十五年後の世界



第六話  十五年後の世界


次の日の朝、麗奈と幸太は同時に目覚めた。
「うー、おはよぉ、幸太…」
「おはよぉ…」
と寝ぼけながらの挨拶から二人の朝は始まる。
とりあえず着替え、部屋を出て洗面所で顔を洗い、リビングに向かう。
「お、おはよう二人とも」
挨拶で迎えてくれたのは太助だった。
「「おはようー」」
二人は揃って挨拶をした。
「ところでルーアンとキリュウは?まだ起きてないの?」
麗奈が尋ねる。
「あの二人は朝に弱いからな」
読んでいた新聞を畳みながら太助は言った。と、その時、
『ドカッ、ドドドドドド、ドカーン!!』
「「うわあっ!」」
ものすごい音に驚いて麗奈と幸太はお互い抱きつきながら一緒に飛び上がった。
「な、何?」
「何なんだ!?今の音は?」
二人は太助に言った。太助は自分達よりえらく落ち着いている。
「何で、お父さんそんなに落ち着いていられるの?」
幸太が尋ねると、
「キリュウさんが起きただけだからよ」
太助の代わりにシャオが答えた。
「キリュウが?」
「そう、これから毎日こんなんだからな。早く慣れた方がいいぞ」
太助が言い終わるとキリュウがリビングに入ってきた。
「あ、キリュウ。おはよう」
幸太が言う。キリュウは眠たそうにおはよう、言った。
麗奈はさっきの音に疑問をもち、キリュウに尋ねた。
「ねえキリュウ。さっきの凄い音、何だったの」
「…目覚し時計だ」
「「目覚し時計ぃ〜!?」」
またも二人は驚いた。一体どんな目覚ましなんだと疑問を残しながら朝食をとるのだった。


「そういえばルーアン、起きてこないね」
「そうだな」
食べながら麗奈と幸太は言った。
「仕方ないな。幸太、ルーアン起こしてこい。もし起きなかったら『起きないと朝飯無くなるぞ』って言ったらいい」
食べ終わっていた幸太に太助が言った。
「は〜い」
そう返事をしてルーアンを起こしに行った。
扉を開け、寝ているルーアンに声をかけた。
「お〜い、ルーアン、朝だぞぉ〜、起きろぉ〜」
「う〜ん、ルーアンまだ眠い…」
と、返事をしてまた寝る。
仕方ないな、と言いながら幸太は最後の手段を使った。
「ルーアン、起きないと朝飯無くなるぞ」
その言葉を言った一秒後、そこにはルーアンの姿はなかったと幸太はいう…。


『がつがつがつがつ』
と相変わらずものすごい勢いで食べているルーアン。
「まったく、相変わらずよく食うな。あ、そうだ。麗奈、幸太、今日夜、パーティーするから。
ルーアン達の歓迎会をな。だから、先生に言っておいてくれ」
太助が言うと二人は、は〜いと答えた。
「太助殿、何故主殿たちの先生殿を呼ぶのだ?」
疑問に感じたキリュウがそう答えた。ルーアンもそう言えばそうねと言った。
すると太助は、行けば分かるよと答えた。
「さて、俺はそろそろ行くよ」
「いってらっしゃい、太助様」
シャオが玄関に見送りにいく。
「なあ、麗奈。今ふと思ってんだけどさあ、なんでお母さんはお父さんの事、様を付けて呼ぶんだろう?」
「えっ?そう言えば…。何でだろう?」
今日の二人は疑問だらけだった。


十分後、準備を済ませて二人も家を出る。
「じゃあ私達、学校行くけど、ルーアン達も来る?」
麗奈が尋ねるとルーアンとキリュウは頷く。
「もちろん行くわよ。たー様の言った事、気になるし」
「私もだ。しかしいきなり行くというのはちょっと…」
「あっ、そっか。……そうだっ!二人が小さくなればいいんだ」
「なるほど、見えなければいい訳ね」
ルーアンが答え、キリュウがなるほどと頷くと、短天扇を開き、「万象大乱」と唱える。
ルーアンとキリュウが小さくなると、麗奈がルーアンを、キリュウを幸太が、それぞれ胸にあるポケットに入れる。
「それじゃ、学校へレッツゴー!」
麗奈が言って二人は歩き出した。


