寒空に起きた出来事(2)



寒空に起きた出来事(2)






私は家に着くなり慌ててシャオを探した。
「シャオ殿!!シャオ殿!!」
「どうしたんです?キリュウさん」
シャオ殿は自分の部屋から出てきた。
「シャオ殿、すまない!!実は・・・」
私は、シャオ殿に主殿が試練中に怪我をした事を、しかも酷い怪我を負った事を話した。
「太助様!!来来、長沙」
シャオ殿は涙目になって太助に近寄って、支天輪から長沙殿が現れた。
「ぬりぬり、ぬりぬり」
長沙殿が主殿の後頭部を塗り始めた。
「ちょっと、あんた達、何騒いでんのよ?」
私とシャオ殿が騒がしかったらしく、ルーアン殿とフェイ殿が降りてきた。
「実は・・・・」
私の変わりにシャオ殿がルーアン殿とフェイ殿に説明してくれた。
「キリュウ、あんた、たー様に何してんのよ!!」
「ルーアンさん、キリュウさんだって試練をしていたんですから」
「いいのだ、シャオ殿、ルーアン殿の言うとおり私の不注意で起きた事故だ」
私は自分の部屋に戻ってベットに座った。
小さくしていた肉マンとお茶を元に戻して冷えた肉マンを食べた。
食べているとき涙が目に溜まっていた。
「主殿、早く直ってくれ」
そう呟いた時ドアをノックする音が聞こえた。
「キリュウさん、入りますよ」
シャオ殿は扉を開けて入ってきた。
その手にはィ茶を持っていた。
「シャオ殿、そのお茶は?」
「キリュウさん、いろいろありましたからお茶でも飲んでもらおうと思って」
シャオ殿は、にっこりと笑ってお茶を差し出してきた。
私は受け取るとお茶を一気に飲み干してしまった。
「あら?キリュウさん、そこに置いてある肉マン暖めますか?」
シャオ殿はベットの上に置いてあった肉マンを見つけたのだ。
「冷たいままでいい、それよりシャオ殿」
「はい、何ですか?」
私は聞いてよいのかためらったが勇気を出してシャオ殿に尋ねた。
「シャオ殿、主殿が大変なことになっているのに、なぜそんなに笑顔なのだ?」
するとシャオ殿の頬を涙が流れた。

だがシャオ殿は笑顔だった。
そして喋り始めた。
「だって・・そうしないと・・・キリュウさん・・・自分のこと攻め続けるから・・」
「ありがとう、シャオ殿」
シャオ殿は私に気を使ってくれていた。
「ところでシャオ殿、主殿の容態は」
「怪我の治療は終わりましたが、まだ気を失っています・・・」
「そうか・・・シャオ殿、主殿のそばにいなくてよいのか?」
「これから行こうかと」
シャオ殿は私が飲んだお茶を手に持って部屋から出て行った。
私は何もすることが思いつかず、ベットに横になって寝てしまった。
私は寝て起きるともう夜になっていた。
毛布と布団が無くっていて、寒くて起きたのだ。
もう一度寝ようと布団と毛布をかけ直して寝ようとした。
だが夕食を食べておらず、寝れずにいた。
仕方が無く台所に食べ物を探しに行く途中、主殿の部屋に様子を見に行ってみた。
部屋をそっと開けてみるとシャオ殿が主殿の横で疲れたのか毛布も何もかけずに寝ていた。
ずっと主殿が意識を取り戻すのをじっと待っていたのだろう。
私はシャオ殿の部屋に行き毛布を持っていき、そっとシャオ殿にかけた。
そして私は台所に行くと、テーブルに夕食の私の分が置いてあった。
私は電子レンジという物の使い方が分からず、冷め切った夕食を食べた。
「寒い・・・」
食べ終わると食器を流し台に置いた。
「戻るか・・」
私は寒さでガタガタ震えながら自分の部屋に戻った。
部屋に戻るとベットに入り体を温めて眠った。
そして朝になった。
目覚ましが発動した。
今度は万象大乱で天上に下げた氷が何個と、氷が溶けぬようドライアイスを入れた袋を巨大にして、落とした。
私はそれを避けると、今度は氷がもともと冷たい空気をさらに冷たくし、寒さで目が覚めた。
私は、部屋を片付けると台所に向かった。
台所に着くと、ルーアン殿、フェイ殿が椅子に座っており、シャオ殿が料理をテーブルに並べていた。
「主殿はまだ気を失っているのか・・・・」

