寒空に起こった出来事(3)



寒空に起こった出来事(3)



主殿とシャオ殿は病院とやらに向かった。
「私は・・・」
私は考えた。
どうすればいいのか。
「・・・だめだ、思いつかない」
だが思いつかなかった。
そして、部屋へと私は戻っていった。
部屋の中に入ってどれくらい経ったろう。
私はずっと考え込んでいた。
「これでは・・・主殿に合わせる顔が無い」
その時、頭に浮かんだのはこの家から出て行くことだった。
「主殿もこの事で嫌ってしまうのであろう」
そして私は部屋にあった茶色いコートを着て部屋を出た。
私が階段を下りているとルーアン殿が立っていた。
「あんた、どこ行く気なの」
「私は主殿に嫌われる、だから出て行くのだ」
「あんたねー、たー様に聞いてみないと・・・っていないじゃないの!!」
私はルーアン殿が喋っている間に家から出た。
昨日よりも寒くコートと朝から着ている服だけでは寒かった。
「あ・・・手袋をしてくるのを忘れてしまった」
しかも手袋をしてくるのを忘れていた。
私は手を息で温めながら公園へ向かった。
「はぁーはぁー、やっと着いたか」
私はやっと公園に着いた。
私はブランコに座った。
「これからどうしよう」
実は私は何も考えが無かった。
「はぁ・・・・」
体全体に来る寒さを耐えるだけだった。
私は考えに耽っていた。
「キリュウ、こんなところで何してんだ?」
「しょ・翔子殿!!」
私の目の前に翔子殿がビニール袋を手に提げていた。
私は考えに耽っていて翔子殿に気づかなかったのだ。
「どうしてこんなところに!?」
「実は買い置きのお菓子なくなっちゃってさ、それよりキリュウは何してんだ?」
私は顔を下に向けた。
「言ってみろよ、悩みだったら協力するぜ・・・こんな所では話すのもなんだからさ、家に来いよ、暖かい物もだすし」
「そうだな・・・」
私は顔を上げて翔子殿と一緒に翔子殿の家に向かった。
翔子殿の家へ着き翔子殿の部屋へ入った。
「キリュウ、いまお茶持ってくるから」
翔子殿はお茶を取りに部屋を出ていった。
私は主殿以外の部屋にめったに入らなかったから、違和感があった。
周りはほとんど物が置いてなくシンプルだった。
ベットの周りには瓠瓜殿の人形が多数あった。
「あれは・・・翔子殿が作ったのか?」
そんな疑問を抱きつつ少し待った。
バタン
「キリュウ、はいお茶」
翔子殿はお茶を入れたカップとポットを持ってきた。
「ありがとう、翔子殿」
私はカップを取りお茶を飲んだ。
今まで寒い所にいた成果全身が温かくなった。
「んで、どうしたんだ、あんな所で・・まさか太助が追い出したんじゃ・・・」
「いや、勝手に私が出てきたのだ、主殿は悪くはない・・」
私はお茶を飲むと翔子殿が
「もしかして、ついにシャオにやきもちやいて出てきたのか?」
「ごほっ、ごほっ、な、何を言うか翔子殿!!」
私は翔子殿の言葉に驚き噎せてしまった。
「わりー、わりー、冗談だよ、じょ・お・だ・ん」
「まったく、翔子殿は・・・」
私はポットを取りお茶をカップに注いだ。
「で、本題に行こうか・・・キリュウ、何があったんだ?」
私は今までのいきさつを翔子殿に話した。
そして話を終えた。
「なるほど、キリュウは太助の家に自分の居場所がないから公園にいた」
「ああ、翔子殿・・・私は・・・」
翔子殿は私の肩を叩いた。
「元気だせって、太助はそんな事思っちゃいないぜ、それに、お前がいないと知れば太助は探すはずだぜ」
「それでは、私はどうすれば言いのだ、翔子殿」
「そんなに償いをしたきゃー」
翔子殿は考え込んでしまった。
「翔子殿?」
「う〜ん、そうだな、目がよくなる物や、目に効く温泉やらなんやら、つれてってみたら?太助も喜ぶぞ〜それに、償いにもなるし」
私も考えてみたがそれしかないようだった。
「では、早速探すとしよう」
私はカップに入っていた残りのお茶を飲むと立ち上がった。
「あっ!!ちょっと待ってろよ、キリュウ」
「どうしたのだ、翔子殿?」
私が翔子殿に聞いた時にはいなった。
そして数十分経った。
私はポットを取りカップに注いで飲んでいた。
すると、行きよいよく翔子殿はドアを開けて入ってきた。
「はぁ、はぁ、キ・・キリュウ、これ・・やるよ」
「これは!!」
翔子殿が持っていたのは「温泉を知り尽くし!!」と言う温泉の種類・効果など載っている本であった。
「ああ、親が昔に温泉行くとか言って、温泉の本買って読んでいたのを思い出して」
