精霊具の躍動




・・・翌日・・・
私はいつも通り病院に着き病室に入った。
私はそこに一つ人影を見つけた。
?「久し振りね、シャオリン。」
シャ「ルーアンさん。」
一年前太助様を目覚めさせる為、旅に出たルーアンさんが帰ってきた。
シャ「お久し振りです。それで何か収穫はありましたか?」
ル「・・・駄目だったわ。」
シャ「そうですか・・・」
ル「まあ、まだキリュウがいるし大丈夫よ。」
ルーアンさんが私を気遣って言ってくれた。
シャ「そうですね。」
それっきり会話は途切れた。
・・・
外の色が青からオレンジへと変わっていく。
ちょうどそんなことを意識したときドアをノックする音がした。
コンコン
シャ「はい、どうぞ。」
ガチャッ
ドアが開き、中に入ってきたのは久し振りに見る顔だった。
シャ「キリュウさん。」
キ「久し振りだな、シャオ殿、ルーアン殿。」
ル「そうね、一年振りだもんね。」
シャ「それで・・・どうでしたか?」
私は少し声を濁らせて聞いた。
キ「ああ、そうだな。」
ル「何か方法があったの?」
キ「うむ、実はこれなんだが。」
そう言ってキリュウさんは見たことも無い草を取り出した。
シャ「草・・・ですか?」
ル「ちょっとキリュウ、こんな草で何が出来るっていうのよ。」
キ「これはただの草ではないのだ、これは古来より昏睡したときに用いられたという特効薬なのだ。」
ル「それを早く言いなさいよ。さっ、早くたー様に飲ませましょう。」
キ「そうだな。」
そう言ってキリュウさんは特効薬を煎じて太助様に飲ませた。
しかし、しばらくしても太助様が目覚める様子は一向にない。
ル「駄目・・・みたいね。」
キ「そんな・・・すまない。」
キリュウさんが本当にすまなそうに言った。
私はというと、
シャ「・・・」
ル「どうしたのよ?シャオリン。」
シャ「・・・支天輪が・・・」
キ「えっ?」
シャ「支天輪が光ってる。」
そう支天輪が自ら光を放っていた。
ル「どうなってるのよ?」
シャ「分かりません。今までこんなことは一度もありませんでしたから。」
キ「うわっ。」
シャ「どうしました?キリュウさん。」
キ「短天扇も光りだしている。」
ル「キャッ・・・黒天筒まで。」
三人の精霊具はなおも光を増している。
そしてとうとう精霊具は私達の手から離れた。
私たちは呆然としてそれを見ていた。
すると精霊具は円を描きながら回り始め、さらに光を増した。
私は眩しくて目を開けていられなかった。
光は収まり、私は目を開けた。
するとそこにはいつもどおりの精霊具と一つの人影があった。