私はボソッと言葉をつぶやき椅子に座った。
みんなの前に朝食が並び、みんなが食べ始めた。
だが、その場の雰囲気は暗かった。
主殿がいないから雰囲気が暗いのだ。
私は食べ終わると主殿の容態を見に主殿の部屋に行った。
主殿の部屋に入り主殿の近くまで行くと、一瞬だが手が動いたような気がした。
「主殿・・」
私は主殿に呼びかけてみた。
すると、手が動いた。
「主殿!!」
私は主殿にもう一度呼びかけた。
「キ・・キリュウ・・・か」
主殿は返事を返してくれた。
「主殿、シャオ殿を呼んでくる」
私は急いで部屋を飛び出し、台所に向かった。
そして台所で食器を洗っているシャオ殿に知らせた。
「シャオ殿!!主殿が意識を取り戻したぞ!!」
「本当ですか!!キリュウさん!!」
そしてそれを聞いたルーアン殿とフェイ殿も主殿の部屋に駆けつけた。
そして主殿の周りに集まった。
「太助様!!」
「シャオ、俺に何があったんだ?」
「私が説明しよう」
私は何も覚えてない主殿に今までの出来事を教えた。
「たー様、みんな心配してたのよ」
「そっか、みんな心配かけてごめん」
主殿が意識を取り戻してみんな元気になっていた。
私も元気になった。
「そう言えば、周りが真っ暗だけど夜なの?」
「朝ですけど、あ!!包帯で目まで一緒に包帯で巻いていしまいました」
「シャオリンったら、なにやってんのよ」
シャオ殿は包帯を取り外した。
「あれ?包帯はずしたんだよね、何で目の前が暗いんだろ」
「でも、太助様、目を開けていますよ?」
主殿は目を開けてシャオ殿を見ていた。
「おかしいな」

「太助、私がどこにいるかわかるか?」
フェイ殿が主殿の後に立って喋った。
主殿が振り向いた先は、斜め後、しかも誰もいない場所を見ていた。
「そこにフェイはいる?」
「・・・」
私たちは呆然としていた。
目の前が真っ暗といっている主殿は目を開けている。
私は信じたくなかった。
主殿の目が見えなくなったのを・・・。
≪中意!!本当に目が見えなくなるのかはわかりません≫
「ははは、シャオ、目が開かないんだ、何度開けようとしても・・・」
「太助様、ずっと・・・開けていますよ・・・」
シャオ殿の目に涙があふれていた。
シャオ殿も主殿が目が見えないことがわかったのだろう。
信じたくはなかったが、その言葉を聞いて私も信じるしかなかった。
「たー様、嘘だといってよ、私たちをからかっているのよね」
「嘘なんかじゃないさ・・」
「・・・主殿・・・・」
私はどうすればいいか分からず、声をかけた。
すると、ルーアン殿が私の胸倉をつかんできた。
私は何の抵抗もしなかった。
「あんた!!たー様の目、どーしてくれんのよ!!」
「私に言われても・・・」
シャオ殿は主殿の前で泣きじゃくっていた。
「ルーアン!!別に、キリュウのせいじゃないよ、運が悪かったんだ、だからキリュウをそんなに攻めるのは」
ルーアン殿は私の胸倉をつかんでいた手を離した。
「私より、シャオリンはどーするの、たー様」
シャオ殿はずっと泣いていた。
主殿は手をシャオ殿の頭を探し、なでた。
「シャオ、まだずっと目が見えないわけじゃないよ、ちゃんと病院にいってみてもらわないと」
「うっ・・・う・びょ・・病院・・って・・なんですか?・・」
シャオ殿はやっと泣くのを止めて、病院とやらのを聞いた。
「病院って言うのは、人が怪我をしたり病気になったりした時、その怪我や病気のなった原因を教えてくれて、治療してもらうところだよ」

主殿はシャオ殿の頭をなでながら病院とやらの説明をしてくれた。
「じゃあ、太助様も直るんですか?」
「まあ、でも治療の仕方がわからなかったら直らないけど・・・」
シャオ殿は泣き出しそうな顔をしていた。
「まあ、とにかく行ってみないとわからないから」
主殿は立ち上がろうとしたが目が見えないせいか、なかなか立てなかった。
「主殿、無理に立つことは無い」
「そうよ、たー様、私たちが差さてあげるわよ」
「そうです、太助様」
シャオ殿は主殿の片方の腕を首にかけて、持ち上げた。
「太助様、行きますよ」
「え、軒轅で行くの?」
主殿は苦笑いをしていた。
シャオ殿は支天輪を取り出した。
「はい、来来、軒轅」
シャオ殿は主殿を軒轅に先に乗せて、その後からシャオ殿が乗った。
「太助様、しっかり落ちないようつかんでください」
「あ、うん」
そして、軒轅に乗って病院とやらに向かった。