第3話「旅行なのにこんなに気疲れするのは何故?」
 
 
七梨家にて謎の(?)大爆発が発生してから5日後・・・。
 
すでにたかし達には日曜日の一件は説明済みで、各自着実に旅行の下準備を進めている。
 
無論彼らは何の疑問を持つことなく大賛成した。
 
たかし−−→シャオ:乎一郎−−→ルーアン:花織−−→太助・・・の下心図式が 
 
彼等の脳内で組み立てられたのは言うまでもない。
 
 
現在太助達は学校の教室で今回の旅行について雑談会を開いていた。
 
「しっかし・・・たかしにしろ乎一郎にしろ愛原にしろ、あっさりと承諾したな。」
 
「あいつらも暇なんだな。よっぽど。」
 
翔子、今度はたかし達に毒づき始めた。
 
「そのセリフ・・・たかし達が聞いてたらそっくりそのままお前に返すと思うぞ山野辺。」
 
「まるでいつもあたしが暇みたいな言い方だな七梨・・・。」
 
実際彼女が忙しいのかは作者にも分からない。
 
ちなみにたかしと乎一郎はルーアンに呼び出され、歴史資料室に資材を取りに行ってる。
 
と思ってたら・・・
 
「太助ぇぇぇぇ!!!」
 
勢いよくたかしが叫びながらドアを開けて戻ってきた。うるさい事この上ない。
 
「あぁあー!!俺の熱き魂でぇ〜未来への扉をいざ開かん!!!」←いつも調子で歌ってる
 
「たかし君の歌ってそんなすごい力を秘めてたっけ?」
 
乎一郎のダメ出しが入る。・・・でもある意味的確なつっこみだといえるだろう。
 
「・・・乎一郎、お前いつからそんな毒舌キャラになっちまったんだ?」
 
「知らなかったの?かなり前からだよ。」(いい笑顔)
 
「いや、そんな笑顔で語られても困るんだけど・・・。」
 
たかしが引きつりながら答える。
 
確かにこんなセリフを笑顔で語られると逆に怖い。
 
 
「そういえば・・・。」
 
翔子が思い出したように口を開く。
 
「出雲のおにーさんは今回来るのかな?」
 
「そういえばそうですね。一応お誘いしましたけれど・・・。ご都合が良ければよろしいんですが。」
 
シャオも少し不安になる。だが、太助&たかしの二人は違う意味で不安だと思っていた。
 
これ以上彼のロリコン節に拍車を掛けることになってはシャオの身が危ない!!
 
そう思っていたからだ。まぁ、出雲の事だから誘わなくても勝手についてくるだろうが。
 
「あぁ、それなら心配ないよ。」
 
「??どう言うことだ乎一郎。」
 
「今日中に出雲さん家にエボラウィルスを至る所にばらまいておくから。」(再びいい笑顔)
 
「誰がバイオハザードを引き起こせと言った?」
 
どうやら乎一郎は出雲を病院送りにして、強制的に旅行不参加にさせるつもりらしい。
 
それ以前にエボラウィルスなるものをどっから手に入れてきた?
 
ちなみに補足すると、エボラウィルスはエイズウィルスよりも危険度が高いウィルスである(高校の時政治・経済の教科書で見た)。
 
 
「乎一郎・・・もっと事を穏便に済ませるってことを思いつかないのか?」
 
「出雲さんにはそんな生半可な手は通用しないよ。」
 
確かに出雲の場合、生半可な妨害工作は難なく乗り越えてくるだろう。なまじ乎一郎が言うとすごく説得力がある。
 
でもだからって超危険なウィルスを使うか普通?
 
「で、でも乎一郎さん。それじゃあ出雲さんがあまりにも可哀想です・・・。」
 
シャオが乎一郎を説得する。
 
確かにこのまま乎一郎にやらせると、出雲が可哀想どころか下手をするとそのまま天に召される可能性がある。
 
「しょうがないな・・・じゃあO−157って事で!
 
