始まりの国


 
青く、広がる空。
そして下には子供がはしゃぐ声が聞こえる。
 
俺はそれを窓から眺めていた。
 
ただ眺めていただけ。それだけだ。
 
 
この国には自由というものない。
何をするにも許可が要る。
仕事にも、勉学にも、ペットを飼うにも、遊ぶにもだ。
さらに破った者には厳しい罰則がある。
この国ではそう思っているのは俺だけかもしれないが、はっきり言う。
この国は普通とは違う。
 
普通とは違うといえば、俺の家系もだ。
俺は生まれたときから、英才教育や剣術などあらゆるものを教わられた。
『XXXの立派な後継ぎになるんだぞ』
父……いや、『あいつ』が遭うたびに吐く言葉。
吐くだけだ。それ以外何もしない。
 
 『あいつ』と遭ったのは何回だろうか?
『あいつ』との記憶はほとんどない。
たぶん生まれてから15年間10回も満たないだろう。
それだけ、『あいつ』は子に対して無責任だ。
だからXXXという名字も嫌いだ。
 
 
何もかもが退屈……
いっそのことこの国から逃げ出したいとも感じ始めている。
そして『あの世界』へ行く……
 
『あの世界』とは、最近夢に出てくる世界のことだ
一面に黄色い花が咲き乱れ、大地を埋め尽くしている。
そしてただ青い空が広がっている。
 
時の流れを感じない世界。
俺にとってまさにそれは『聖域』だった。
 
もちろんそれは夢の話だ。
実際の世界にはないだろう。
ただの妄想かもしれない。
だが、行きたい。
何をしてでもいい。
なんとしてでも辿り着きたい。
それが俺の唯一の願い……
 
 
 
 
 
 「リュウ様、どうなさったのですか?」
 
不意に俺の名を呼ぶ声が聞こえた。
 
「なんだ、サリアか……いったい何時からいたんだ?」
 
この家で働いている黄色く、長い髪のサリアの姿があった。
考え事をしていたせいか、まったく気づかなかった。
そしてサリアは不思議そうな顔で見ている。
 
「さきほどからずっと…お呼びしても返事がなかったので」
 
「そうか……すまん。
ところでどうしたんだ?」
 
「あ、いえ、なんでもありませんけど……ただ…リュウ様とお話がしたくて…」
 
サリアは元は捨て子だった。
俺が生まれた、同じ年に赤ん坊だったサリアはこの家に拾われてきたらしい。
よって俺とサリアは雇い主とメイド、というよりも幼なじみという関係だった。
だから時より二人でなんでもないささいな会話もしたりする。
それは今の俺にとって、唯一の楽しみでもあった。
もちろん、そのことは他の人も知っている。
もし『あいつ』にばれたら、サリアは追い出されるかもしれない。
だが、みんな俺たちのことを気遣って、両親には内緒にしてくれている。
そのおかげで俺たちは身分関係なく、いられるわけだ。
 
 
「それでですね……」
 
サリアの話が中盤に差し掛かったころ、俺はあのことを思い出した。
 
「なぁ、サリア」
 
「はい?」
 
「サリアは……やりたいことがあったら、どうする?」
 
 
……………………
………………… 
……………… 
……………
………… 
……… 
…… 
…
 
 
 
 
 
「やりたいことをやればいいと思います。私はどんなことがあってもリュウ様についていきます……か」
 
それがサリアの答えだった。
実にあたりまえだ。
そしてサリアらしい答え。
俺のやりたいこと……それは―――
 
 
 
 
あとがきと呼ばれる物
 
あえて、あとがきとは書かない。
つまらないから……
内容も書かない。
読んだら、わかることだから。
もちろん、次回の予告も書かない。
考えてないから……
 
ま、それだけじゃあ、意味がわからない!!という人が大勢いると思いますので一言だけ……
旅をします。以上!!
 
それでは、また次回に