歩きながら四人は話していた。
「ここって鶴が丘町でしょ。町並みはあんまり変わっていないわね」
ポケットの中から景色を見ながらルーアンが言った。
「そんなにがらりと変わるってものじゃないよ。そりゃ、100年くらい経っていたら話は別だけど」
「確かに、しかしかなり時間が経っているはずだ。あれからどのくらい経っているのだろう?」
幸太の言葉に答え、そのまま質問する。
「え〜と、キリュウ達がお父さんに仕えていたのは確か中二の時って言ってたから…」
「中二って言ったら14歳だろ。お父さんが今29歳だから…」
麗奈と幸太が指折り数えているとルーアンが言った。
「29ひく14で15。って事は15年経っているって事か」
「15年ではあまり変わらないのも無理ないか」
「そーだよな。キリュウ達は何百年単位で考えるもんな。出てきた時ってけっこう周りの風景って全然ちがうんだろ、前出てきた時と」
「そういう時もあるし、そういう事がない時もあるわ。何百年とでない時もあれば、帰ってからまた次の日に呼ばれることもあるし」
しみじみとルーアンがそう言った。
とか、話している内に学校に着いた。
「ん、何か前と違うような気が…」
学校を見たキリュウがそう言うと、
「当たり前でしょ。たー様やシャオリンが行っていたのは中学校、ここは小学校なんだから」
「ルーアン、結構詳しいね。」
「一応教師やっていましたから」
麗奈の言葉に答えるルーアン。キリュウはなるほどと納得している。(学校が違うことに)


校舎に入り、上履きに履き替え、教室に向かう。
「こっから先はあんまり話しはしない方がいいな」
「そうだな。見つかっては何のために小さくなったのか分からないからな」
幸太の言葉にキリュウが答え、麗奈とルーアンが答える。
教室に入ると祐介が声をかけてきた。
「お、幸太、麗奈ちゃん、おはよう」
「おはよ」
「おはよう、祐介君」
挨拶を交わす。
「ところで、昨日あげた筒と扇、何か分かった?」
祐介が尋ねてきた。
「あ、それは…」

「ああ、凄いことが起こったぞ」 麗奈の代わりに幸太が言った。麗奈は小声で言う。
「ちょっと幸太、何言うの。せっかく隠しているのに」
「大丈夫、大丈夫」
「で、どんな事だったんだ?」
祐介が尋ねてくる。
「ただの心の探索機」
「何だよ、それ?」
意味不明な言葉をいう幸太に祐介が聞き返す。
「心が清いか、そうでないか。心が清いとあることが起こって、心が汚いと何も起こらないらしいぜ」
「へ〜え、て、まてよ!じゃ、何か?何も起こらなかった俺の心は汚いって言うのか!?」
「そう言うこと」
そう言って幸太は自分の席に着く。祐介は納得しないで再度幸太につっかかる。
「わざわざあんなこと言わなくてもいいのに」
「単にからかうのが好きなの、幸太は」
麗奈が呆れながら言った。

『キーンコーンカーンコーン』
始まりを告げるチャイムが鳴る。生徒は急いで席につく。
「さーて、たー様が言っていた先生の顔を見させてもらいましょうか」
ちなみに麗奈と幸太の席は隣同士である。
『ガラガラ』
扉が開いて先生が入ってくる。
「えっ…」
「あれは…」
「お父さんの親友、遠藤先生だよ。二人とも知ってるんでしょ?」
麗奈と幸太の担任は乎一郎だった。背は伸びてルーアンよりちょっと高いくらいだ。
しかし顔はあんまり変わっていなかったので二人はすぐ分かった。
「遠藤殿が先生になっていたとは、ルーアン殿の影響かもな」
「それどういう事だよ?」
「あたしは教師をやっていたの。遠藤くんは教え子よ。たー様とシャオリンもだけど」
「へ〜、じゃ、ある先生に憧れて先生になったって言っていたけど、それってルーアンの事だったのかも」
「そうかもね」
その後ルーアンとキリュウは乎一郎の授業を静かに見ていた。


