宴の後…




第十三話  宴の後…


「…とまあ、こんな感じだな」
太助が締めくくる。
「どうだった、二人と…」
子供二人に感想を聞こうとしたが途中で止めた。
「「すーすー」」
麗奈は太助に、幸太はシャオにしがみつきながら寝ている。
無理もない。今は真夜中の0時。いつもなら二人ともとっくに夢の中だ。
「ちょっと長く話し過ぎちゃったかな」
「そうみたいですね」
太助の言葉にクスクスと笑いながらシャオが答える。
「さて、きりのいいところで我々は帰りますか」
そう言って出雲が立ち上がる。それに合わせ、ほかの面々も立ち上がる。
「じゃあな、太助」
「また遊びにきます」
そう言ってたかしと花織は二人で部屋を出る。
「では、また」
「その内家庭訪問があるからその時に」
そう言って出雲と乎一郎も帰っていった。
「翔子はどうするんだ?」
残った翔子に那奈が尋ねる。
「悪いけど泊めてもらうよ。家に帰ったらうるさいのがいると思うから」
「まあ、仕事が仕事なだけに、仕方ないか」
家の主である太助がOKを出す。
「ふぁ〜、さて、私達も寝るわ」
「目覚ましを考えないと」
一言そう言い残してからルーアンとキリュウもそれぞれの部屋に向かった。
「ところで部屋はあるのか?」
「ああ、二階に部屋があるからそこで」
そう言って那奈と翔子もリビングから出て行く。
「さて、それじゃあ、俺達もこの子達を部屋に連れていって寝るか」
「はい」
そう言って二人も部屋を出る。


子供部屋について、二人は子供たち二人をベッドに寝かす。
二人ともとてもかわいらしい寝顔だ。
「今思えば、この子達に全然俺達のことを話していなかったよな」
「そうですね。これからはどんどん聞かれるんじゃないんですか?」
「そうだな。さて俺達も寝るか」
「はい」
そして二人も寝室に向かう。



次の日の朝…
「「う、う〜ん…」」
二人は同時に目が覚めた。目の前に広がっているのは見慣れた自分たちの部屋。
だが二人は昨日ここで寝た記憶がない。服も寝巻きに変わっていた。
「寝ちゃったみたいだね、私たち」
「だな」
二人はベッドからでて、ベランダに出る。
外はよく晴れていて、吹いている風も気持ちよかった。
「けど、お父さんとお母さんにあんなことがあったなんてな」
「うん。特にお母さんが精霊だったって言うのはホントに驚いたよ」
昨日の覚えている話のことを思い返す二人。
「精霊か…、おとぎ話の中だけだと思っていたのにな」
「世の中、私たちが知らないことがたくさんあるんだね」
「って言うか、俺たちまだ小二だぜ?知らないことが多いのが普通なんだよ」
すこし、あきれながら幸太が言った。
「これから知っていくんだよ。いろんなことを、二人でな」
「うん、そうだね。いろんなことが私たちを、待っているんだね」
「それに加えて精霊もいるんだよ。これから毎日楽しくなりそうだな」
期待で胸を膨らませていく二人。
「それじゃあ、朝ごはん食べに行こ!」
「オッケー!」



人間と精霊という壁を乗り越えて、幸せになった二人、太助とシャオ。
両親の愛を受け、精霊の主にもなった二人、麗奈と幸太。
確かに彼らは幸せなのかも知れない。
しかし、いつものメンバーの中には幸せになっていない者もいる。
すべての者が幸せになるまで、このお話はまだ続く…。


続く