一人の女性が花を持って歩いてきた。
「あのーすみません、うちの墓に何か用ですか?」
「!?もしや飛染殿の子孫か?」
その女性は驚いたような顔をした。
「私の先祖で飛染と言う人がいましたが、なぜその名を?」
「私は万難地天キリュウ、大地の精霊で試練を与えるのが使命で昔、飛染殿に仕えていたのだ」
女性はまたも驚いた。
「まさか先祖に精霊が仕えていた人がいたなんて・・・」
そして女性は墓を見るとキリュウが無いも置いていない事に気づいた。
「何も備えるものを持っていないんですか?」
「ああ、急ぎだったのでな」
「それじゃあこの花を供えてあげてください」
「!?」
キリュウは女性に花を差し出された。
「先祖もあなたに渡してもらいたいはずですから」
女性はニコッと笑った。
キリュウは少し顔を赤くしながら受け取った。
「ありがとう・・・」
キリュウは女性にボソッとお礼を言った。
そしてキリュウは飛染の墓に花を置いた。
「飛染殿、あなたの子孫はよい人だ」
そしてキリュウは短天扇を大きくしてどこかに飛んで行った。
場面は変わり『ルーアンの墓参り?』
ルーアンはどこかの中華料理を食べ歩いていた。
どこからお金を持って来たのかは謎である。
ルーアンは中華料理を食べ歩いていた。
「ぷはー久しぶりにシャオリン以外の本場中華料理を食ったわ」
ルーアンはそう言うとまた中華料理屋に向かっていった。
「別に私は主様に幸せにするのが使命なんだから墓に行かなくてもいいのよ」
とルーアンは独り言を言った。

そして中華料理店を見つけるとルーアンは
「さあ、食べるわよ」
といいながら中華料理店に入りそこにある品を全部頼んだ。
その注文を受けた人は品を全部頼むと言うルーアンに驚いた。
そして一時間かかって全部作るとルーアンはいきよいよく食べ始めた。
その食べっぷりは周りで食べていた人は箸を止め呆然と見るほどであった。
そうして三十分たつ頃ルーアンは食べ終わった。
周りはあれほどの量を食べるルーアンを呆然と見て本当に人間の胃か?と思っていた。
「次は満漢全席でも食べにいこっと」
と言うとお金を払い店から出て行った。
ルーアンは気分よく歩いていると
「はう・・・」
お腹を壊しトイレにダッシュした。
そして一時間後
「やっと直ってきたわ」
ルーアンはお腹を擦りながらトイレから出てきた。
「満漢全席を食べに行くんだった」
ついさっきまで食べすぎでお腹を壊していた事を気にせずに、また気分よく中華料理屋に向かった。