Fig・煤@Dat.1「彷徨える疾風(はやて)の戦乙女」
Fight Dat.1「彷徨える疾風(はやて)の戦乙女」
女性は日も暮れた街の中を延々と彷徨い続けていた・・・。
どこかどうかは分からない・・・でも、行かなければならない。
そればかりが頭の中を何度も駆けめぐる・・・。
(急がなきゃ・・・時間が・・・・・)
しかし、体は言うことを聞かない・・・。足が次第に重くなっていく・・・。
そして・・・・・意識は深い闇へと消えていった・・・。
・・・・・・・
「・・・ださい」
「・・・・ですかぁ」
少女「大丈夫ですか?しっかりして下さい!」
目覚めた女性の目に映ったのはやや長髪の銀髪少女だった。
年は・・・13・4と言ったところだろうか。
???「・・・・ここは?」
少女「私の家です。外はもう12月で冷え冷えだってゆうのにこんな薄着なんですもの。倒れるのも無理はないです。」
そういえばちょっと寒かった気がする。となると、ここにくるまでは南の国にいたということか?
いろいろ考え出すが、頭が痛くて思うように思い出せない。
少女「風邪ひくといけませんから、温かいスープでも持ってきますね。」
???「え・・・ええ。ありがとう・・・・・。」
そういうと、少女は部屋を出ていった。
ふと窓に目を向けると、外では雪が降り始めていた。そして数分後には・・・・
吹雪いていた。
???「明日は何かいいことありそう♪」
吹雪を見るなり、女性はどうにも矛盾したことをのたまう。
きっと頭痛のせいで正常な思考が出来ないのだろう。
いくら冬とは言えど、いきなり猛吹雪はツッコミどころ満載だと思うのだが。
吹雪をしばらく眺めていると、部屋のドアがゆっくりと開き、先ほどの少女が戻ってきた。
少女「お待たせしましたぁ♪ぽっかぽかのコーンスープですっ!」
???「あ・・どうもありがとう。」
女性は味噌汁茶碗に入れられたコーンスープをゆっくりと飲み始めた。
冷え切ったからだが次第に暖まっていく。
???「・・・・・美味しい。」
少女「よかったぁ♪・・・ところで、お名前は?」
フィリア(以下フィ)「あたしは・・・・・フィリア=ティオロード。お嬢さんは?」
セリカ(以下セ)「私は井月セリカ。近所の中学校に通ってる、花も恥じらう純な乙女13歳ですっ。ぶいっ(はーと)」
びしっっと決めポーズ(Vサイン)を取るセリカ。にしても・・・・
フィ「その雰囲気でVサインすると某艦長とネタかぶっちゃうからこれっきりにしときなさい。」
セ「はぁ〜〜い。」
フィリアの的確なツッコミに、少し膨れてセリカは頷いた。どうやら無意識に飛び出したネタらしい。
っつーかなんでそんなネタを知っているフィリア。
セ「じゃあ、フィリアさんは何処の国の人なんですか?名前からして日本人じゃなさそうだし・・・。」
フィ「・・・・・分からないの。」
セ「え?」
フィ「・・・記憶が、無いの。ここ一週間から前の記憶が・・・全然。」
セ「それって俗に言う記憶喪失?!」
フィ「あたしが今話した名前も、やっとの事で思い出した記憶の断片・・・。それ以上のことは分からないわ。」
暗い表情でうつむくフィリア。セリカは記憶喪失とはまた厄介だなぁと思っていた。
セ「病院とかで看てもらいました?」
フィ「いえ・・・。なぜだか分からないけど、病院には行ってはいけないって思うの。」
セ「へぇ・・・。その銃は?」
フィ「これは・・・あたしが近くで倒れていたときにそばに落ちていた銃。」
セ「案の定、その銃についても覚えてないでしょうね。」
こくりと頷くフィリア。
リボルバ銃とオートマチック銃が融合したような、独特の形状をしている今まで見たこともない銃だ。
セ「何にせよ、今はゆっくり休んで下さい。ここで無理したら元も子もないですから。」
フィ「あ・・・ええ。そうさせて貰うわ。でも、あんまりお世話になるわけにもいかないし・・・体が回復したらすぐにでもここを発つわ。」
セ「そんなこと無いですよぉ♪何でも言って下さい、力になりますよ?」
ずずぃっと笑顔で迫ってくるセリカ。こうなってはごり押しでも通用しないだろう。
・・・・・
結局セリカの言うとおりの展開となってしまった。
何故にあの笑顔に気圧されしてしまったのだろうかと悔やんでも悔やみきれないフィリア。
まぁ、本音としてはこれからの宿が確保できて万々歳といったところなのだろうが、
彼女自身何故か素直に喜べない。
とりあえず、悩んでも始まらないので布団の中に潜って眠りにつくことにした。
・・・・・・
そして翌朝。
ちゅんちゅんちゅん・・・・・
外からのスズメの鳴き声がとても澄んで聞こえる。が・・・・
フィ「う〜ん・・・。あと10分。」
いまいち寝起きが悪いフィリアであった。髪もぐしゃぐしゃに寝ぐせが出来ており、
