全員集合!パーティーの主役は誰だ!?



全員集合!パーティーの主役は誰だ!?



第8話  全員集合!パーティーの主役は誰だ!?


ようやく集まり、パーティーが始まろうとしていたがみんなには疑問があった。
なぜ、パーティーをするかである。
今までこの家でパーティーをしたことは多々あった。(ていうかここ以外でしたことあるのか…?)
そのときも言い出すのはこの家の住人でない誰かであった。それが珍しく太助がパーティーをやろうと言い出したのだ。疑問を持ってもおかしくない。
「なあ、翔子、何でいきなりパーティーするんだ?何の行事もないだろ?」
「それがさぁ、七梨が計画したらしいんだけど、何でかはまったく話さないんだ」
「なんだそりゃ?つまりは何のパーティーをするかは誰も知らないって事なのか?」
翔子の話を聞いてたかしが疑問符を浮かべる。
「本人と、シャオ、麗奈と幸太以外はな」
とそこに太助がやってきた。
「おい太助、今日は何のパーティーだ?」
「そうだ、何のパーティーなんだ、太助?」
那奈とたかしが太助に尋ねる。
「まあまあ、そうあわてるなって。それじゃあ、今日の主役に登場してもらおうか」
太助がそう言うと、麗奈と幸太が入って来た。
「なんだ、麗奈ちゃんと幸太がパーティーの主役なのか?」
たかしが言った。今までも二人のためのパーティーは何度かやったことがあった。しかし、
「違うよ」
と、麗奈が答える。
「じゃあ一体…」
乎一郎が言う。
「じゃあ、本当の主役の登場だー!」
幸太が言うと、突然たかし達の座っていたソファーが暴れ出した。 「何だー!?」
「地震っ!?」
「じゃないみたいですう。ていうかなんか手足が生えてます!」
たかし、乎一郎、花織が次々と叫ぶ。
「これはもしかして…」
冷静に判断している出雲の座っていた椅子が急に小さくなった。
「おわっ!」
「陽天心に…」
「万象大乱っ!?」
那奈と翔子が口々に言う。
そして麗奈と幸太の二人はルーアンとキリュウを出した。
そしてキリュウが
「万象大乱」
と唱えると、二人が元の大きさに戻る。
『ルーアン先生!』

『キリュウ!』 みんなが二人の名前を呼ぶ。
「はあ〜い、みんな、久しぶり!」
「久しぶりだな」
ルーアンとキリュウが言う。
「って事は今日は…」
「そっ、ルーアンとキリュウとの再会パーティーってことさ」
翔子の言葉に太助が答える。
「なるほど、今度は麗奈さんと幸太君が主ですか」
復活した出雲が言う。
「それじゃあパーティーの始まりよ!」
ルーアンの合図で鶴が丘一やかましいパーティーが始まった。



「ゴクゴクゴク、ぷはあ〜、やるわね野村君」
「ふっ、この位は当たり前ですよ。もう終わりですか?」
「なんのまだまだ〜!」
ルーアンとたかしがビール一気のみ対決をしている。二人ともすごい勢いで飲んでいるので、すでにビン十本を開けている。
変わってこちらはゲーム大会。とてつもなく大きなボード型すごろくだ。
「花織ちゃん、いつも思うけど、どうやって、こんなもの持ってきているの?」
「企業秘密です」
乎一郎が聞くが花織はそうしか答えず、さいころを振った。
「やった、6だ。いち、にい、さん、しい、ごう、ろく、ってああ〜!」
そのマスにはこう書いてあった。ふりだしに戻れと。
「残念だね、花織お姉ちゃん、次は私ね、えい!」
と言って、麗奈がさいころを投げる。すると、
「やった〜、上がりだ〜!」
「うそ…」
「ちぇっ」
「おめでとう、麗奈ちゃん」
花織、幸太、乎一郎が口々に言う。
またまた変わってこちらは那奈と出雲。例のごとく出雲は那奈の遊び道具になっている。
「那奈さん、そろそろ飲むのをやめたほうが…」
「なに言ってんだよっ!?まだまだこれからだろうがぁ!そらぁ、お前も飲め!!」
「うわっ、ちょっと!」
性格があだとなり那奈のなすがままとなる出雲。そしてその隣には太助とシャオ、翔子とキリュウが話している。



