あとがきマクベインはやはりこうでなくては、ギャグに持っていけませんね♪
第7話「歌と仲間を求めて三千里(後編)」
 
 
突如見ず知らずの土地「ラコスパルマ」へと飛ばされてきた太助は脳みそバーン(死語)
 
状態に陥る前のいきさつを、ラコスパルマの住人、フォルト・マクベインの二人に説明した。
 
 
「ふぅーん・・・なるほどそう言うことだったのか。」
 
「早い話、君たちは熱湯コマーシャ・・・もとい時間旅行に出発しようとした矢先、事故でこの世界に飛ばされてしまったと。」
 
話をまとめるようにマクベインが太助に言った。
 
若干前回のフォルトのボケの影響を受けてはいるがまともなシメである。
 
 
「・・・!そういえば俺とリナの他にもこの近くで人が突然現れたっていうのは聞いてないですか?」
 
「いや・・・今のところ、ここラコスパルマじゃあ、君とそのお嬢さんだけじゃよ。」
 
「そうですか・・・。」
 
太助の表情が一気に暗くなる。
 
もし他のメンバーもこの世界のどこかにいるとなると、元の世界に変える方法を探しつつ
 
彼等も探し出さなきゃならない。
 
だが、当の太助御一行はそう簡単には見つかりそうにもないキャラばかりである。
 
 
普通見知らぬ土地で迷った場合、迂闊に動くと更に状況が悪化する。
 
したがって、どこか適当な村や町などで腰を落ち着かせるのが最善の策なのだろうが、
 
シャオ・ルーアン・キリュウ・たかし・乎一郎・翔子・花織の7名に至っては
 
性格からいってじっとしてくれるはずはない。
 
と言うかするわけがない。
 
 
「あっ、女の子が目を覚ましたよ!」
 
フォルトが叫ぶと太助は一瞬にして後ろを振り向く。
 
既にリナは上半身を起こし、完全に意識を取り戻している。
 
「・・・あ、あれ?ここ・・・どこなの??」
 
「太助くんの時以上に混乱してるみたいだけど、どうする?じいちゃ・・・」
 
「お嬢さん、お目覚めのお祝いとこの運命的な出会いを祝して、愛のバラッド(多分チューのこと)でも・・・」
 
「は??」←リナ(更に困惑)
 
「・・・・・」
 
 
さくっ←ウーナからがめとったツッコミ用の矢(首筋に刺した)
 
