主の居ない日




ル「って事はたー様がああなったのはあんたのせいじゃない。」
キ「・・・」
ル「どうしてくれんのよ。」
シャ「やめてください!」
私はつい声を荒げてしまった。
シャ「キリュウさんを責めても太助様の意識は戻りません。」
ル「シャオリン。」
私に気を使ってかルーアンさんとキリュウさんは病室から出て行った。
私はルーアンさんとキリュウさんが病室を後にした後泣き続けた。
いつの間にか泣き疲れて眠ってしまった。
シャ「いけない、寝ちゃったんだ。」
太助様は相変わらず眠ったままだった。『あの事が夢だったらどれだけ良かったか』と思っていた。しかし夢ではなかった。あれは夢ではなく、太助様の意識が戻る可能性は無に等しいということも現実だった。
私は何とかして太助様が目覚める方法は無いかと考えた。しかし私の知識なんてたかが知れている。とその時、
コンコン
ドアをたたく音がした。
シャ「はい、どうぞ。」
ガラガラ
ドアが開き、翔子さんが入ってきた。後からたかしさん・乎一郎さん・出雲さん・花織さんが入ってきた。
花「七梨先輩。」
翔「シャオ、元気出しなよ。」
た「そうだよシャオちゃん、太助もすぐに意識を取り戻すって。」
出「二人の言うとおりですよ、太助君はそう簡単には。」
今の私には気休めの言葉なんて無意味だった。
シャ「簡単には何ですか?人事だと思っていい加減な事を言わないで下さい。」
私は我を忘れ怒鳴るように言った。
翔「シャオ・・・」
我に返った私はさっきの言葉がどれほど酷い事なのか自覚した。
シャ「すみません、私つい・・・」
シャ「皆さん、太助様と二人っきりにして貰えませんか?」
出「判りました、私たちは退散します。」
私の言葉に皆さんは次々と病室から出て行く。
『私なんて事を言ってしまったの?せっかく皆さんが太助様を心配してお見舞いに来てくださったのに。』私はそう思った。
私は後悔した。太助様を護れなかった事、皆さんに酷い事を言ってしまった事。
しかしどんなに後悔しても時間は戻すことは出来ず、容赦なく過ぎていく。
そして夜、本来なら面会時間はとっくに過ぎているが医師に特別に許して貰った。
私は一晩中考えていた。太助様を治す方法を。
翌日、私は目覚めた。
シャ「何時の間に寝ちゃったんだろう。」
私は太助様を見つめていた。何もせず何も考えずただ見つめていた。
しばらくして、ルーアンさんとキリュウさんがやって来た。
キリュウさんは病室に入ってくるなり
キ「私は主殿を治す方法を探しに旅にでる。」
と言った。私は少なからず驚いた。そして私も行きたいと思った。
ル「私も行くわよ。」
シャ「私も行きます。」
ル「あんたは駄目よ、シャオリン。」
シャ「えっ、どうしてですか?」
キ「もしかしたら主殿は自力で目覚めるかも知れない。その時シャオ殿がそばに居れば主殿も安心できる。」
ル「そういう事。」
私はどうしても行きたかったが、そんなことを言われてはとても行く気にはなれない。
シャ「もう出掛けるんですか?」
何やら準備をしてるのでキリュウさんに聞いてみた。
キ「ああ、早いほうがいいだろう。ルーアン殿もすぐに出発するそうだ。」
シャ「そうですか。」
キ「心配するな、シャオ殿。主殿は大丈夫だ。」
シャ「はい。」
キ「では、行ってくる。」
シャ「はい、頑張って下さい。」
そしてキリュウさんは出て行ってしまった。
その後すぐにルーアンさんも出て行った。
そして病室には私と眠ったままの太助様だけになった。