「ああ〜、伝われ〜♪俺の〜、あつ〜き、たましいよ〜♪」
酔ったたかしが歌い出した。相変わらず馬鹿でかい声だ。
「うるさいよ〜、たかし君」
「ああ〜、あーつーきー、おれの!たましいよぉぉぉぉ〜!!!!!(作詞作曲たかし)」
乎一郎の言葉をまったく聞かず、たかしは最後まで歌う。
「かわらないですね、野村君は」
出雲は呆れたように言う。
「でもたかしが静かだと余計に不気味だ」
太助が付け加えて言う。
「ふう〜、熱唱したぜ。おっ、ゲームやっているじゃないか。俺もやるぜ!」
花織達がゲームをやっているのを見て自分もやろうとするたかし。
「さっきからずっとやっているけど気づかなかったの?」
「ああ、ま、細かい事は気にするな」
花織の言葉にたかしはそう答え、ゲームに参加する。
麗奈と幸太は話をしている那奈、翔子、キリュウのところに行く。(ゲームに飽きたので)
「ねえ、那奈おばちゃん」
幸太がそう言うと那奈が動いた。
そのまま幸太にヘッドロックを食らわす。
「ぐえぇぇぇ〜〜」
「こ〜う〜た〜、だ・れ・が・おばさんだ〜!?あぁ〜?」
那奈の目は据わっていた。
「ご、ごめんなさい…な、那奈お姉様ぁ〜」
「よし、分かればよろしい」
そう言って幸太を解放する那奈。
「げほっ、げほっ」
「大丈夫、幸太?」
心配そうに幸太に声をかける麗奈。
「な、何とか…」
「ところでなんだ?」
那奈が尋ねる。
「ゲームに飽きてきたから、お父さん達の昔の事を聞きたいな〜って思って」
「昔の事か…。まあ、色々あったけど今ではいい思い出だな」
「そうだな、毎日退屈しなくてすんだし」
那奈と翔子が懐かしそうに話した。
「ねえ、二人だけで話していないで私達にも話してよ」
麗奈が言う。
「おお、悪い。昔話と言ってもな、まあ順に話していくか。昔は太助とシャオの周りには敵だらけだった。
やかましいことこの上なかったよ。ま、それはそれでおもしろかったけどな」
「お母さんは分かるとして、お父さんまでそんなにもてたの?」
納得できないような声で、幸太が言った。
「と言っても一部だけだけどな。ルーアン先生と愛原だけ」
「ふ〜ん。ねえ、関係図書いてよ、その時の」
「ああ、いいよ」
麗奈に頼まれ、書き出す翔子。
「ここはこうで…、できたぞ」
「「見せて、見せて」」
麗奈と幸太が翔子から紙をもらう。
「…なるほど、これじゃ敵が多い訳だ」
「両想いになっていたのはお父さんとお母さんだけか」
見ながら二人が言う。
「その中でな、あたし達はあの二人をくっつけようとしてたんだ。苦労が絶えなかったぞ」
「けど、それはそれで面白かったよな、那奈姉」
那奈と翔子がまた懐かしそうに話す。
「それってただのお節介じゃ……」
「ま、そうとも言う」
麗奈の言葉に軽く応える翔子。
「で、その努力が実って今に至るって訳か」
「そういう事だな」
今まで話さなかったキリュウが答えた。


「しかし、またこうやってあの時のメンバーがそろうなんて思わなかったな〜」
「ホントだね。ルーアン先生とキリュウちゃんが帰った時はもう会えないと思ったもんね」
たかしと乎一郎が言った。それを聞いた麗奈が言った。
「なに言ってるの。一人いないじゃない!」
「へっ、誰が?」
たかしが尋ねる。
「月の精霊だよ。お父さんに仕えていた。いたんでしょ?」
「そうそう、ってこの関係図にもそれらしい名前は載ってないぞ」
麗奈に続いて幸太も言う。
それを聞き、今日来た、たかし達は『えっ?』となった。
「なあ、七梨、話してないのか?」
「どうやらそうみたいだ」
翔子の問いに太助はそう答える。
「えっ、なに?何を話していないの?」
「教えてよ!」
子供二人が太助に言う。
「確かにいましたよね、月の精霊さんは」
「そうでしたね」
出雲と花織はそう言う。
「あ〜、みんななんか隠してる!」
「隠していないで教えてよ〜!」
二人がまた言う。
「言ってもいいんじゃないの、たー様?」
「そうだな、いつかは知るだろうし、隠す意味もないしな。シャオ」
ルーアンに言われ、太助はシャオに声をかけた。
シャオはうなずき、ポケットから一つのわっかを取り出した。八角形のわっかだ。
「何これ?」
麗奈が尋ねる。
「支天輪。俺はそれから月の精霊、守護月天を呼び出したんだ」
それを聞くなり、麗奈と幸太の二人は飛びつくように支天輪を取ろうとした。
「ちょっと、私が呼び出すのっ!」
「何言ってるんだ!俺だっ!」
と叫びながら無理矢理見ようとし、頭をくっつけながら片方の目で二人同時に支天輪を覗いた。が、
「「何にも見えない…」」
二人揃ってそう言う。支天輪を覗いて見えたのは、正面にいる自分達の母の姿が映るだけだった。
「もしかして…」
「私達心が汚くなったとか…」
二人が落込んでいると、
「そんな事ないさ」
と、那奈が言う。そしてシャオが立ち、
「はじめまして、ご主人様。私は守護月天シャオリンと申します。」
幾度となく繰り返し言ってきた言葉を、もう二度と言わないだろうその言葉をシャオは自分の子供に言った。
その言葉に二人は唖然とするばかり。というか状況を飲み込めていない。
「月の精霊守護月天はお前たちのお母さんだよ」
翔子の言葉で二人の思考はやっと動く。そして、
「「えぇぇぇぇーーーー!!!!!!!!!!!!」」
とてつもない大声で麗奈と幸太の二人は叫び、驚いた。あまりにもの大音量だったので、二人以外耳をふさいだほどだ。
「お母さん、精霊だったの…」
「昔わね、今は人間よ。太助様のお陰でね」
「なるほど、お母さんがお父さんの事様付けで呼ぶ理由が分かったよ」
納得したように幸太が言う。
「ねえ、昔はどんな風だったの?人間と精霊の恋なんてロマンチックだよねぇ〜」
「そんなもんじゃなかったぞ、昔は」
「でも、楽しい日々でしたよね」
太助とシャオが懐かしそうに言う。
「そう言えばこんな形になっているけど、あたし達が行ってからどうなったの?」
ルーアンが言う。
「そっか、その辺りのことまだ話してなかったのか。それじゃあ、昔話でもするか!」
「おっ、いいね〜」
たかしの提案に那奈が答える。
「たまには昔話に浸るのもいいかも知れないですね」
「そうだな。じゃあやりますか」
太助の一言で昔話が始まった。

続く