「だからバイオハザードを引き起こすなっつーの!」
 
乎一郎がだんだんマッドサイエンティストになっていく・・・。
 
しかも彼の暴走は誰にも止められない(止めると自分が実験体にされる)から、その壊れ様は止まるところを知らない。
 
「でもまぁ、残念だけど出雲のやつは来ないって事で。」←太助(怖くなって話を続ける)
 
「・・・残念ですね。」←シャオ(上に同じ)
 
「ってそうじゃないだろ。このまま遠藤を殺人犯に仕立て上げる気か?」
 
珍しく翔子が乎一郎の心配をする。
 
と言うよりも殺人犯とクラスメイトだったなんてたとえ彼女でなくてもイヤだと思うだろう。
 
結局、後の太助達の説得により乎一郎は細菌兵器の使用を断念し、出発当日
 
出雲を謎の能力で意識不明にさせることにした。
 
そして迎えた出発当日・・・。
 
ちなみに集合場所は、学校のグラウンドである(広い場所を要求されたらしい)。
 
「をい七梨、今何時だ!?」
 
「11時半・・・。かれこれ3時間は待ってるな。」
 
あまりの待ち時間のせいで翔子はややキレ気味である。
 
だが翔子でなくても、普通の人間なら3時間も待たされればイライラもしてくる。
 
しかも季節はまだ冬・・・。いい加減手がかじかんてきた。
 
「さ、寒い・・・。」←意識がうつろ
 
「そういえばキリュウは寒いのダメだったな。」
 
あまりの寒さにキリュウの意識はあっちの世界へと旅立ちつつあった。
 
「そうだ!お迎えが来るまでみんなでおしくら饅頭しませんかぁ?」
 
ひらめいた花織がおしくら饅頭を提案してきた。確かに効果的だが、発想がいかんせん幼稚すぎた。
 
一同は更にテンションが下がり、それに伴って体温も減少していく。
 
全員我慢の限界にさしかかってきた、その時・・・
 
ひいぃぃぃぃん・・・
 
何かが空を飛ぶ音がする。一同が上を見上げると・・・
 
恐竜(ティラノサウルス)が空を飛んでいた。←マジで
 
「な・・・なんだアレは!?」
 
「も、もももももしかしてああああれがお迎えの人ひとヒトperson??」←花織(錯乱してる)
 
全員混乱。ていうか恐竜って時点で人じゃないぞ花織。
 
ふしゅうぅぅぅぅ・・・
 
恐竜(?)はゆっくりとグラウンドに着陸した。そして、脇腹らしき所が開いて誰か出てきた。
 
「・・・?女の子??」
 
出てきたのは赤髪ショートヘアの少女だった。OCSIANという組織は子供まで雇う人手不足の軍なのか?
 
「初めまして。七梨家ご一行様ですね。」
 
「あ、はい。っつーか何人かは七梨家の人間じゃ無いんですけどね。」
  
太助&3精霊を除いてはクラスメイトや後輩である。どんなときでも的確につっこむ太助はやはり心が清い(関係ない)。
 
たかし達は何だか疎開感を感じていた。
 
「ええ、存じております。」
 
「俺、説明した覚えないんだけど?」
 
いつの間にやら状況を把握していたらしい。
 
この前の少年と言いこの少女と言いマジで何者?太助達は恐れおののいた。
 
「申し遅れました。私は今回の式典にて皆さんの案内役を務めさせていただく園部リナと言います。よろしく御願いしますね♪」
 
「あ、どうも。」
 
ぺこぺこお辞儀をする太助。それを見て翔子がボソッと呟いた。
 
「なにデレデレしてんだよこの優柔不断バカ主め。」
 
「何か言ったか山野辺??!」
 
太助は地獄耳らしかった。
 
リナも太助の剣幕に少しビビッたが、とりあえず首を突っ込むのは危険と判断し、案内役を続ける。
 
「そ、それではそろそろ出発致しますので艦内にご搭乗下さい。」
 
「えっ?コレって戦艦だったの?」
 
「はい。OCSIANが誇る大型機動戦艦『T・REX』でございます。」
 
見たまんまである。
 
作者のネーミングセンスがまるで無い事が顕著に伺える。
 
「・・・シュミ丸出しの戦艦だな。」
 
更に翔子のダメ出しが入る。
 
「ていうか軍の扱うものにしては威圧感がなさげだね。これじゃあ幼稚園児のお遊戯会だよ」
 
とどめに乎一郎の毒舌が加わる。と言うより乎一郎死刑確定
 
「・・・・そこまで言わなくても。」
 
リナは少しふてくされ気味だ。彼女自身もこんな悪趣味な戦艦に乗る気は無かったらしい(そりゃそうだろ)。
 
とりあえず戦艦のことであーだこーだ言っても始まらないので太助達は戦艦『T・REX』に乗り込んだ。
 
 
 
 
                                              to be continued...
 
 
あとがき
 
T・REXのイメージとしては、ガンドール辺りが適当かと・・・。