「翔子殿ありがとう・・」
私は本を受け取り外に出た。
「寒い・・・」
今まで翔子殿の部屋で体が温まっていたせいか、翔子殿と会う前より寒かった。
私は「温泉を知り尽くし!!」を読みながら歩いた。
「ふむふむ、ここの温泉一度行ってみたいな、主殿たちと相談してみよう・・・」
「キリュウさ〜ん」
そんなことをいいながら歩いていると遠くの方でシャオ殿の声が聞こえてきた。
「シャオ殿?」
私はシャオ殿の所まで走って行った。
「太助様、キリュウさん見つけました」
「ありがとう、シャオ」
「シャオ殿に主殿まで・・・」
シャオ殿の所に向かうと主殿がシャオ殿の肩に捕まって立っていた。 主殿とシャオ殿は私が出て行ったことをルーアン殿に聞いたのであろう、私を探してくれていたのだ。
「主殿、シャオ殿・・・すまぬ、心配をかけて・・・」
私は主殿とシャオ殿に頭を下げて謝った。
「キリュウ、俺は嫌ったりなんかしないからな」
「そうですよ、キリュウさん」
主殿はそう言って微笑んだ。
私は主殿の目を治す効果のある温泉で目を治してもらおうと私は温泉に誘った。
「主殿、温泉に行かぬか?」
「え?!」
「温泉ですか、キリュウさん」
「うむ、温泉で目を治す効果がある所にいっていれば、目が自然と治るだろうと思って・・・」
私は少し赤くなりながら話した。
「それに八穀殿に目を治す薬草を持ってきてもらえば、効き目もよくなるだろう」
「わかった、明日にでも出かけるとするか」
「本当か?主殿」
「ああ、本当だ」
私は喜んだ。
これで主殿に償いが出来るのだから。
そして、私とシャオ殿、主殿は家に戻っていった。
家に戻ってくるとリビングのコタツで三人して温まっていた。
「あったかいですね、太助様」
「そうだな、外は寒かったから」
「そうだな」
すると主殿は何かを思い出した顔をした。
「そう言えばシャオ、虎賁を呼び出してくれないか?」
「虎賁ですか?」
主は照れくさそうに
「いや、風呂とかトイレとか連れてってくれるのは男の方が安心できるし」
「太助様が言うなら、来々、虎賁」
シャオ殿は虎賁殿を呼び出した。
「万象大乱」
そして私は虎賁殿を大きくした。
「よーし、坊主、俺がしっかり面倒見てやるからよ」
「お願いね、虎賁」
虎賁殿はやる気満々だった。
「それじゃ、坊主、部屋に行くか」
虎賁殿と主殿は主殿の部屋に行こうとしたとき、主殿は振り向いた。
「なあ・・・キリュウ、簡単な試練だったら受けるから」
「な!?何を言っているのだ、主殿!!その体では満足に動くことも出来ないぞ!!」
「そうですよ、太助様、今は、体をしっかり休めてください」
私とシャオ殿は驚いてしまった。
「簡単なのでいいんだ、そうしないと体が鈍るし、それにこれも試練だからな」
「主殿・・・わかった」
私は主殿を止められないと思った。
シャオ殿のために試練を受ける主殿が背負っている物は大きいからなのだろうか・・・
「だが主殿、シャオ殿に心配をかけてはならぬぞ」
「ああ、わかっているよ」
主殿はニコッと笑った。
私はその後温泉の本を読み、場所を探したが、やはりどこに行くか迷ってします。
そして、出した結論が木々に話しかけ、目に効く温泉があるところを教えてもらうことにした。
「うむ、やはり温泉は自然のほうが治りやすいだろう」
コンコン
部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「ん?誰だ?」
「私だ」
ガチャっと扉を開けるとフェイ殿が立っていた。
「キリュウ、太助は優しい男だな、試練のせいで目が見えなくなったのに、キリュウのせいにしなかった」
「フェイ殿、その言い方はやめてもらえぬか、さっきまで私は罪を償おうと目に効く温泉を探していたのだからな」
フェイ殿の言っていることはわかる、結局は私の行った試練が元で起こったのだから、だが主殿は本当に優しい。
フェイ殿は私の肩に手を置いた。
「そんなに急がなくても、太助は待っているから」
「そうだな、だが主殿もシャオ殿の顔を早くみたいだろうからな、できる限りはやく済ませて見せる」
フェイ殿はキリュウの頭をなでると笑った。
「太助も喜ぶぞ、その台詞を聞いたら」
「ば、馬鹿なことを言うな、フェイ殿!!」
笑いながらそそくさとフェイは立ち去っていった。
「ふう、明日からでも、決行だな」
そうしてキリュウは寝ることにした。