FightRPG Dat.15「潜入」
 
 
美神達がアメリカ、ラクーンシティーへ旅立ってから数日が経っていた・・・。
 
実質家主である美神がいない以上、GSの以来に関しても居残りメンバーで何とかやりくりしている状態であった。
 
そんな一同の会話をちょっと除いてみよう・・・
 
 
み「それにしても・・・美神さんも凄まじい無理難題を振りかけてきましたわね。」
 
ざ「ええ・・・赤字を出すな・・・というよりむしろ黒字3億円以上なんて言い出すなんて。」
 
いくら彼女らの戦闘能力がGS並・・・いや、それ以上とは言え3億円は尋常な額ではない。
 
それでも彼女らの傍らには大量のアタッシュケースが積まれていた。もちろん数々の以来をこなしていって稼いだギャラである。その総額15億円。
 
 
セ「美神さん・・・いつもこんな荒稼ぎしてたのね。今のご時世こんな大金見たら一般人は即倒しちゃうわよ。」
 
ちなみに彼女達は、度重なる依頼ですでに免疫が出来てしまったので、逆に小銭が恋しくなってしまった(みんと・ざくろは例外)。
 
その時、事務所に電話のベルの音が響き渡る。すかさずフィリアが受話器を取る。
 
 
フィ「はい、美神除霊事務所。・・・はい・・某工場跡にて不気味な怪物を発見。・・・大きさはやや大きめ。形は人型・・・はい・・はい・・・分かりました、直ちに除霊に向かいます。」
 
立ち上がる一同。こんなのはすでに彼女達にとって日常と化していた。
 
 
フィ「それじゃそれじゃいつものように最初にミュウミュウの三人。その後援護でセリカちゃんとあたしの順番で行くわよ。」
 
全員『了解!!』
 
一斉に立ち上がるみんと・ざくろ・歩鈴の三人。彼女達に除霊用の武器は必要ない。なぜなら変身するだけで十分に対処できるからだ。
 
元々キメラアニマを相手に修羅場を潜ってきた彼女達だけに、悪霊の相手など朝飯前なのだろう。
 
 
そしてやって来た廃工場・・・。
 
 
歩「ところで、その怪物って一体どこにいるのだ?全く気配すら感じられないのだ。」
 
ざ「ガセとは思えないし・・・もうちょっとそこら辺を散策してみましょう。」
 
そういうと、変身することなく探索を開始するざくろ。それにつられる形でみんともついていく。
 
駆けつけた当初は気付かなかったが、ここはフィリアとセリカが巨大クリーチャーとの死闘を繰り広げていた場所。何やら一同を異様な雰囲気が包み込む。
 
 
み「お姉様・・・・何だかちょっと蒸し暑くありません?」
 
ざ「言われてみると・・・・熱源は確か存在しなかったはずだけど・・・。」
 
そう、この工場はすでに主を失いその活動を止めたはずなのに・・・だが、この暑さは尋常ではない。
 
 
み「ざくろお姉様・・・今回の依頼、何やらきな臭くないです?」
 
ざ「奇遇ね、あたしも同じ事考えてたところよ・・・ところであたし達の後ろにいるあなたは一体誰?」
 
みんとが振り向いた先には陸橋の上に佇む男が一人。仮面を被ったいかにも怪しさ大爆発な輩である。
 
 
???「ふふふ・・・お初にお目にかかります、ミュウミント、ミュウザクロ・・・」
 
み「!!私たちの正体を知ってる?!」
 
ざ「どうやら、一杯食わされたようね。あなたは何者!?」
 
???「いずれ分かりますよ・・・それより今からあなた達の力を試させて貰います。」
 
み「試すですって?!」
 
 
男は仮面越しに微笑すると、左手をかざし何やらぶつぶつ唱え始めた。そして・・・
 
???「出でよ・・・紅。」
 
しゅごおおおぉぉぉっ!!
 
その男の腕から発せられた炎がやがて一つの固まりとなってその姿を現した。その姿は、女性・・・いや、アレはもはや人の姿と呼べるものではない。
 
炎の一部が翼を形取り、全身が凄まじい高熱を発している。
 
み「お姉様、もしかして!!」
 
ざ「どうやら、奴の罠にまんまと乗せられてしまったみたいね・・・」
 
覚悟を決めるみんととざくろ。そして・・・
 
辺りを閃光が包み込み、共に変身するミュウミュウの二人。だが・・・
 
???「なるべくなら無傷で確保したいところですが・・・止むを得ませんね。」
 
 
 
 
・・・・・・・・
 
一方そのころ、単独行動を取っていた歩鈴はというと・・・?
 
