胸騒ぎ




此処は病院、私はある病室のまえで立ち止まった。
その病室の名札に《七梨太助》と書いてある。
私はこの病室に来る度、悲しくなる。

・・・一年前・・・

初夏のある日、私はいつも通り皆さんと昼食を食べていました。
すると太助様が
太「キリュウ、今日の午後はいつもよりキツイ試練を頼む。」
キ「急にどうしたのだ?」
太「急じゃないさ、ただ一日でも早くシャオを守護月天の運命から救ってやりたいんだ。」
シャ「太助様・・・」
太助様がそんなことを言ってくれて嬉しかった。
しかしその反面太助様はあんなに頑張って下さっているのに、私は太助様に何もしてあげられないという自己嫌悪に陥っていた。
シャ「太助様、決して無理をしないで下さいね。」
太「心配するなって、シャオ。」
シャ「はい・・・」
太「じゃあ、キリュウ頼むな。」
キ「了解した。」
そんな話をしている内に昼食は終わり、私は後片付けに取り掛かった。 後片付けをしていると、
ル「たー様、どこかに出かけるの?」
とルーアンさんの声が聞こえた。
太「ルーアン、昼食のときの話を聞いてなかったのか?今から試練だ。」
ル「そう、気をつけてねー。」
太「ああ、行ってきます。」
そんなやり取りが聞こえてきた。少しして太助様とキリュウさんが台所に顔を出した。
キ「シャオ殿、行ってくる。」
太「シャオ、行ってくるね。」
シャ「太助様どうかご無事で。」
太「大丈夫だから、そんな顔するなって。」
シャ「・・・はい。」
太「じゃあ、行ってくるから。」
シャ「行ってらっしゃい。」
『何だろうこの胸騒ぎは、何かとても悪いことが起きそうな気がする。』
シャ「離珠、太助様に何かあったらすぐに知らせてね。」
離「はいでし。」
私は太助様の無事を祈ることしか出来ない。
『どうして私は太助様のお役に立てないのだろう。』
時は経ち夕方、
シャ『太助様遅いなぁ。もしかして何かあったのでは。』
そう思うと居ても立ってもいられなかった。その時、
離「シャオしゃま、大変でし。」
離珠はとても動揺していた。
シャ「どうしたの、離珠?」
離「太助しゃまが、太助しゃまが。」
シャ「落ち着いて離珠、太助様がどうしたの?」
離「とにかく病院に来てくだしゃい。」
『太助さまの身に何が?』
シャ「来々、軒轅。」
そこにルーアンさんが来たけど今の私はそんなこと気にも留めない。
ル「ちょっと、シャオリンそんなに急いでどこに行くのよ。」
しかし私はルーアンさんの問いに答えない。いや答えられない。
今はどんな言葉も耳に入らない。
私は急いで病院へ向かった。
『太助様、太助様』私は心の中で何度も太助様の名を呼んだ