ところ変わって、七梨家、
シャオは洗い物を済ませ、洗濯物を干そうとしていた。
ずっと続けていることなので慣れた手付きだ。
「早く終わらせないと、準備が間に合わないわね」
と言いつつ、洗濯機から洗濯物を出していると、
『ピンポーン』
「あら、誰かしら?はーーい」
シャオは玄関の方に向かった。
扉を開くとそこにはGジャンにGパン姿で帽子をかぶり、サングラスをかけている人が立っていた。
こんな格好をしていたら誰なのか分からなかったのでシャオは尋ねた。
「あのぉ〜、どちら様でしょうか?」
「あたしだよ、シャオ」
と、言ってサングラスを外した。
「まあ、翔子さん!」
「久しぶり、と言ってる場合じゃないんだ。とりあえず中に入れてくれ」
「は、はい」
どこからか視線を感じた翔子は急いで中に入り、扉を閉めた。
「ふう、家に帰ったら、すごい人でさぁ、参ったよ」
「それでここまで逃げてきたんですか。でも仕方ないですよ。翔子さんは人気者ですから」
「まあ、悪い気はしないんだけどな」
今翔子は日本中に名を轟かしている、超有名な人気シンガーソングライターである。
高校二年の時、太助たちとカラオケに行った時、翔子はすごくきれいな声で、しかもうまく歌っていた。あまりのうまさに一緒にいた花織が
「今度、鶴ヶ丘である歌のオーディション、受けてみたらどうですか?」
と言い、冗談半分で受けたところ、見事合格。
はじめはおもしろそうだということで歌手になることにした翔子だったが、昔、一人でいることが多かった頃、暇つぶしに歌の作曲などをしていた時の経験をいかして、自分で作った曲でデビュー、それが大ヒットしみるみる人気が上がっていった。
それをきっかけに本気でこの世界で生きていくことを決めた。
恋愛をテーマにした彼女の曲は若者の心を擽り、また恋を忘れかけていた、大人の心まで捕らえ、出す曲、出す曲がどんどん売れていった。そのほとんどは昔太助たちの周りで起こった騒動を元にして作られている。
そして、デビューした年の新人賞に輝いた。
「でもさ、考えてみたらそんなに久しぶりでもないんだった」
「そうですね。全国ツアーでこの辺りに来た時にお会いしましたから」
ソファーに座り、シャオに入れてもらったお茶を飲みながら翔子が言った。
「ところでお仕事は?」
「ああ、ツアーが終わったから休み貰ったんだ。3日だけだけど」
「そうだったんですか。でもちょうど良かったです」
そう言って席を立ち、庭で洗濯物を干しだした。
「何が良かったんだ?」
庭に顔を出し、翔子が尋ねた。
「今日、家でパーティーをするんです。翔子さんお仕事が忙しいから、こられないと思っていたんです」
「パーティー?なんで?クリスマスでもないのに」
「それは、ヒミツです。太助様に言うなって言われましたから」
見送った時に太助に『今日のことは誰にもいわないでいよう』と言われたのだ。
もちろんシャオの口から麗奈と幸太にも伝わっている。
「七梨にぃ?あいつがやるって言ったのか、パーティーを?」
「はい、そうですけど…」
それを聞いて翔子は不思議に思った。太助はそんなにパーティーなどは好きではないはずだ。
(あいつがねぇ〜。秘密にするくらいだからなにかすごい事でもあったのか?どっちにせよ面白くなりそうだ)
面白い事好きなのは変わっていない翔子だった。
「それで、他の連中には連絡したのか?」
「いえ、まだ」
「なら、あたしが連絡するよ。シャオは早いとこ、家事を済ませなよ」
「すいません、じゃあお願いします」
「あいよ」
そう言って、翔子は携帯電話を出した。
「え〜と……あ、あった。あった」
電話帳の機能を使い、電話をかける。
『トゥルルルル、トゥルルルルル、ガチャッ、もしもし、野村ですけど」
「あ、愛原か、翔子だ」
『あっ、山野辺先輩。ひさしぶりです。そう言えば、こないだ出した曲、オリコン一位でしたよ。おめでとうございます』
