過去と現実の狭間で




病院に着き、私は無我夢中で病院の廊下を走っていた。
そして、ある部屋の前で深刻そうな顔をしているキリュウさんを見つけた。
私は「太助様は?」と聞いた。キリュウさんは何も言おうとはしない、ただ俯くだけだった。
私は気が気でなかったがただ待つしかなかった。
その後、私を追ってきたであろうルーアンさんが到着した。ルーアンさんも私と同じ状態だった。
しばらくしてドアの上にあるランプが消えた。今更ながらこの部屋がどういう場所なのかが分かった。
ドアが開き中から白衣を着た医者らしき人が出てきた。
医師の顔は険しく、その重い口が開かれた。
医「七梨君は一命を取り留めた。」
その言葉で私は少なからず安心したが、医師は続けた。
医「しかし意識が戻る確立はとても低い。」
私は一気にどん底に突き落とされた。
医師の話を聞いていたルーアンさんがキリュウさんを問い詰めた。
ル「あんた、たー様に何したの?」
キ「・・・」
ル「ちょっと何とか言いなさいよ。」
と言い、キリュウさんに掴み掛かる。そしてキリュウさんの重い口が開かれた。
キ「今日の試練は山の中で行った。」


                   太「よし、キリュウいつでも来い。」
キ「いくぞ、主殿。」
キ「万象大乱。」
太助の周りの石は大きくなり太助を囲んだ。
太助は『まクはいつもと同じか。』と思い自分の何倍もあろう石を登ろうとした。
その刹那あたりが暗くなった。何事かと想い太助は頭上を見上げた。
すると其処には万象大乱で大きくなった石つぶてが降ってきた。
太「げっ。」
太助は辺りを見渡した。周りは太助の何倍もある石に囲まれていた。
その石の間に何とか人が一人通れそうな隙間があった。太助は急いでそこから脱出した。
さらに追い討ちが来ると思い、身構える太助。しかし何も起きなかった。
太「キリュウどうしたんだ?もっとガンガン来いよ。」
とその時、何も無かった所から巨大な石が現れ、こっちに向かって飛んできた。
キリュウが万象大乱で小さくした石を投げ、太助の傍で大きくしたのだ。
太「くっ。」
突然の不意打ちにも反応し次々に石をかわしていったが、残り一つのところで着地に失敗してしまった。
そこに最後の石が飛んできたのだ、太助はかわそうと試みたが体勢が悪かったのでかわしきれず左腕に石が当った。
その反動で太助は吹っ飛ばされ、崖から落ちてしまったのだ。
キ「主殿っ。」
離「太助しゃまーっ。」
キリュウは一瞬我を忘れたがすぐに正気に戻り太助のもとに急いだ。」
キ「主ど・・・。」
そこに太助はいた。キリュウは主の無残な姿に絶句した。しかし彼女は『自分のせいだ。』などと自己嫌悪に陥る暇は無かった。太助の容態は一刻を争うような物だった。
キリュウは短天扇太助を乗せ病院へ急いだ。
病院に着き医師に太助を見せた。すると医師はすぐに手術をすると言って、病院の一室に入っていった。