第1話「そフ男の使命」



その男の使命




{これはキリュウと作者のオリキャラが主役の小説です}





ある日、ある男のもとに、手紙が届いた。
「久しぶりだな。お前のせいで俺は刑務所送りになった!・・・・脱獄したがな。今、その恨みを晴らす!!」
「俺はある女の命を狙う。お前はその女を守れ。そういうゲームだ。俺が女を殺せば俺の勝ち。お前はただ守りつづけるしかない・・・ククク・・・」
「お前に断る権利は無い。だがいやならほっとけばいいさ。お前が他人を見殺しに出来るならな。
女の写真を入れておく。こいつは今鶴が丘中学校に通っている。あとは自分で探せ」
「なぜ俺がこいつを狙うのか・・・理由は無い。ただお前に復讐するために偶然選んだにすぎん。」
「楽しみにしてるぜ・・・お前をねじ伏せるのをな。クックックック」 その写真には、赤い髪の少女が写っていた。



  平和
  それは昔から
  突然乱れるものだ




 第1話

 「その男の使命」




その日、太助のクラスに転校生が来た。
名前は椿 周(つばき しゅう)。
席が遠いので、まだ少ししか話をしていない。
(まあ、その内仲良くなれるだろう)
太助は睡魔に襲われた。
午後3時。5時間目の授業である。一番眠くなる時間帯だ。


その日の帰り、太助は試練を受けるためシャオとキリュウと一緒に帰っていた。
「ま、待てキリュウ!そらアカン!!」
キリュウはダンプカーを大きくしていた。
さらに予めルーアンに陽天心を掛けてもらっている(巨大饅頭ワイロだね)
「うわ!!追いかけてくる〜・・・・ギャァァァァ」
2,3本電柱を倒しながら、ダンプカーは太助を襲う。
「ちょっとキリュウさん、あれはひどいですよ」
「いや、ちゃんと主殿が逃げられるくらいの速さにしている」
キリュウは平然とそんな事を言う。
「そうですか。よかった」
ちなみにダンプカーは時速40キロ。人間が逃げられる速さじゃない。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
太助の悲鳴が響いた。


「よくやったな主殿。今日はこの位にしておこう」
太助は何とか無事試練をクリアしていた。
「あ、ああ・・・今日はハードだったな」
「ご苦労様です、太助様」
もうここからはキリュウの試練も無く、平和な1日を過ごせる。

・・・はずだった・・・



それは突然の出来事だった。


バキン


と音を立ててキリュウの近くにある道路標識が壊れた。
「!?な、何だ?」
動転するキリュウ。
「ど、どうしたキリュウ!?」
「まあ、だめですよキリュウさん。むやみに物を壊したら」
どこかずれてるシャオ。
「いや、私はなにもしてないが・・・」
もうキリュウにも訳がわからない。
さらに今度は人んちの庭に飾られてある盆栽が砕けた。
ちなみにそれもキリュウの近くだ。
「くっ・・・とにかくここを離れよう」
キリュウが走り出した。二人もそれに続く。
その時、
「こっちだ!早く!!」
という声が聞こえた。
それは細いわき道から聞こえてきた。3人はその声のするほうに急いだ。
「大丈夫だった?」
そこには、今日やってきた転校生、シュウが立っていた。
「あ、ああ・・・助かったよ、ありがとう。」
太助が地面に座り込む。
「間に合ってよかった。こうなってるんじゃないかって心配して後をつけてたんだ」
「?・・・・どう言う事だ?」
怪訝な顔をする太助。
「とりあえず安全な場所へ行こう」
シュウが言った。
ということで、一同太助の家に向かったのだった。



「まず俺の事を説明します」
シュウは話し始めた。
ここは太助の家のリビング。この場にいるのは精霊3人と、太助、那奈、フェイだった。
「俺は護り屋という仕事をやっている、椿周といいます。その名の通り、あらゆる物を護るのが仕事。
今回俺はキリュウさんを守るためにここへ来ました」
「私を・・・守る?」
キリュウがつぶやいた。確かに、突拍子も無い話である。
「はい!質問!!」
那奈が突然手を上げる。
「あんたは人間か?」
これはみんな気になってたらしい。
シュウは吹き出してしまった。だが那奈がこんな質問をした理由は知っているようだ。
「俺は人間です。最初に言うべきだった」
「そうか・・・悪い、続きを頼む」
那奈は安心したような(?)顔をした。それを聞いてうなずくシュウ。
「実は今朝こんな手紙が届きました」
そう言ってポケットから手紙を取り出す。
「これは・・・」
そこには、確かに雑な字で、キリュウを狙うというような内容が記されていた。
さらにキリュウの写真もついている。
「こういう事なんです。手紙の送り主は分かってます。こいつは通称烏と呼ばれる始末屋です。
昔俺と戦って負けたので、刑務所にいたんだけど・・・脱獄したみたいです」
そこで那奈が不思議そうな顔をする。
「なんでキリュウが狙われるんだ?」
「それは偶然です。昔俺に負けたから今度は直接俺を狙うのではなく、自分に有利な条件を突きつけてきたんです。
赤の他人を狙うと言う卑劣な手段を使って・・・だからキリュウさんが狙われたのは俺のせいでもあるんです。
だから俺はその責任を取るためにキリュウさんを守りに来たんです」
シュウは申し訳なさそうに言った。
「さっきはなんで突然道路標識とか盆栽が壊れたんだ?」
太助が尋ねた。
「ああ・・・あれは狙撃です。恐らく1キロ近く離れた所から狙ったんでしょう」
「そ、狙撃!!?」
これにはさすがに皆がおどろく。(3精霊以外)
フェイも驚いてるのが不思議だ。狙撃を知っているらしい。
「他に何か質問はありますか?」
始末屋だの、護り屋だの、狙撃だの・・・
なんかこんな漫画あったな、なんて一同思ってみたり。
しかし現に、さっきキリュウは狙われていたようだった。
しかもシュウはキリュウ達を助けたのだ。
味方だという事は信用していいようだ。
「あなたの実力は信用できるの?」
珍しくフェイが喋った。
「確かに・・・あんたが強くなきゃ守ってもらう意味無いわね。あんたの実力を見せてよ」
ルーアンも納得する。
シュウはちょっと困った顔をしたが、了承した。
「まあそりゃそうか・・・じゃあ皆さん外に出てくれませんか?俺の実力を見せましょう」




