続く
FightRPG Dat.10「迫る不安、深まる疑惑、そして・・・」
 
 
あれから・・・どうなったんだろう?
 
確か・・・頭に強い一撃がきて・・・・それから・・どうしたっけ?
 
・・・っぁ〜〜あっ!思考がまとまらないっ!!
 
そうだ、これは夢よ!試しに頬をつねってみれば・・・!!
 
 
つねりっ←頬を思いっきりつねる
 
 
い「痛い。」
 
令「何いきなり現実逃避に陥ってるのよ。」
 
説明しておくと現在一行は寄宿舎の002号室である。大部分の探索が終わったのでこれから地下部分へと向かおうかというところである。
 
 
バ「目は覚めたかい、嬢ちゃん・・・。」
 
い「あ、バリーさん。無事だったんですね。」
 
ベッドに寝付かされていたいちごのそばで付き添っていたバリー。気のせいかバリーの表情が少し揺らいで見える。
 
バ「さてと・・・嬢ちゃんが目ぇ覚ましたし、俺はもう行くな。じゃあな、ジル。」
 
ジ「バリー・・・!」
 
ジルの呼びかけにも軽く手を振ってあしらい、部屋を出るバリー。
 
 
い「・・・一体どうしたんですか?バリーさんも・・・ジルさんも何か変ですよ?」
 
令「実はね・・・この部屋に入る前、バリーが妙な会話をしていたのよ。明らかに誰かとの会話だったのに、本人はただの『独り言』っていうし・・・。」
 
れ「あんまりよく聞こえなかったんですけど・・・確かにバリーさんはこう言ってました。『S.T.A.R.S.を壊滅させる必要があるのか』と・・・。」
 
れたすの衝撃の一言に言葉を失ういちご。いくら今の状況が絶望に近いものといえど、バリーほどの男が錯乱状態に陥るなど考えられない。となると考えられるのはただ一つ。
 
バリーは何か隠し事をしている。仲間である自分達にも言えない何かを・・・。
 
 
い「・・・でも、バリーさんあたしが目を覚ますまで看ててくれたんでしょ?だったらまだ信用してあげてもいいんじゃないですか?」
 
令「甘いっ!!この先どうなるかてんで予想つかないのに早くも逃げ腰の輩がいたんじゃ足手まといでしかないわ!」
 
横「それいうたら、いちごちゃん達の立場無いやないっすか美神さん。」
 
令「・・・・・。」
 
ばごっ!!←横島が後頭部を強打される音
 
 
令「そりゃ彼女たちはプロじゃないからよ。でもバリーは別。かつてどこぞの精鋭部隊にいた頃の実績ならこの程度何て事無いわ!!」
 
いや、いくら何でもこの程度ですまされる状況じゃないと思うぞ。
 
・・・話が脱線したが、いつになく不穏なムードが漂う一行。そんな中、まっすぐな目つきをして美神を見つめるいちご。
 
い「それでも・・・あたし、バリーさんを信じます!」
 
れ「そうですね、今の私達にはそれ以外できませんし、バリーさんが敵になるなんて私・・・そんなの辛いです。」
 
令「あんたたちね・・・っあ〜〜っもう!!勝手にしなさいっ!!!!
 
勝手に話を進めていくいちご達の反応にもうついていけないと判断したのか、半ば諦め口調で叫ぶ美神。
 
確かにこいつ等らしいといえばらしいが、それだけではすまされない世界もある・・・そう、今がそれに当たるであろう。
 
 
ジ「それじゃ・・・だいぶ遅れたけど、地下へと向かいましょうか。」
 
令「了解、それじゃ横島クン頼んだわよ?
 
横「な・・何で俺なんスか?!っつーか何を頼んでるんスか!!?」
 
令「決まってるじゃない、囮よ囮♪あんた所詮ギャグキャラででしか出番無いんだから、こういう時ぐらい役に立ちなさい。」
 
横「何でやぁぁぁっ!!」
 
横島のツッコミももっともと言えよう。確かにギャグの重要人物ではあるが、そこそこの活躍は見せている。結局は大ポカへと走ってしまうのだが。
 
その後、なんだかんだ言いつつも横島に首輪をつけて先導させる美神。完っ全に飼い主と飼い犬の関係とでしか見られかねない。
 
 
横「うぅ・・・何で俺だけいつもこんな目に?!」
 
れ「横島さん・・・バイト選び間違えたんじゃないんですか?」
 
い「違うわよれたす。横島さんのことだから、多分始めてみた美神さんに欲情でもして後先考えずにパッパとこの仕事に就くの決めちゃったんだと思うよ?
 
