万難地天への試練〜砂漠の村〜




私は主殿の意識を戻すために旅に出た。一年経ったら何の成果が無くても帰ってくるとシャオ殿に約束して。シャオ殿には主殿が何時目覚めても良いように残ってもらった。ルーアン殿は私と一緒に行くと言っていたが「二手に別れたほうが効率が良い。」という私の提案で一人旅をしている。
キ「ふぅ、もうすぐ一年経つというのに未だに何の成果も無いとは。」
と嘆きながら、エジプトのとある砂漠を歩いている。その時、私は遠くの方に何かを見た。
近づいてみるとそこには大きなピラミッドとその麓に小さな村があった。
『まずは情報収集だな。』と気を取り直して村に入っていった。
すると入り口にいた村人が
村人「あんた見かけない顔だが、旅人か?」
キ「そうだが。」
私は突然の問いにも関わらず、平然と答えた。すると村人が
村人「そうか。だったらついてきな。」
と何やら私をピラミッドのほうに連れて行く。するとそこには少し離れたところからでも分かるような大きなテントがあった。
村人「中に入りな。」
村人がそう言ったので、私はおとなしく中に入った。
中には老人が一人座っていた。老人は私にもっと近くに来るよう促した。
老「ようこそ旅の方、わしはこの村の長老です。」
キ「私は万難地天 キリュウだ。」
老「ところでキリュウさん、こんな辺境の村に何の用かな?」
キ「実は・・・」
私はこれまでのいきさつを話した
老「ほう、あなたが精霊で意識を失ったままの主を助けたいと?」
キ「はい、それで何かいい方法を知らないか?」
老「・・・」
長老殿はしばらく黙り込んで考え事をしていた。
キ「長老殿?」
老「ああ、失敬。方法ならあるにはありますが。」
キ「本当か?」
老「はい。ある場所に古代より昏睡した時に使われていた特効薬があるのです。しかしその場所に少し問題があるのです。」
キ「問題?」
老「はい。」
そう言って長老殿は立ち上がり、外へ出た。そしてある一点を指差した。そうあの大きなピラミッドが在る方だ。
老「あそこのピラミッドなのですが・・・」
キ「普通のピラミッドにしか見えないが。」
老「外見はそうですが、昔この辺りを統治していた方のお墓なのです。中にはとても危険な罠が在るらしいのです。それでも行きますか?」
私の答えは決まっていた。
キ「もちろんだ、私は主殿にもう一度会わねばならない。会って謝ら無ければならない。」
老「そこまで言うなら止めませんが、あくまで可能性の話です。」
キ「分かっている、主殿が目を覚ます可能性が少しでもあるなら・・・」
私はしばらく黙り込んだ。
キ「では、私はそろそろ行く。色々お世話になったな。」
老「いえ、どうかお気を付けて。」
そして私はピラミッドに向かった。
ピラミッドを周りから見たが、入り口らしいものは見受けられない。
手探りで探してみたが何も起こらない。
仕方が無いので短天扇に乗り、上空から見てみた。すると、ピラミッドの石の一つが他の物とは微かに違っていた。その石の前に降り、石を押してみた。すると私と一緒にピラミッドの中に吸い込まれた。