寒空に起こった出来事(4)



寒空に起こった出来事(4)



そして朝になった。
私は前にやったことのある仕掛けで目を覚ました。
私はまだ眠いのだが、一生懸命テーブルに向かった。
台所に行くともうみんな座っていた。
「おはようございます、キリュウさん」
「ん?キリュウが着たか、おはようキリュウ」
「おはよう、キリュウ」
「キリュウ姉、おはよう」
主殿、シャオ殿、フェイ殿、虎賁殿はテーブルに着いた私に挨拶をした。
ルーアン殿は相変わらず早いペースで朝食を食べていた。
「ああ、そうだった、虎賁殿は主殿の世話をしていたんだったな」
「ああ、月天様の頼みだ、真面目にやってるよ」
「やっぱ、目が見えないと不便だな」
「「いただきます」」
ルーアン殿を抜かしてみんなは挨拶をして、食べ始めた。
主殿の食事は誰がするかと見ると虎賁殿がやっていた。
「ルーアンがせっかく食べさせてあげようとしたのに〜」
「だって日天がすると、坊主が迷惑するだろうかな」
「・・・・・」
シャオ殿は何だが言いたそうな顔をしていた。
「なんで、たー様が迷惑するってわかるのよ」
「いつも迷惑してんだよ、坊主は」
「なんですって!!」
ルーアン殿は激怒してそこいらの物に陽天心をかけた。
「やめろよ、ルーアン!!」
「そうですよ、太助様にもしもの事があったらどうするんですか!!」
「わ・・わかったわよ」
ルーアン殿も主殿にもしもの事があったらと言うことでこの場は収まった。
そして私は食事が終わり、リビングで一休みしている時に温泉の事を話した。
「主殿、みんなで温泉に行かないか?」
「え?どうしたんだキリュウ?」
「いや、主殿の目を治すべく目に効く温泉に行き、そこで目に効く薬草を食べる計画なのだが、どうだろう、主殿?」
私はなぜか顔を赤らめて言った。
「あ〜ら、いいわね、温泉なんてね〜、た〜様」
「太助様の目を治すためにも、行きましょう、太助様」
「そうだな、せっかくキリュウが誘ってくれたんだしな」
「本当か!!主殿」
私はうれしかった。
これで主殿に償いができると思ったからだ。
「で、何時行くんだ?キリュウ」
「今日だが?」
一瞬沈黙が走ってしまった。
「な、なら早く準備しなきゃな」
「なら俺は坊主の荷物もって来るぜ」
「ちゃっちゃっと準備すませて温泉いくわよ〜」
「私達も準備しなきゃね、フェイちゃん」
「そうだね、シャオ」
私が今日と言ったからみんな慌てて荷物をまとめ時間あるので一時間後出発することになった。
私は主殿に「温泉を知り尽くし!!」で見つけた場所の電話をしてもらった。
あくまで主殿は電話で話してもらうだけだ。
そして突然の予約でも運良く予約ができた。
準備が終わって何で行くかについて話し合いが始まった。
「で、何で行くんだ?」
「短天扇か陽天心を駆けた大きな物のどちらかだろう?」
「乗り物に乗りたい」
フェイ殿が乗り物に乗りたいと言った。
「だが、主殿の事を考えると乗り物よりは短天扇か陽天心を駆けた大きな物の方がいいのでは?」
「試練だよ、キリュウ」
試練と言われ万難地天である私は仕方なく認めた。
「わ、わかった」
「だけど、フェイちゃん」
「月天様心配すんな、俺がちゃんと坊主に付き添うしな」
「シャオも、太助と一緒に行くんだから安心できるでしょ」
「で、乗り物っていっても何で行くのよ?」
「車も無いし、電車しかないだろ」
「駅までは、何で行くのだ?」
結局駅までは短天扇をみんなが乗れるぐらいの大きさにして乗っていった。
そして駅に着いた。
「キリュウさん、どこに行くんですか?」
「ここなのだが」
私は翔子殿から貰った本を見せた。
「どうかしましたか?」
その時、駅員が着てくれた。
そして、どこの駅で乗り換え、どこの駅で降りるのか教えてもらった。
「ありがとうございました」
「よい旅を」
駅員はそう言って立ち去っていった。
「では行こうか」
そして電車に乗った。
私は電車は初めてだった。
話に聞いていたのは、人がいっぱいで隙間がないと聞いていたが今乗っている電車は作りが違って椅子とテーブルがちゃんとあり、人が立っていないような形になっていて私達はその一箇所に座った。
「それにしても、電車は意外と速いな」
「そうですね、景色もいいですし」
「う〜ん、この駅弁もうまい〜」
「ルーアン、食べてばかりじゃなくて、景色もたまに見ろよ」
「は〜い、たー様の分まで見てあげるね」
そして私達は会話をして、一時の風景を楽しんだ。


