主を救う方法




?「御久し振りですな、シャオリン様。」
シャ「南極寿星・・・」
そう、精霊具と共に現れた人影の正体は南極寿星だった。
私の脳裏に昔の出来事がよぎる、『また支天輪に連れ戻されてしまう』と。
南「そう身構えなくてもいいですじゃ。」
シャ「私を連れ戻しに来たんじゃないの?」
南「違います。」
私はその言葉に警戒を解いた。
キ「ところでシャオ殿、この老人はどなただ?」
私が警戒を解いたところでキリュウさんが聞いた。
私がその問いに答える前に南極寿星が答えた。
南「そういえば地天殿とは初見じゃったな。わしは星神の南極寿星じゃ。」
ル「そんな事より、頑固じじい何しに来たのよ。用が無いならさっさと帰りなさいよ。」
ルーアンさんが南極寿星の言葉を遮る様に言った。
すると南極寿星は不機嫌そうに言った。
南「相変わらずがさつじゃな。
  せっかく小僧を助ける方法を教えてやろうとわざわざやって来たんじゃがな。」
私は南極寿星の言葉に誰よりも早く反応した。
シャ「本当なの?南極寿星。」
南「本当ですじゃ。」
キ「それで、どんな方法なのだ?」
続けてキリュウさんが聞いた。
南「一人の主が精霊を三人も従えるなど前代未聞のことじゃ。
  まあそれ程小僧の心が清らかという事じゃ。」
ル「それで、方法は?」
南「焦るでない、ふぅ・・・。方法とは三精霊の力を小僧に注ぎ込むのじゃ。
精霊の力とは本来強力な物じゃ普段お主等は力が暴走しないよう力をセーブしているのじゃ。その力をセーブする事無く小僧に注ぎ込めば・・・」
シャ「太助様は目を覚ますのね。」
南「確実ではないが、可能性はありますじゃ。
しかし失敗した場合どんな作用が働くか。
シャオリン様達にどのような影響を及ぼすか予想も付きませんのですじゃ。」
南極寿星が少し苦い顔をして言った。
その表情が成功する確率が低い事を物語っていた。
でも私の答えは決まっていた。
シャ「それでも太助様が助かるなら・・・」
ル「そうね、まだたー様を幸せにしてないしね。」
キ「初めて主殿は私を必要としてくれた人だ、このままにしておくわけにはいかない。」
南「そうですか。もう何も言う事はありません。」
南極寿星はそう言って、持っていた杖を振りかざした。
すると精霊具は私たちの元に戻ってきた。
南「小僧にそれぞれの精霊具をかざし、力を込めるのじゃ。」
私達は無言で顔を見合わせて太助様を囲むように立った。
そして順番に力を込め始めた。
始めにルーアンさん。
ル「まずは私からね。陽天心招来。」
次にキリュウさん。
キ「次は私だな。万象大乱。」
そして最後に私。
シャ「私が最後ですね。」
私は心の中で『太助様』と呟き、覚悟を決めた。
シャ「来々。」
私が力を込めた瞬間、すさまじい光が私たちと太助様を包んだ。
あまりに眩しくて私は目を瞑ってしまった。
ル「たー様。」
キ「主殿。」
シャ「太助様。」
私達は思い思いに太助様の名前を呼んだ。