「ああ、ありがとう」
『ところでどうしたんですか?急に電話して』
「あ、そうだった。今日の夜、七梨んとこでパーティーやるんだとさ。お前も、旦那連れて来いよ」
『本当ですか!?でもなんでいきなりパーティーをやるんですか?』
翔子と同じような事を花織は言った。
「良く分からないんだ。今七梨の家にいるんだけど、シャオは七梨の奴に口止めされているんだ」
『先輩にですか?ま、いいです。あの人も今日は仕事、早く終わるって言っていましたし。帰ってきたら二人でそっちに行きます』
「そうか、そんじゃ、待ってるからな」
『じゃあ、後で』
電話を切る。
ここで説明する必要があると思う。
言わなくても分かると思うけど、花織はたかしと結婚したのだ。太助とシャオが結婚したのをきっかけに、付き合いだし、そのままゴールイン、と言う訳だ。
「さてと、遠藤の奴は麗奈達が伝えるだろうし、次はと…」
電話帳の機能を使いまたかける。
『トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルル、ガチャッ、もしもし、宮内ですが』
「あ、敬子さん。山野辺ですけど」
『まあ、翔子さん。お久しぶりね。あ、見たわよ。オリコン一位おめでとう』
「ありがとう。ところでおにーさんいる?」
『いるわよ、ちょっと待っててね』
そう言って出雲を呼びに行ったようだ。
さて、また説明。
敬子と言うのは、出雲の妻で、シャオが守護月天の使命から解放されてから、一年立った位で結婚したのだ。出雲は、たかしと違って、早くにシャオの事を諦めたのだ。
母の進めで、見合いをし、その時の相手が敬子だった。
心優しく、神秘的な感じを持っていた。それに引かれ、出雲はこの人と過ごす事を誓ったのだ。
説明終わり。
『もしもし、翔子さん』
「あ、おにーさん、久しぶり」
『お久しぶりですね。あ、そう、そう、こないだ出した新曲、オリコン初登場で一位。さすがですね』
「それは、どうも」
喋るたんびに言われるな、と思いながら翔子は返事をした。
『ところで、今日はどういったご用件でしょう?』
「あ、そうそう、おにーさん、今日の夜、空いてる?」
『今日ですか、一応空いていますけど、なにか?』
「今日さぁ、七梨の家でパーティーやるんだってさ。おにーさんもきなよ」
『パーティー……ですか?えらく時期はずれですね。なにかあったんですか?』
「分からない。分かっているのは七梨が言いだしたって事だけだ」
『太助くんが言い出した?変ですね、彼はそんなにそう言った事は好きではないはず…』
「おにーさんもそう思うのか?あたしも変だと思ってたんだ。シャオ達に口止めしているって事は、私たちを驚かそうとしているんだと思うけど」
『まあ、すぐに分かるでしょう。とりあえず行きますよ』
「そうか、じゃあ、後で」
『分かりました』
そう言って、電話を切る。
「ふう、シャオぉ〜、みんな来るって」
「本当ですか?良かった」
洗濯物干しを終えてシャオが戻ってきた。
「遠藤の奴はまだ分からないけど」
「乎一郎さんには麗奈達が言いますから。それじゃあ、お買い物に行かなくちゃ」
「あ、あたしも行くよ」
シャオに続き、翔子が言う。
「でも、見つかりますよ。どうするんですか?」
「な〜に、あたしだと思わないような格好をすればわかりにくいだろ。と言う訳でシャオ、服貸して」
「いいですよ」
二人は寝室に行った。
「えっと、これなんかどうでしょう?」
「そうだな、あ、でもこれでもいいかも」
「そうですね、あ、これもよさそう」
女性の準備は時間がかかる。
30分後……、
「これでいいだろ。どうだ、シャオ?」
「ええ、良く似合いますよ」
「じゃなくて、ばれないかどうかだよ」
相変わらずである。とにかく髪型も変え、準備は万全。
「じゃ、行こうか」
「はいっ!」
そして二人して買い物に出かけた。


