寒空に起きた出来事(1)






私は大変な罪を犯してしまった。
それは冬の雪が降る季節のことだった。
冬になると起きるのが辛くなる。
この日の朝も寒かった。
ピピピ、ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・
私の目覚ましがなった。
だが私はもっと眠りたいので目覚ましを切るとまた眠った。
五分後、第二の目覚まし時計が発動した。
「万象大乱」
自分の声を録音した目覚ましがなった。
目覚ましの前に置いておいたのは昨日シャオ殿に貸してもらった包丁だ。
包丁の刃を上に向けておいてある。
その包丁は徐々に大きくなっていった。
包丁がどんどん大きくなるとそこには数十本の糸がはってあり、糸の先には弓矢の弦が引かれていた。
その弓は特殊な作りで矢を固定することが出来、そのまま弦を引いている糸を切ると矢が飛ぶ仕掛けだ。
それを数十本の弓矢は私目掛けて飛ぶのだ。
そして包丁は大きくなり糸を少しずつ切っていった。
最初の数本の矢は寝ている私、目掛けて飛んできた。
それに気が付いた私はベットから飛んだ。
すると次々に糸が切れて、飛んでくる。
矢は部屋全体に飛んだ。
私は寝ぼけながら私に飛んでくる矢をすべて避けた。
そして何とか起きた私は寒いので半纏を羽織って廊下に出た。
廊下を出ると主殿が立っていた。
「おはよう、キリュウ」
主殿が挨拶をしてきた。
「・・・・」
だが私はいつもの事ながらボヘーとして主殿に挨拶をしなかった。
私はそのまま台所に向かった。
私が台所に行くと朝ごはんを作っているシャオ殿にあった。
「キリュウさん、おはようございます」
シャオ殿は私を見て挨拶してきた。
「・・・・」
私はシャオ殿に挨拶を返さず椅子に座って料理が出来るのを待つことにした。

みんな、私は挨拶を返さないことはわかっているが、一応挨拶をしてくるのだ。
主殿も台所に来た。
「シャオ、おはよう」
主殿は挨拶をした。
「おはようございます、太助様」
シャオ殿も挨拶をした。
そこにルーアン殿も来た。
「たー様、おはよー」
ルーアン殿は朝から元気だった。
「ああ、おはよう」
主殿は挨拶した。
「シャオリン、キリュウ、おはよう」
いつも主殿に挨拶してから私たちに挨拶してくるのだ。
「おはようございます、ルーアンさん」
シャオ殿は挨拶した。
「・・・・・」
私は挨拶をしなかった。
そこにフェイ殿が来た。
シャオ殿はフェイ殿に挨拶した。
「フェイちゃんおはよう」
「・・・・」
フェイ殿が椅子に座るとシャオ殿はご飯と味噌汁を私たちの前に置いていった。
そしてすぐにおかずを持ってきておいた。
そしてシャオ殿が椅子に座りみんな食べ始めた。
「いただきます」
みんな食べるときは静かに食べている。
そして食べ終わり、リビングの私はふと窓から外を見た。
すると雪が積もっていた。
一昨日から雪が降り始めていたのだ。
今日も雪が降っていた。
私は雪を見ながら、昨日主殿が試練を受けている最中に考えた試練を試そうと思った。
この考えが後で大変な事になるとは今の私も予想がつかなかっただろう。
「主殿、今日は広いところで試練をしようと思うのだが」
私は危なくないよう広いところで試練をすることを告げた。
「そうだな、雪が積もっているからな」
主殿も、雪が積もっていることを知っていた。