着ているパジャマだってかなり着崩れしている。ずぼらという他無い状態だ
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ←目覚ましの音
セリカがしかけたのだろうか?目覚まし時計が大音量で鳴り響く。と・・・
ズキュン←発砲
フィ「・・・・くぅ。」
普通は銃声で完璧に目が覚めてしまうだろうが、彼女の場合は違った。
フィリアからしたら目覚まし時計の方がうるさいらしい。
その選考基準はどうしたもんかと疑いたくなるが。
当然近所に響き渡る突然の銃声は付近の住民達を恐怖のどん底に陥れたのは言うまでもない。
フィ「・・・・ん・・・重。」
今度は苦痛に顔を歪ませるフィリア。その上には・・・・
幼女「・・・あさだよあさだよ〜〜おきておきておきて〜〜〜!!」←高スピードで手をたたき付ける
フィ「んにゃぁ〜〜〜!!?」←悶絶
さすがに寝ているところに自分の体の上でバタバタされては辛いものがある。
幼い妹or弟がいる読者なら分かるネタであろう。
セ「こらぁ〜〜カナ!!何してるのよ!!」
カナ(以下カ)「あ、おねえちゃんおはよー♪」
セ「おはよーじゃないわよ。フィリアさん起こしちゃダメじゃないの。」
カ「ふぇぅ〜〜・・・ごめんなさい。」
涙目で謝るカナ。一方のセリカは、朝食の準備でもしていたのだろうか?制服の上にエプロンを着ている。
しばらくしてカナはフィリアの方を凝視して・・・
カ「そういえばこのおねえちゃんだれ?」
セ・フィ「「知らずに暴れたんかい」」
やはりこの姉にしてこの妹ありといった感じである。天然っぷりがセリカそっくりだ。
フォローのやり場に困るセリカだったが、とりあえず紹介だけでもしなければと開き直る。
セ「あ・・・えーと、一応私の妹『カナ』です。」
フィ「へぇ・・・あなたそっくりで可愛いわね。」
セ「いえ・・・・・そんな。」
俯いて真っ赤になるセリカ。ン?なんか変だぞ??
セ・フィ「「っていつまでこんなんやってなきゃいけないのよ、話が進まないじゃない。」」←作者につっこむ
流れを逸脱してまでつっこむことかそれ?それにそういうことは作者が気にすべき事だ。
いくらオリキャラとはいえお前等にそんな権限はない。
フィ「はぁ・・・・・。そういえば外、雪積もったかしら?」
セ「どうでしょう?ちょっと待って下さい。」
立ち上がり、近くの窓へと向かうセリカ。カーテンを開けると・・・
猛吹雪
フィ「・・・・これはちょっと降りすぎ?!」
セ「確かにちょっとおかしいですね。異常気象ですよ絶対。」
窓の外に目を向けるとものすごい勢いで雪が降っている。これでは迂闊に外にも出れないというほどだ。
部屋にあったテレビの電源を入れるセリカ。天気予報の番組を探して、予報を見てみると・・・
セ「・・・・大雪警報に加えて暴風警報。」
関東地方全域に発せられていた厳戒令。いくら何でもこれでは北極だといわんばかりに吹雪が悪化している。
そのとき、フィリアがどこからか流れてきた異様な空気を感じ取った。
そう、まさにニュータイプの人が何かを受信したときと酷似していた。
フィ「来るわ・・・・黒いプレッシャーを放つ何かが!」
セ「何だかオカルトじみてますね。」
フィ「・・・・なきゃ。」
セ「えっ?」
フィ「行かなきゃ!!・・・・・こっちか!ていっ!!!」
がっしゃあぁぁん!!←窓ガラスを突き破る音
セ「ああっ!!フィリアさん、何で窓から外へってつっこみ以前に体中からめっさ血ぃ出てるしっ!!!」
刹那・・・無理に窓を突き破って出るもんだからフィリア自身も、
そして突き破られた窓ガラスにも血がべっとりと・・・。
カ「・・・・・まどガラス、だれがなおすの?」
カナの一言+外から進入してきた絶対零度並の寒気に、セリカは一瞬にして凍結した。
・・・・・・(一方フィリアは)・・・・・・
フィ「・・・せ、せめてコートだけでも借りとけばよかった。」
出血量も尋常じゃない。顔がどんどん青白くなっていくもんだから寒さも倍増。
でも今はそれどころじゃない。何かが迫る・・・そんな気がしてならない。
フィ「何故だろう・・・何かが違う。この雪、不思議な感じがする。」
しばらく辺りを見回すフィリア。すると・・・・・
さくっ・・さくっ・・・さくっ・・・・
後ろの方から誰かがゆっくりと迫ってくる。フィリアが振り向いたその先には・・・
???『GAaaaaaa・・・・・』
カンガルーにラクダを融合させたような異様な怪物がフィリアを凝視していた。
ドクン・・・・ドクン・・・ドクン・・
じりじりと間合いを詰めてくる怪物、それに伴い後ろへと徐々に下がっていくフィリア。
生理的嫌悪感よりも先に、今自分に迫り来る『死』への恐怖が彼女を取り巻いていた。
その時・・・・!