 
歩「みんとのお姉ちゃんやざくろのお姉ちゃんは一体どこに行ったのだ?完全にはぐれてしまったのだ・・・。」
 
 
迷子になっていた。
 
 
歩「にしても・・・暑いのだ・・・・溶けてしまいそうなのだ・・・・・。」
 
その時歩鈴は、背後から迫る驚異の存在に、全く気付く様子もなかった・・・。
 
歩「うきゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 
 
 
4時間後・・・
 
 
 
フィ「遅いわね・・・三人共。何かあったのかしら?」
 
セ「余計な心配は無用だと思いますよ。だって普通の悪霊相手に手こずるはずないし。
 
フィ「あのね・・・みんとちゃん達を化け物みたいに言わないの。」
 
あがなち間違いではないが・・・。と、
 
こんこん
 
少女「ちょっとお邪魔するよ。」
 
少年「・・・・・・・・。」
 
突如事務所に上がってきたこの二人。背丈や服装から察するに、近所の高校生といったところか。
 
 
セ「あの、何かご用でしょうか?仕事の依頼なら承りますが・・・」
 
少女「違う違う。・・・・あんた等ん所でさ、東京ミュウミュウの三人が働いてるって聞いたからお邪魔したんだけど・・・。」
 
フィ「!みんとちゃん達の事を知ってるの?」
 
少年「・・・ドンピシャだったか。」
 
風子(以下風)「とりあえず時間がないから手短に自己紹介するわよ。私は霧沢風子、風子でいいわよ。んでこっちが・・・」
 
烈火(以下烈)「俺は花菱烈火。・・・ある君主に仕える忍(しのび)だ。」
 
フィ「んで、その忍者さんが一体うちのミュウミュウ達に何の用かしら?」
 
 
改まって聞き返すフィリアに、烈火は
 
烈「実は・・・俺の君主、『佐古下柳』と一緒にあんた等ん所の東京ミュウミュウを預かったっつー話が来てな。一耳入れておこうと思ったのさ。」
 
フィ「なんですって?!彼女達が誘拐!!?」
 
セ「どちらかって言うと、拉致された・・・の方ですか?」
 
彼女達の力を考えると早々簡単な事ではない。それをやってのけたのだから相手側の力の大きさというものがむざむざと知らしめられた。
 
フィ「なるほど。んで、あなた達はさらわれた先の場所の見当はついてるの?」
 
烈「ああ、詳しいことについては追々知らせる。んじゃな、俺たちも殴り込みの準備しなきゃならねぇし。」
 
いそいそとした素振りでその場を立ち去る烈火と風子。そして事務所にぽつんと残されたフィリアとセリカ。
 
 
フィ「・・・・どうしよう?」
 
セ「とりあえず白金さん達に連絡を取った方がいいんじゃないんですか?もしかしたら解決策を出してくれるかも?」
 
 
白「・・・それには及ばん。」
 
僅かな間をおいて白金が事務室へと入ってきた。おそらく偶然立ち聞きしてしまったのだろう。
 
 
赤「ざくろさん達からの定時連絡が途切れてもう6時間が経ったので、梁と様子見に来た訳なんですが・・・。」
 
白「状況は・・・最悪のようだな。」
 
フィ「ええ。・・・ともかく、あたし達は彼女達の救出に向かうわ。美神さん達がいないのは痛いけど、この際泣き言は言ってられない。」
 
白「すまない。出来ることなら俺達も行きたい所だが、こっちもミュウアクアの捜索で手一杯なんでな。」
 
セ「別にかまわないですよ。白金さん達が頑張ってるの、私知ってますから。」
 
落ち着いた表情で白金を見つめるセリカ。いちご達とはえらい違いである。
 
 
???「・・・話は聞かせて貰ったわ。よかったら私も混ぜてくれない?」
 
セ「!!香澄さん!」
 
事務室の入り口に佇んでいた女性・・・。以前量産型タイラントと一騎打ちを行おうとしていた自衛官、香澄である。
 
 
フィ「香澄、部隊の方にいなくてもう大丈夫なの?」
 
香「ええ、復旧のメドはついたし・・・あの一件以来どうしても気になってね。」
 
セ「何がですか?」
 