「でもキリュウ、どこに行くんだ?」
「学校の校庭などはどうだ?主殿」
私は主殿の学校の校庭は広い事を思い出し主殿に提案した。
そして学校の校庭ならば車などに気をつかわなくてもいいからだ。
主殿は少し考え込んだが賛成してくれた。
「では着替えてから行くとしよう」
そして私は着替えをするために部屋に向かった。
「俺も着替えないとな」
主殿も着替えるため部屋に向かった。
そして私は着替えが終わり玄関に来ると主殿がいた。
「じゃあ、行くかキリュウ」
「ああ」
主殿は元気がよかった。
「じゃあ、シャオ行ってくる」
「シャオ殿、行ってくる」
「太助様、キリュウさん、いってらっしゃい」
私と主殿はシャオ殿に挨拶し、玄関を出た。
外に出るとやはり寒かった。
風や雪が顔に当たるたびに寒さが身にしみた。
私は短天扇を大きくして主殿と乗った。
「寒いけど大丈夫か、キリュウ」
「ああ、平気だ」
主殿は寒いのが嫌いな私に心配してくれた。
実は寒かったが主殿に心配をかけさせたくなかった私は、我慢して平気な顔をした。
「あ、キリュウ、ちょっとスーパーによっていいか?」
「ああ、いいが」
私と主殿はスーパーに向かった。
スーパーに着くと主殿は中に入っていった。
私は外で少し待っていると主殿が何かを買って戻ってきた。
私は中身が気になり主殿に聞いた。
「主殿、何を買ってきたのだ」
「肉マン二つ、暑いお茶四つ、キリュウこの雪と寒さの中大変だろうと思ってさ、お茶は温まりたいときは飲んでいいよ、肉マンは試練が終わってから二人で食べよう」
主殿は本当に優しい。
私の事を気にして温かくなる物を用意してくれたのだ。
私はうれしかったが顔に出さなかった。

「では行くとしよう」
「ああ、用事も済んだし」
そして私と主殿は学校の校庭に向かった。
学校の校庭は一面雪だった。
「うわー意外と積もったな」
主殿は靴で着ていた。
主殿の靴は雪に埋もれていた。
私も靴で着ていて、埋まっていた。
「では始める前に私と一緒に雪球を作るのを手伝ってくれないか、主殿」
「別にいいよ」
私と主殿は一生懸命雪球を作った。
「ふぅ、このぐらいでいいか、キリュウ」
「ああ、これだけあればいいだろう」
数十分の内に雪球は100個以上作った。
よく作ったと私は思った。
主殿は買った物が入っている袋を私に渡して言った。
「この買った物は小さくしてポケットにしまっておいて」
私は万象大乱で買った物を小さくしてポケットにしまった。
「では、始めるぞ、主殿」
「よーし、来い」
私はまず主殿の上に雪球を何個か投げた。
「万象大乱」
主殿の上の方に飛んだ雪球が巨大になり落ちてきた。
「よっと」
主殿は簡単に交わして行った。
「どんどん行くぞ」
私は何個か主殿の上に投げると雪球を主殿目掛けて投げた。
「万象大乱」
主殿の上に飛んだ雪球と、主殿に向かって投げた雪を一緒に巨大にした。
「うわっ!!」
主殿は擦れ擦れで飛んできた巨大な雪球を交わすとそこに雪球が落ちた。
「くっ」
主殿は何とか落ちてくる雪球をかわした。
それを私は隙を与えずいろいろなパターンで投げた。
私は時々自分が何とか見えるぐらいの大きさで主殿に投げ、主殿に近づいた時に大きくすると言う攻撃はやはり当たったが、主殿は何とか体勢を立て直し落ちてくるのを避けた。

「流石だ、主殿」
私は感心した。
雪球を当たっても何とか体勢を立て直すのも感心するが、周りを見ると主殿の動いた後には雪の塊がいくつもあり、雪の塊が道をさえぎったりしている中、主殿は一生懸命避けていたのだ。
だが主殿も体力が無くなってきているはずとふと主殿を見ると主殿の足が向かうところにつんで行った雪球が塊としてあった。
「主殿、後ろは危ないぞ」
私は声をかけたが間に合わなかった。
ゴス・・・
何か硬い物に当たった音がした。
「大丈夫か、主殿」
何か硬い物が当たった音がしたけど主殿のことだ無事でいるだろうと思って声をかけたが返事が返ってこなかった。
「主殿?」
私は飛んでいる雪球を小さくして主殿に駆け寄った。
「主殿、大丈夫か?」
私は顔を覗きこんだ。
「あ・・あ・」
主殿は倒れてうめき声を出していた。
この時、私はふと何か主殿の横に赤い色をした雪が所々にあったのに気がついた。
よく見るとそれは血だったのだ。
「主殿、しっかりしろ!!」
私は主殿の状態を起こすと主殿の頭の下に大きな塊が血に染まっていた。
私がその塊をさわるとすごく固かった。
雪を払ってみると石の塊だった。
「なぜこんなところに、こんな石が!!」
私のこの時の顔は、真っ青だったに違いない。
「主殿!!」
「キ・・・キリュウ・・」 何とか主殿は答えられた。
だがその後主殿は気を失った。
「しっかりしろ、主殿、今家に連れて行ってやるぞ!!」
私は主殿を小さくすると短天扇に乗って家に向かった。