セ「とりゃぁぁぁぁっ!!」
バキャッ←跳び蹴り
ずざあぁぁぁぁっ!!!←地面をすべっていく
セ「フィリアさん、大丈夫ですか!?」
フィ「・・・セリカちゃん、今なにげにすごい事しなかった?」
確かに、年頃の女の子がやるには外見的インパクトが強すぎ
る・・・。
跳び蹴りって・・・ガン○ムフ○イター(←伏せ字の意味ねぇ)張りだぞ。
セ「こう見えても私、実家に代々伝わる古武術を継承してますから。」
フィ「・・・・・人は見かけによらないって本当ね。」
???『GAaaaaa・・・・・』
怪物は口からよだれを垂らし、二人を睨み付ける。が・・・
セ「番長(←ジャ○アン△の)並の迫力ね。」
フィ「言いたいことは分かるけど、例え全然かみ合ってない&雰囲気台無し。」
フィリアちん完全にツッコミキャラ化。
状況を無視してボケるセリカを無視し、改めて気を入れ直して手持ちの銃を構えるフィリア。
フィ「セリカちゃん!あたしが奴の気を引きつけるから、一気にとどめを刺して!!」
セ「分かりました、あんまり無理しないで下さいね!!」
この時、フィリアの出血量1.02L。
少しでも無理をすれば一瞬にして崩れ落ちるであろうという数値だ。
セリカが戦闘態勢に入る一方、フィリアは銃に新しいマガジンを装填する。
フィ「行くわよ・・・・」
怪物が駆け寄るが早いか、フィリアが銃を構えてトリガーを引くが早いか、
辺りの時間がゆっくりと流れるような動きで、フィリアの正確無比な弾丸の一つ一つが、
怪物の体を赤い鮮血と共にうち砕く。
???『GYAaaaaaaa!!』
フィ「セリカちゃん、今よっ!!」
セ「・・・・・獅龍剛炎拳・地の撃、五の型・・・。たぁっ!!」
すうっ
素早く、それでいて緩やかな動きで残像を残しながらセリカは怪物の背後に回る。
ドダダダダダダダ
懐に入るやいなや、素早く怪物の関節部分に打撃を加え、一端下がったと思ったら
再び懐につっこんで今度は脳天に素早い連打を与える!!
すしゃあっ
ペガ○ス流□拳の如く、拳をかざしたまま怪物の背後を突き抜けるセリカ。
セ「剛殺・地絞連打!!虎咬烈砕・・・我が拳の前に立ち去れ!!」
セリカの決めゼリフの後に、怪物は断末魔と共に消滅した。
・・・・・・数時間後
フィ「うぅ・・・・頭がくらくらする。」
貧血に悩んでいた。
セ「死ななかっただけマシだと思いますけど?」
フィ「反省してますハイ。」
あれから瀕死量の出血により、その場に倒れ込んだフィリアだったが何とか持ちこたえていた。
しぶとい生命力である。
セ「それにしても・・・朝のあの怪物は一体・・・?」
フィ「クリーチャーよ。」
セ「クリーチャー?英語で『化け物』って意味ですけど。」
フィ「ま、ネーミングの由来は置いといて・・・今じゃこの世界中に溢れかえってるわ。」
セ「せ、世界中??!あんな怪物が?
フィ「ただ、戦う時以外は人や動物へ擬態をしてるから、一見しただけじゃ分かんないかもね。」
セ「最悪ですね・・・。」
身近な知り合いの中にそんな怪物がいるかと思うと、セリカはちょっと身震いした。
セ「・・・?!フィリアさん記憶が戻ったんですか!」
フィ「いいえ、断片的に思い出しただけ。本当の記憶はまだ・・・。」
セ「そうですか・・・。」
一気に表情が暗くなる二人。でも・・・・・
セ「でも、もしかしたら世界中のクリーチャーを倒したらフィリアさんの記憶、元に戻るかも知れませんね♪」
フィ「え?・・・・ええ。そうかもしれないわね・・・ってちょっと待ちなさい。」
セ「え?」
フィ「その言い分だと、もしあたしが仮に世界を回ろうとしたらあなたもついて来るって事?」
セ「もちろんです!!ちょうど学校も冬休みですし、お手伝いなら十分に出来ますよ?」
フィ「あのねぇ・・・。」
・・・・あかん、前にも似たようなパターンがあったような気が・・・。
フィ「・・・・資金はどうするの?移動資金は。」
セ「大丈夫です、幾つか家宝を質に入れて調達してきますっ♪」←さわやかな笑顔
フィ「鬼、悪魔。」
セ「・・・冗談ですよ。出資者の友達、知ってますから紹介します。」
フィ「それもそれであつかましいわね。」
もっともである。
セ「それじゃ、早速貧血が治ったらレッツゴー!!」
フィ「・・・・・・・。」←つっこむ気力もなくなった
なんだかんだでフィリアとセリカの冒険の幕は上がった。
果たして、これから彼女たちを待ち受けるものは一体?!
続く
あとがき
のっけからギャグのために微妙なパクリ連発。次回からいきなり、あの有名なアニマル軍団が・・・?!