ぐにゃり←崩れ落ちた音
 
 
「全く、隙あらばすぐナンパする癖は昔から全然変わってないのじいちゃん!?相手を少しは考えなよ!!」
 
「「・・・・・・」」
 
コメントしようがない太助とリナ。誰だってそりゃそうだろう・・・。
 
「フォルト君、いくら何でもそれはやり過ぎ・・・」
 
「大丈夫だよ。じいちゃんはこれくらいじゃあ死なないから。」
 
不死身ですかあんたのジーサマは。
 
「いや、死ぬ死なないの前に・・・ツッコミも度を過ぎるとただの殺人行為だって。」
 
「心配ご無用。これでもうちのじいちゃんは怪しげな大道芸で体を鍛えてるからね。ちょっとやそっとじゃあくたばらないよ。」
 
「大道芸ではない。護身術じゃ。」
 
むくっ
 
「あ、起きた。」
 
「ほんとに不死身なんだ。」
 
「どうじゃ、見直したか?」
 
「別に自慢できることじゃないよじいちゃん。というよりもそろそろ本題に入らないと。」
 
「おぉ、そうじゃったのう。すっかり忘れとった。」
 
「忘れないで下さいよ。」
 
お年を召しているため、マクベインさんの記憶能力はもはやサル並なのでした。
 
「リナ、とりあえずマクベインさん達と他のメンバー捜索について考えてたんだけど・・・君はどう思う?」
 
「そうですね・・・。出来れば何処に誰がいるか位の情報があればいいのですが・・・。」
 
やはりリナは慎重派だ。迂闊に動けばこちらも他のメンバーと合流し損ねるというのをよく分かっている。
 
 
再び悩みだした太助の髪の毛が突如もぞもぞと動き出した。
 
「な、なんだ??」
 
『ふ〜うっ、一時はどうなるかと思ったでし。』
 
「離珠!」
 
最近離珠は太助の側にいるときは鬼太郎の目玉のオヤジよろしく髪の毛の中でじっとしている。
 
しかも、違和感もないから(多分)一緒にいることにも気付かないことが多い(そうか?)。
 
『太助しゃま、シャオしゃま達はどうしたでしか?』
 
「・・・ゴメンな離珠、どうやらシャオ達とはぐれちまったみたいなんだ。リナは一緒なんだけど。」
 
太助には離珠の声は聞こえなかったが、表情からしてシャオの事を聞いているように聞こえた。
 
 
「・・・!そうだ、離珠ならシャオの居場所が分かるかもしれない!!」
 
離珠は遠く離れていてもシャオとテレパシーのようなもので会話することが可能である。
 
「離珠、シャオに今何処にいるか聞いてみてくれないか?」
 
『はいでし。』
 
こくりとうなずく離珠。・・・そして数秒後。
 
『ダメでし太助しゃま、何故かシャオしゃまと話せないでしよ。』
 
離珠の表情が曇る。さすがの離珠でも念波の届かない場所にシャオがいると、会話は無理らしい(多分)。
 
 
「ねぇ、さっきから何してるの?そしてそのちっちゃい女の子は一体何??」
 
「あぁ、実はかくかくしかじか・・・と言うわけで。」
 
「これこれうまうまと言う訳なのか。」
 
「時にフォルトよ、『これこれうまうま』とは何じゃ?」
 
「・・・・・・」
 
黙り込むフォルト。言った本人ですら分からないらしい。
 
すると、フォルトの頭上で電球がびかびかと光った(古い比喩)。
 
「とにかく、大陸沿いに動いていけば自然とシャオっていう女の子に会えるんじゃないかな?」
 
「そうか!離珠がシャオと話が出きるところまで移動していけばいいのか!!」
 
「そしてシャオちゃんが見つかればおのずと他の面々も見つかるじゃろうて。」
 
確かにシャオさえ見つかりすれば他のメンバーも芋づる式(←酷)に捕まっていくことだろう。
 
「よし!そうと決まれば今から早速探しに行くぞ!!」
 
「もしかして・・・一人で?」
 
「それは止めた方が良かろう。この村を一歩出たらそこら中魔獣だらけじゃからのう。」
 
「・・・・・・」
 
 
太助は思いとどまった。
 
シャオ達を探しに旅に出ていきなり魔獣相手にはいご臨終などという展開にでもなってしまったら、
 
それこそシャレにならない。
 
「まぁ焦ることも無かろう。近々わしもまた旅に出ようと思っとった所じゃ。一緒について来ればよいではないか。」
 
「やっぱりじいちゃんまた旅に出るつもりだったんだね。」
 
フォルトはうなずく。
 
「マクベインさんが!?いや、そこまでお世話になるわけには・・・」
 
「なあに、これも一つの修行じゃ。君は仲間を見つけるため、わしは旅芸人として腕を磨くため・・・。それにわしの腕っぷしはそれなりに知られとるぞ。」
 
「こういうじいちゃんなんだよ。一度言い出したら聞かないタチだからね。」
 
「・・・・・・すいません。それじゃあお願いします。」
 
太助は深々と頭を下げた。するとマクベインは顔を真っ赤にして慌てふためく。
 
「そ、そこまでせんでも。あくまでついでじゃよついで!!」
 
「ふふっ、相変わらず素直じゃないのね。」
 
玄関にはいつの間にやらウーナが立っていた。
 
「ウーナ、いつからそこに?」
 
「ついさっきここに来たの。どうせ今回の旅もフォルちゃんついていくんでしょ、マックじいさんに?」
 
「・・・バレてた?やっぱ。」
 
フォルトの場合、どうしても隠し事などは顔に出やすい(多分)。
 
故にウソなどたちどころに見破られてしまうだろう。
 
 
「伊達にフォルちゃんの幼なじみやってないわ。フォルちゃんが行くって言うんだったらわたしも行く。」
 
「ウーナもウーナで頑固な所もあるしのぉ・・・。いっても聞かんじゃろうて。・・・まぁ、とりあえずこれでわし等はオッケーじゃの。お前さんはどうする?太助くん。」
 
「マクベインさん達が準備が出来次第、ついていこうと思います。それでいいよな、リナ?」
 
「ええ。マクベインさん達が一緒に行動してくれたら心強いです。」
 
「決まりじゃな。それじゃあわし等は早速演奏の練習にかかるとする。久々の興行じゃ、お客さんに満足のいく演奏ができん事には旅芸人失格じゃからのぅ。」
 
「はい、わかりました。」
 
「ではフォルト、ウーナ、灯台で練習じゃ!」
 
「「オッケー」」
 
3人は一斉に楽器を持って部屋を出ていった。ふたたび部屋がしーんと静まりかえる。
 
「・・・シャオ達、無事だといいけど。っていうか俺が行くまで騒ぎを起こさないでくれよ・・・。特に3精霊乎一郎。
 
最後に乎一郎の名前が挙がってしまったのは何故だろう?
 
太助は乎一郎が謎の能力で人々を混乱に陥れるとでも思ったのだろうか?
 
一方リナは険しい表情で空を見つめていた。
 
”剛君達、今頃どうしてるかしら・・・。それにしても事故の原因は一体??ここの所時空乱流は収まってる傾向にあったのに・・・。
・・・!まさか、今回の一件もあいつ等が??どっちにしろ、気を付けなきゃね!!”
 
どうやらリナは今回のトラブルについて何か知っているようだ。
 
何にせよ、 いよいよ太助の長旅が始まろうとしていた。
 
 
 
 
                                              to be continued
 
 
あとがき
 
マクベインはやはりこうでなくては、ギャグに持っていけませんね♪