横「・・・・・。」←核心突かれて何も言えない
 
 
いちごちん大正解。
 
 
令「・・・ん?浸水してるわね。横島クン・・・出番よ♪ちょっと潜ってこの先見てきてちょうだい。」
 
横「ひょっとして・・・素潜りっスか?」
 
令「よく分かってんじゃない♪さ、いってらっしゃぁい(はーと)」
 
ジ「いくら雇い主って言っても遣りすぎると前科者になりかねないわよ?」
 
ジルのツッコミも当たっているには当たってるのだが、今更こいつの罪を突き上げてもどうにもならん。それに横島の不遇さは今に始まった事じゃねーし。
 
令「一応釣り糸は付けといてあげるから、金目のモンキーアイテム拾ったら知らせなさいよ。引き上げるから。」
 
全員『バイトの学生を餌にするなよ・・・。』
 
ぶつくさ言いながらも渋々扉をくぐり、素潜りを開始する横島。すると・・・
 
ぴくっぴくっ・・ぴくぴくん←釣り糸が引く
 
令「おっ、川の主が来たか?!」
 
いや、横島はルアーじゃねーぞ。
 
横「をいをいをいをいをいぃぃぃぃぃぃっ!!サメやサメサメっ!喰われる喰われるっ!!!早よ上げてぇぇぇぇっ!!!!
 
令「なんだ、アイテムじゃないのね。んじゃもう少し頑張ってきなさい。」
 
がぼおっ!!←無理矢理水中に蹴り落とす
 
水中の猛者を前に命の危険を感じて帰ってきた横島に鬼のような一言と仕打ちを繰り出す美神。そして全員が口をそろえて
 
二人を除く全員『美神さん、あんた鬼や。』
 
れ「もう見てられません!横島さん、今助けに行きます!!」
 
なりふり構わず、変身したれたすは横島がもがき苦しむ大水槽室へと飛び込んだ!!そして彼女が目の当たりにしたのは・・・
 
ミレ『な・・・何なのこの巨大なサメは!?』
 
そう、大きいなんてモノじゃない。水中を我が者顔で縦横無尽に泳ぎ回っているサメは通常時の5倍近いほどの巨大化を遂げており、人間程度の獲物であれば一口で飲み込めそうなバカでかい口を広げていた。
 
 
ミレ『も、もしかして・・・私達って格好の、エサ?!』
 
そう、まさに格好の獲物です。
 
ミレ『冷静に解説しないで下さいっ!!・・・って早速来たぁぁっ!!』
 
水中をものすごいスピードで一直線に彼女の元へと向かってくる巨大サメ。それに対して特に逃げる様子もなく、身構えたミュウレタス!!
 
どうんっ!!!←サメを真っ向から受け止める
 
 
ミレ『くうっ・・・何て力!長くはもたないっ!!』
 
 
一方そのころ・・・
 
 
ざばぁっ・・・
 
ミュウレタスのおかげで何とかサメの追撃から逃れることが出来た横島だったが・・・
 
どげしっ!!←美神が足蹴にする音
 
令「誰が上がって来いっつーた誰が?!」
 
横「あうぅっ!!美神さんの純白パンティーが見えてるとかそう言うツッコミ以前に一難去ってまた一難っ!!!
 
余計な一言によってさらに追い打ちをかけられる横島。っつーかそれ以前に触れるべき事があるだろ?!
 
ジ「急ぎましょう、れたすが危ないっ!!」
 
令「そうね、多分排水装置を使えば奴らを無力化できるはずよ!!」
 
せっかくミュウレタスが作ってくれたチャンスを無駄にするわけにはいかない!!そう確信した一行は急いで制御室へと向かった。
 
幸いにもれたすが残したパソコンに地図がインプットされている。こいつを頼りに行けばほぼ間違いはないだろう。
 
そして行き着いた制御室で作業を開始するジルと美神。ちなみに横島とおキヌは装置を使えるほどの頭がないので後方にて応援。
 
 
視点を変えまして再びミュウレタスビジョン。
 
 
ミレ『・・・っ!さすがにちょっときつくなってきたかな?』
 
それに・・・この巨大サメと戦っている最中から何やら体に違和感を感じる。自分の中に何かごろごろと・・・別の生き物が宿ったようなそんな感触・・・。
 
だが、自らの疲労に油断しきっていたその時!
 
 
がしゃあぁんっ!!
 
 
ミレ『きゃ・・・くぅっ・・・・!!』
 
巨大サメものすごい勢いで体当たりを仕掛けてきたと思うなり、そのままミュウレタスを制御室の強化ガラスに何度も叩き付ける!!
 