香「今世界では、何かが起ころうとしている・・・。今の私達には手に負えそうもない強大な何かが。」
 
白「GSでもないのに、妙に非科学的な意見だな。」
 
白金の意見ももっともだが、彼女の言うことにも頷ける点がいくつかある。
 
それを一番分かっているのは、これまで数多くのクリーチャーと戦ってきたフィリア自身であった。
 
 
フィ「あんたほど心強い味方がいてくれたらあたし達にとっても大歓迎よ。」
 
セ「ま、来る者は拒まずって昔の人もいいこと言ってますし。」
 
国語の勉強量がいまいち足らないセリカ。それはホームページの鉄則だっつーの。
 
 
フィ「ついてきて、あなたに武器を渡したいから。」
 
香「え、武器って・・・ちょっと待って!そんな物がここにあるの?!」
 
セ「ま、ついてきてください。」
 
 
フィリア達に無理矢理といった形で事務所の地下へと連れて行かれる香澄。そして三人はとある一室の前で立ち止まる。
 
フィ「行くわよ、セリカちゃん。」
 
セ「はい、せーのっ!!」
 
 
ごごごごごごごごごっ・・・・・
 
 
フィリアとセリカの二人が鋼鉄の扉をフルパワーで開く。その先にあった物は・・・・
 
 
香「ちょ、な、何よこの銃火器の山!!
 
香澄が驚くのも無理はない。その部屋に散りばめられた物体
 
M4A1カービン アサルトライフル・・・M16コンバットマグナム
 
H&K USPハンドガン・・・レミントンM−1100ショットガン・・・
  
その他諸々の銃火器が所狭しと並べられていたのだから。
 
 
セ「美神さんがアメリカに行く前に『もし香澄が私達に協力してくれるんならここの武器庫から好きなモン持って行かせなさい』って言ってました。」
 
香「・・・・・・・・。」
 
あまりの光景に黙り込む香澄。
 
 
フィ「どうしたの、香澄?」
 
香「一応聞いておくけど・・・やっぱこれって密輸よね?
 
セ「いや〜〜なんかもう聞くまでもないって感じぃ?!ってなところです。」
 
香「・・・・・・。」
 
 
自衛官としてちょっと日本の未来に不安を感じる香澄であった・・・。
 
 
 
13時間34分後・・・烈火達との待ち合わせの場所。
 
動きやすいボーイッシュな格好をした風子に対し、お決まりの忍び装束をまとってキバる烈火。
 
そして風子と烈火の中央に位置する鼻ピアスが目立つモヒカンヘヤーの大男。
 
 
土門(以下土)「一応初めましてだな。俺は石島土門!この辺りじゃ『鬼の土門』って名を馳せてる男だ。まぁ俺に任せとけば心配いらねーから!!」
 
香「・・・・気張るのはいいけど、足下すくわれてそのまま転けないようにね。」←悪気全くナシ
 
土「・・・・・・。」
 
香澄の手痛いツッコミに少し落ち込む土門。
 
 
烈「これであんた等ん所のメンバーは全員か?」
 
フィ「(土門君の事については何も触れないのね)・・・ええそうよ。ところで彼女達の拉致先は?」
 
風「・・・I県の山岳地帯に位置するとある屋敷らしい。詳しいことは分からないけど。」
 
烈「よし、準備も整った所で・・・行きますか!姫と・・・」
 
セ「・・・・・ミュウミュウの救出に!!」
 
互いに手をかざし、『おーっ』っと気合いを入れる一行。そして・・・・
 
 
 
一方の囚われのミュウミュウ三人。
 
 
ざ「・・・・ん・・んん・・・・・。」
 
み「気がつかれました、お姉様・・・?」
 
ざ「・・・・みんと・・ここは・・・・?」
 
歩「どうやら、悪者のアジトみたいなのだ。薄暗くて外の様子も分からないのだ・・・。」
 
ざ「そう・・・。つっ・・・!!体中が軋んで、思うように動かないわ・・・・。」
 
???「あの・・・お怪我をされてるのでしたら、私が何とかしましょうか?」
 
ざ「あ・・・あなたは・・・・?」
 
 
 
続く
 
 
あとがき
 
11話と同じでなかなか先へのアイディアが湧いてこない。・・・どないしよ?