またまた変わって学校、
土曜日なので授業は昼までで、終わり。学校が終わり、麗奈と幸太は乎一郎の所に行った。
「先生、先生」
麗奈が声をかける。
「ん、どうしたの麗奈ちゃん、幸太くん」
出席表にチェックしていた手を止め、乎一郎が言う。
「あのさ、今日家でパーティーやるんだ。先生も来てよ」
「パーティー?何かあるの?」
「ナ・イ・ショ♪来てからのお楽しみだよ」
麗奈がかわいらしい声で答える。
「じゃあ、行くよ。今日は何もないから」
「分かった。じゃ、待ってるから」
幸太が言い、二人が帰ろうとした時、ルーアンが小声で、
「陽天心招来」
乎一郎の使っていたペンに陽天心をかけた。
「えっ!?」
((ギクッ!))
乎一郎は眼鏡を取り、磨き、かけてからもう一度ペンを見た。
そこにあるのはなんでもないただのペン。
「ど、どうしたの、先生?」
「き、急に眼鏡なんか磨いてさ」
ごまかそうとして言う二人。
「いや、なんでもないよ。それじゃあ、後で」
「うん」
と言って二人は帰って行った。それを見送ってから乎一郎はポツリと言った。
「疲れているのかな、ボク…」


「も〜、ルーアン!お父さんにヒミツにしとけって言われてるんだよ。ばれちゃったらどうしたのよ」
近くの公園でルーアンに言う麗奈。
「だって、退屈だったんだもの。許して、麗奈様」
「はい、はい。分かったわ」
そう言って、持ってきた弁当を出す。シャオが「今日のお昼頃はいないと思うから持っていって」
と言って渡したのだ。
「もう、お腹ペコペコ」
と言って、食べ出すルーアン。相変わらずものすごいスピードだ。
「食べたらどうする?」
食べている途中、幸太が言った。
「何もなければ、主殿には試練を受けてもらいたいが…」
「試練か。よし、じゃ受けるよ。二人はどうする?」
「私は見てる。キリュウの試練、どんなのか見たいから」
「麗奈様がそう言うなら、私も付き合うわ」
と、言う訳で昼からの予定が決まった。


昼食を終え、少し休憩してから、キリュウと幸太は準備をはじめる。
「では、試練の方法を説明する。主殿はここから家に帰ればいい。
ただし、私はそれを邪魔する。一種の障害物走みたいな物だ」
「分かった。じゃ、はじめよう」
準備運動をしながら聞いていた幸太が言った。
「では行くぞ!万象大乱!」
周りにあった小石が巨大化し、あっという間に幸太を囲む高い壁となる。
「うおっ!」
「では、がんばって帰られよ」
そう言ってキリュウは幸太の目の前から消えた。
「それじゃあ、あたし達も、陽天心招来!」
ルーアンは落ちていたホウキに陽天心をかけた。
「さっ、麗奈様、乗って下さい」
ルーアンに言われ、麗奈は陽天心のかかったホウキに乗った。
「それじゃ、高みの見物とさせてもらうよ。幸太」
「はいはい。そんじゃあ、行くか!」
そう言って幸太は家に向かって動き出した。

続く