凄まじい衝撃によってさすがの強化ガラスにも亀裂が入り、美神達の状況は一層悪化した。
 
い「このままじゃれたすが・・・あたし一緒に行って戦って来ますっ!!」
 
令「だめよっ!!水中戦じゃとてもじゃないけど向こうに分がありすぎる!ここはミュウレタスに任せて排水作業はこっちで進めないと・・・。」
 
ジ「情けないけどこれしか私達に出来そうにも無いしね・・・っよし!!設定完了したわ。Ms.美神、シャッターのボタンを!!」
 
令「オッケー!!」
 
ジルの言われたとおりに耐圧シャッターのボタンを押す美神。すると窓ガラスの上部から分厚い鋼鉄製のシャッターが降りてきて、限界近かった辺りの窓を完全に覆った。
 
それと同時に、ものすごい轟音と共に排水が行われ、しばらくして排水音が止む。
 
排水が完了したのを確認した一行はミュウレタスのいる大水槽へと向かうと・・・。
 
 
ミレ「・・・・・・・」
 
巨大サメの側で気を失っているミュウレタス。排水時にどこか打ったのだろう。青ざめた表情で気絶している。
 
令「よかった、どうやら無事みたいね!おーいミュウレタス、生きてたら右手を上げて死んでるんなら左手を上げなさい。
 
横&い「「どっちにしろ手を上げるのは無理だと思う。」」
 
しつこいようだが、現在ミュウレタス気絶中。
 
令「・・・適切なツッコミありがとう。」
 
横&い「「どーいたしまして♪」」
 
すぅっ・・・・
 
美神達のショートコントの合間にミュウレタスの体からどんどん離れていく彼女の魂らしき物体。
 
令「うわぁ〜〜っ!!逝ったらあかん!っつーか逝くなぁ〜〜!!!」
 
慌てて駆け寄った美神達の手によって強制的に体の中に戻される魂。その一方で何故か人工呼吸のスタンバイ万全状態の横島。
 
横「よし、こうなったら人工呼吸で意識を!!」
 
妙に唇に力を入れながら彼女の顔へと迫り寄るバカ横島。そして・・・
 
ミレ「・・・きっ・・・・きゃあぁぁぁぁっ!!!!!
 
 
ばきっ!!
 
 
ミュウレタスの左アッパーが横島の顎を直撃。そのまま天井近くまで吹っ飛ばされた。ま、お陰でミュウレタスが意識を取り戻したが・・・。
 
ミレ「あ・・・あれ?私、一体何を?!?」
 
い「ナイスパンチ、ミュウレタス!!」
 
いや、触れるべき点違うだろいちご。
 
令「それで、何か手がかりになるようなモン見つかった?」
 
ミレ「は、はい。これが・・・」
 
そういってミュウレタスは懐から一つの鍵を取りだした。『Gallery(ギャラリー)』と書かれている。
 
ジ「OK!早いとこ先へと進みましょう!!」
 
全員が一挙に1Fへと戻ろうとしたその時・・・!
 
横『・・・・・・・』
 
肉体から霊魂が離脱し、何やら魂魄だけが上方を見据えている状態の横島。そして・・・
 
 
横『・・・・いける!!』
 
他全員『い、逝くなあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』
 
全員の呼び止めによって、何とか天使を追い返すことが出来た(←途中美神とジルが天使を何人か撃ち殺した)横島であった。
 
 
そして・・・残すは寄宿舎奥の大広間。ギャラリーから通じる扉は、鍵はかかってはいないのだが、何かに押さえつけられているようで開かない。
 
 
令「・・・どうしましょうかこれから?」
 
い「どうしようったって・・・扉、突き破ります?
 
れ「い、いちごさん・・・過激ですねぇ。」
 
令「いいわね、そうしましょう!!」
 
れ「ああもう何でこの二人ってこう過激なのぉ〜〜!!!」
 
さしずめ美神ウィルスと言うところか・・・いちごのキャラ崩れもそれの感染による影響が大きいと思われる。
 
結局二人の提案通り、全員で扉に体当たりして突き破ることとなった。無論いちごとれたすの二人は、この狭っ苦しい部屋で十分なダッシュが出来るはずもなく、
 
変身しての全力ダッシュとなった。
 
令「行くわよ・・・・せぇのっ!!!」
 
他全員『どすこいどすこいどすこいどすこいっ!!!』
 
突進力を上げるならやっぱこれだろうと、何故か可決された横島の意見。
 
明らかに雰囲気はブチ壊しだったが、表情は至って真面目な一行。そして、ドアの方もそんな一行のバカさ加減にあっさりと観念してしまう。
 
そして、一同が扉をぶち破ったその瞬間!!
 
 
ひゅおん・・・がしっ!!
 