午後5時。
七梨家の前の道路である。
「ここに ビー玉があります。これを空に投げて俺が目隠しをして撃ち落す、というのは?」
ビー玉といっても直径3pもないほど小さいものだ。それを目隠しして・・・・一同どよめいた。
「何で撃ち落すの?」
これはルーアン。
「銃で。ちなみに本物です」
・・・・・なに!!っと一同一歩引いた。
「銃って何ですか?太助様。火縄銃と違うの?」
シャオが尋ねた。
「人を殺せる危ない道具だ。あの穴から目に見えない速さで鉄の弾が出る。火縄銃より凄い」
自分でもなに冷静に解説してんだ?と思う太助。
「まあ、銃を持ってるのも証明になったでしょ?」
シュウはそんなことを言っている。
「じゃいきます」
そういって目隠しをかけた。
誰もが夢を見てるように錯覚したことだろう。


 ガオォォォォン・・・


銃声がしたかと思うと、ビー玉は粉々に砕けていた。
「そ、そんな・・・ただでさえ小さくて、しかも目隠ししていたのに・・・・」
「まあこんなもんで?」
沈黙が流れた。



この日、シュウは太助の家に泊まることになった。
寝る場所が無いので、とりあえず太助の部屋で寝る。
「やっぱいきなりこんな事になっても信用できる訳ないよねぇ」
シュウが言った。
「まあそうだけど、現にキリュウは狙われたし、そこをシュウが助けてくれたし、凄いし・・・信じるよ、俺は」
にっこりと微笑む太助。
「・・・ありがとう」
ちなみにシュウは精霊について一通り知っていた。自分がガードする人(?)を調べるのはプロとして当然・・・ということらしい。
「それより・・・」
太助が言った。
「問題はキリュウだろ」


実は昨日、キリュウだけが
「私は人間に守ってもらう必要など無い。自分の身は自分で守る。 それにその程度の事が出来たって絶対に私の方があなたより強いだろう」
と言ってガードを拒否したのだ。


「そうだった。本人が拒否したらどうしようもないな」
「でもキリュウにガードはいらないと思うけど・・・」
キリュウは精霊だ。人間よりは絶対に強いと思う太助。
「いや、今日だって狙われてたの気付かなかったでしょ?俺はどんなに離れていても殺気を感じる事が出来る。
だから長距離から狙われてもキリュウさんを守れるんだ。」
「なるほど・・・それは訓練した訳?」
「うん。まあね・・・」
その時、太助はシュウに何となく暗いものを感じた。
初めて会ったときからシュウの雰囲気はどこか暗いものを放っている事に、太助は気付いていた。
まあ、それはいつか話してくれるだろう・・・・そう思って、太助は何も言わなかった。
「さて、どうしたものか・・・」
そこに那奈が入って来た。立ち聞きしていたらしい。
「私にいい考えがある!」
「なになに?」
太助とシュウが那奈の方に集まる。
「シュウ」
「はい?」
シュウが不安げな表情をする。
「キリュウと戦え」
太助が呆れた顔をする。
「はあ?何言ってんの姉貴」
「いや、いい考えかもしれない。俺の方が強いと認めさせれば・・・」
だがそれはシュウが勝ったらの話だ。
「でも勝てんのか?キリュウに」
「まあ、なんとかなるさ」
シュウは笑って答えた。
「でも逆にキリュウが怪我をしたら・・・だってシュウは銃を使うんだろ?」
「それは大丈夫」
シュウはポケットから一つの銃弾を取り出した。
「特殊ラバー弾だから当っても何とも無い」
「よっし!じゃあ勝負の方法だけど、こんなのはどうだ?」
そう言って那奈は話し始めた・・・







 〜後書き〜


  はじめまして。ペンネームくるぶしと言います。
  オリジナルの精霊とかは結構皆さんだしてるので、人間を出してみました。
  しかも精霊より強い人間にするためにすごい武器を使わせよう、ということで銃を持たせてみました。
  無理なストーリーですが、これから少しずつまとめようと思います。
  小説を書くのは初めてで未熟者ですが、これから頑張って腕を上げていこうと思いますのでヨロシクお願いします。