その頃、七梨家の前には、花織がいた。
ピンポーン
「七梨先輩、遊びに来ました〜」
ピンポーン
何度も呼び鈴を鳴らしても誰も出る気配がなかった。
「どっかいっちゃったのかな、先輩達」
「よっ、花織ちゃん、太助の家留守なの?」
そこにたかしと乎一郎が来た。
「そーなんですよ、せっかく着たのに留守なんです」
「また、シャオちゃんと俺の距離を離す気だなー!!」
「元々、離れてると思うよ、たかし君」
「ぐはっ!!」
乎一郎の言葉でたかしは心に傷を負った。
「でも、シャオちゃんだけじゃなく、キリュウちゃんにルーアン先生にフェイちゃんもいるし、3人きりの世界は作りにくいと思うよ、花織ちゃん」
乎一郎が花織にも火がつかないようなだめの言葉をいったが
「でも、あの3人から逃げて二人っきりになるなんて簡単じゃないですか!!」
「そーだぞ!!乎一郎、キリュウちゃんは気を効かせてどこかいったり、ルーアン先生なら大量の食べ物を出せば簡単に動きを止められるし、フェイちゃんも気をきかせそうだし」
「そーですよ、遠藤先輩」
「はぁ、どんどんシャオちゃんが太助と・・・待てよ、まだなんとかシャオちゃんを俺になびかせる方法があるではないか!!」
「え?どう言う事、たかし君」
「そーですよ、説明してください」
「それはぜひ聞きたいですね、野村君」
いつの間にか出雲が着ていた。
「わっ!!何時来たんだ出雲」
「ほんとにびっくりしたよ、出雲さん」
「もー出雲さんったら」
花織は出雲の背中を叩いた。
「い、痛いじゃないですか、花織さん、それよりそのシャオさんを太助君から話す方法は?」
「しゃーない、これは俺だけじゃ無理だからな」
「と、言うことは、私達が協力してまず太助君からシャオさんを離して、後は野村君と私の取り合いと言う事ですか?」
「そう言うこと」
「え、じゃあ、私と七梨先輩をくっつけてくれるんですか?」
出雲とたかしは「それは無理だな」と言う顔をした。
「この作戦では、まずキリュウちゃんに太助を好きにさせる事にある」
「えー!?なんでキリュウさんなんですかー!?」
出雲は前髪をフサッとすると説明に入った。
「花織さんは何もわからないようですね、いいですか、まず太助君を奪おうとする人とシャオさんを奪おうとする人はもうお馴染みになっていて、結局は翔子さんや太助君とシャオさんの仲を見守る人がいて結局余計仲がよくなってしまい我々は結局取り残されているんですよ、そこで「意外な人」に太助君をシャオさんから奪ってもらうんですよ、そしてそれがキリュウさんと言う訳です、キリュウさんは万難地天で主に試練を与えるのが使命ですから太助君を連れてどこかに行こうともシャオさんに「これも主殿の試練だ」と言えばシャオさんは納得するしかなく次第に太助君がシャオさんからキリュウさんに心変わりをしてシャオさんが太助君から遠のいた所に私か野村君のどちらかがシャオさんの心を射止めると言う作戦ですね、ですが、また我々以外にもシャオさんを射止める可能性が無いとも言えませんけど、それにシャオさんと太助君を引き離す時点で難しすぎますが」
「それはこれから作り出す作戦だ!!」
「詳しいことは私の家で作戦会議をしましょう」
「わかったぜ!!出雲」
妙に息が合った二人は出雲の家に向かった。
「も〜!!私は私で七梨先輩を射止める方法を考えてやる〜!!見てなさいよ野村先輩に出雲さん」
花織は出雲とたかしに大きな声で言うと七梨家からもうスピードで家に帰った。
「どうせ誰かに邪魔されるか、シャオちゃん達に止められるのが落ちだと思うぞ、花織ちゃん」
「それを言うなら我々も同じでしょ、野村君」
そして七梨家の庭でひそかに翔子が隠れていた。
「うわー、今度も変な作戦だなー、あいつらの作戦を聞いたからにはこっちもシャオのためにあいつらの作戦を失敗に終わらすか」
そして翔子もまた出雲やとたかしと花織がいないことを確認して家に戻っていった。


「あ、着きました、太助様」
「じゃあ、降りようか」
主殿は虎賁殿に連れられ駅から降りた。
「やっぱり、自然が多いと空気が違うな〜」
主殿は背伸びしながら息を吸っていた。
「あ、私は温泉旅館「もみじ」の定員の一人ですが、七梨家ご一行様でいらっしゃいますか?」
「はい、そうです」
主殿はいつの間にか電話で迎えの車が来るよう頼んでいた。
「では、これにお乗りください」
私達はそれに乗り込むと温泉旅館「もみじ」に向かった。
温泉旅館「もみじ」につくと車から降りた。
温泉旅館はほとんどが和風で、「もみじ」も和風の旅館だった。
「いらっしゃいませ〜6名様ですね、6名様お部屋にご案内します」
定員の一人の女性の後に私達は着いて行った。
「ここのお部屋になります」
着いたのは「月下美人」と書かれた部屋だった。
他の部屋の名前も「枇杷の花」「睡蓮」「福寿草」「石蕗の花」その他の部屋もすべて花の名前だった。
*「月下美人」「枇杷の花」「睡蓮」「福寿草」「石蕗の花」は実在する花の名前です。
扉を開けると、二部屋ありで入り口から見て正面に12畳の部屋、その左に8畳の部屋があった。
全部畳である。
「意外と広いね、景色もいいし」
フェイ殿は窓から外を見ていた。
「これからどうします?太助様」
「自由でいいんじゃない?」
「俺は坊主と一緒に行動だから、安心してくれ月天様」
「フェイちゃんはどうする?」
「気分しだいで誰かに着いてく」
「じゃあ、ここで夕食まで自由でいいのだな?」
「それじゃあ、いったん解散だ」
主殿の一言でみな解散した。
私もここの温泉に入るため浴衣を持ち温泉に向かおうとすると
「あれ、ルーアンさんも温泉に行かれるのですか?」
「そう言うアンタだって温泉にいくんじゃない、それにたー様だって」
結局解散したはいいが、目的が一緒だったのだ。
これでは解散の意味があるのだろうか。