 
鈍い滑空音と共に、一同の体に巻き付く得体の知れない触手。
 
ミイ「きゃっ!!一体何よこれ?!」
 
ジ「あ、アレは何・・・何なの?」
 
ジル、そして美神達が遭遇した物体。・・・それは、明らかにこの世の者とは思えぬほど肥大化した植物の瘤のようなもの。
 
さらに詳しく言うならば、その植物は部屋全体にその根を張り巡らせ巨大な触手がジル達をとらえ、辺りにぶおんぶおんと振り回している。
 
辺りには花粉が舞い散り、巨大な花弁からは大量の酸性らしき液体が降り注ぐ。
 
そう・・・ジル達はこの植物の化け物の胃袋に飛び込んだようなそんな状態であった。奴らはこうやって獲物を弱らせ、栄養分を吸収するのだ。
 
その吸収器官は・・・おそらく彼女達を捕らえているあの触手。
 
 
令「くっ・・迂闊だったわ!!このままじゃ全員干物になっちゃうわよ!!」
 
横「くっそぉぉぉっ・・・・死ぬ前に一度美神さんに何かしたいのに何にも出来ねぇぇぇっ!!!」
 
令「あんた先にくたばっていいわ。」
 
こんな時でも相変わらずやなこの二人わ・・・。と、その時!!
 
バ「こ・・・こいつは一体!!」
 
ジ「バ、バリーっ!!」
 
バ「ジル・・・・ってうぉっ!!」
 
一行が突き破って開いた扉からバリーが駆けつけてきたが、そのバリーも不意をつかれて巨大植物の触手に捕まってしまう!!
 
だが、ここで黙ってやられるわけにはいかない!バリーは手にしていた火炎放射器で王として君臨する植物を炎でいぶり始めた!
 
さすがの王も天敵である火に対しての対策は全く成されていなかったためか、触手・花弁の順に次々と引火して燃え広がっていく。
 
そしてついには炎で弱体化した寄宿舎の王はジル達を触手から振り払い、床に叩き付けた。
 
ダメージはそれなりのものではあったが、戦闘には支障はない。今ならいける!!
 
令「ミュウイチゴ、出番よっ!あなたのストロベリーサプライズに術札の炎をプラスさせてお見舞いするわ!!スタンバって!!!」
 
ミイ「了解です!!」
 
ストロベルベルを構え、エネルギーを溜めていくミュウイチゴ。その一方で炎の術札を横島から受け取った美神は、札に念を込めてサプライズとの融合化を最適化する。
 
令「さぁって・・・イヤな花言葉しかなさそうな化け物プランターを・・・」
 
ミイ「極楽へ!・・・行かせるついでにご奉仕するニャン♪」
 
 
微妙にマッチングしたセリフのあと、ストロベルベルを構えたミュウイチゴの前に術札をかざす美神。
 
令・ミレ「「燃え尽きろっ!!リボーン・バーニングファイヤァァァァッ!!!!」」
 
 
ごあぉぉぉぉぉぉぉっ!!!
 
 
術札のパワーを吸収し、炎をまとったサプライズが王の躯全てを焼き払う!!が・・・勢い余ってブッ放したエネルギー体が王を焼き払いながら寄宿舎を貫通する。
 
無論この寄宿舎は年代物の木造建築物なので・・・当然引火。
 
 
ミレ「これはちょっと・・・マズイ雰囲気ですね。」
 
ジ「ヤバヤバよっ!早いとこ脱出するわ、ついて来なさいっ!!」
 
一同『う、うわわわわぁぁぁっ!!!!』
 
一応洋館最後の鍵を手に入れたからいっか、ということで寄宿舎探索終了。
 
 
 
 
 
その後・・・
 
ジ(さっきバリーが言っていたことが本当なら、何故私を助けたの?・・・何かの目的に利用するため・・・?)
 
悩んだところで状況は進展しない。そう、今は前に進むしかないのだ。前に・・・・。ジル=ヴァレンタインの心は今まで以上に乱れ、揺らいでいた・・・。
 
 
続く
 
 
あとがき
 
どうもお久方(←掲示板にちょくちょく顔を出してから久しぶりじゃない)です、takkuです。
 
とりあえず首の皮一枚繋がって大型免許取得いたしました。やっぱりやってました脱輪を・・・。
 
前日思いっきしやって懲りてただろうに・・・。
 
そんな重い雰囲気でしたが、10話目も無事に出来上がりました。今思えば寄宿舎編はかなり書きにくい雰囲気でした。イベント多いし、キーアイテムも多いし。
 
でもま、これで次に繋げられるぞ!さて、車どうしようかな・・・?