FGBR一発ネタ「ちよこれいと・オン・ザ・バトルロワイヤル」
 
 
2月・・・第一週目。
 
手堅く豆の日も終わらせ、一段落した一行。しかし、今年も女性陣にとって避けることの出来ない戦いの序幕が明けようとしていた・・・。
 
 
令「は?・・・・チョコの作り方を教えろ?!」
 
い「はいっ!!」
 
令「なんだか慌てた様子で事務所にやって来たかと思えば・・・とっとと帰ってちょうだい。
 
い「あ〜〜んっ美神さぁ〜んそんなつれない事言わないでぇ〜〜」←顔をこすりつけて甘える
 
令「うちはゴーストスィーパーであって洋菓子店じゃないのよ!!第一、何で私に頼むのよ!!?」
 
い「おキヌちゃんが『美神さんは料理とっても上手なんですよ』って教えてくれましたから。」
 
 
・・・・・・
 
 
何故だろう・・・これほどまでにおキヌに鉄槌を下したいと思えるのは。
 
令(本人には悪気はないんだろうけど・・・いくら何でもねぇ。)
 
正確にはいちごの誘導尋問に、おキヌがものの0.14秒で自白してしまったことが原因なんだが。
 
い「お願いしますっ!!ぜひ、美神師匠の手ほどきをっ!!」
 
 
ぴくっ
 
 
一瞬、師匠という響きに何ともいえない優越感を味わった美神。
 
令「・・・分かったわ。ただし、勝負を挑むからには敗北は許されないわ。道のりは険しいわよ・・・ついてこれるかしら?」
 
い「はいっ、頑張りますっ!!」
 
勝負事にうるさい美神と、『青山メロメロ大作戦』なるものを信念として現在(いま)を生きているいちご。
 
水指すようで悪いが、バレンタイン・デーの意義を忘れたら終わりですな・・・。
 
 
 
ところ変わって、井月邸・・・。
 
バ「おばあちゃん、おかわり。」
 
ク・ジ・フィ「「「くつろぎすぎだぞ(よ)バリー。」」」
 
あの一件(通称、洋館事件)以来、完全に井月家の居候と化したS.T.A.R.S.の生き残り共。
 
ちなみに現在、朝食中・・・。
 
フィ「第一バリーの年代でおばあちゃんなんて言われたら、加世子さんの立場ないじゃない。」
 
加世子(以下加)「いいんですよフィリアさん。セリカが日頃からお世話になってるお礼ですし。」
 
なにげに初登場だが、彼女は井月加世子。セリカの祖母にして、一家の家計のすべてを担う井月家財務省(笑)である。
 
ク「そういや、俺日本の朝飯って初めてだな・・・。」
 
観衆に浸ってる場合じゃないぞクリス。
 
ク「ってオイ!セリカ!!人の飯を勝手に取ってんじゃねーよっ!!
 
セ「いいじゃないですか、どうせクリスさん食べなくてももう充分ムキムキだしぃ。」
 
ク「関係ねぇぇぇぇっ!!!」
 
などとこんな感じである。
 
 
セ「そういえばフィリアさん。フィリアさんは今年は誰にあげるんですか?」
 
フィ「へ?何のこと?」
 
セ「ヤだなぁもぅ、惚けちゃってぇ♪再来週は待ちに待ったバレンタイン・デーですよ?」
 
フィ「・・・あぁ、そういえばそうだったわね。ここのとこ忙しくてすっかり忘れてたわ。」
 
セ「その様子じゃ、まだ誰にあげるかなんて決めてないみたいですね。」
 
 
フィ「そういうセリカちゃんは誰にあげるの?確かうち(ファイティング・ガールズのメンバー内)ではまともな男っていなかった気がするけど?」←酷い
 
ク・バ「「聞き捨てならねぇセリフだなヲイ??!」」
 
セ「無難に太助さんです。横島さんにあげるのは女としてのプライドが許しませんし、青山さんにはいちごちゃんがいるし・・・。」←放置プレイ
 
フィ「手堅く来たわね・・・確かにその選択は正しいわ。」←上に同じ
 
ク・バ「「無視するなぁぁぁっ!!!」」
 
お前等なんていい方だと思うぞ。横島なんか存在すら認めてもらってないんだから。
 
 
 
ってな感じで、一週間経過。バレンタイン・デーまで、後4日間。
 
令「ちがうっ、もっと腰を入れてっ!!全力でチョコに力を注ぎ込むのよっ!!!」
 
い「こ、こうですか?」
 
調理室でなにやら熱い格闘を続けている美神といちご。お前等本当にチョコを作ってんのか?
 
令「そうよっ!!今の状態をキープ、そのまま溢れんばかりの情熱と愛と気高さをイメージして形にするのよっ!!」
 
い「は、はいっコーチ!!
 
師匠やなかったんかい・・・。
 
令「違うぅぅぅっ!!そんなんじゃ他の女に寝取られるわよっ!!(←謎)自分の男をモノにするには、清純さの中にほのかなエロスも必要なのよっ!!」←すでに初期の目的を忘却
 
い「はい!!」
 
いったいどんなチョコ作ってんだお前等・・・。いや、たとえ完成したとして、それはチョコと言えるのか?
 
 
二時間後・・・。
 
途中、雅也への愛の気付けと称して美神がチョコのダシにマンドラゴラを投入。
 
負けじといちごも家からかっぱらってきた朝鮮人参をブッ込む。
 
最終的に世界中のありとあらゆる珍味珍薬が投入され、完成したソレはもはや別次元の物体と化していた。
 
ラッピングしても周囲に漂う特異臭・・・。マーブル上の模様の中に所々に目立つ青紫色の物体
 
さすがの二人も、この臭いには絶命寸前だったが、これも一つの愛の形認識し、あっさりと冷蔵庫へつっこんで冷却開始。
 
雅也の命はいかに・・・?!
 
 
一方、鶴ヶ丘町の某少女宅・・・。
 
少女「ふ・・・ふふふふふふ。七っ梨先輩ぃ♪うふふふふっふふうふふふ・・・
 
なにやら怪しい笑みを浮かべつつ、鍋に入ったモノをかき混ぜる少女。
 
この子のおりなす物体もまた、この世で生み出されたモノとは思えないほどの異形化を成し遂げていた。
 
 
 
話の展開が早いけど、バレンタイン・デー当日。
 
太「オイキリュウ!!今日は朝っぱらから試練全開でいくぞっ!!」
 
キ「どうしたのだ、主殿?今日はやけに張り切っているではないか。」
 
太「理由は聞くな。とにかく今日一日俺は試練に大ハッスルするんじゃい!!」
 
微妙に語壁があるようだが、朝食を食べ終え、学校へと向かおうとした時にキリュウに試練を提案する太助。
 
キ「ところで主殿。今日の試練はどのようにして攻める?」
 
太「以前キリュウに最初に頼んだ試練があるだろ?『俺を学校に行かせるな』ってヤツ。あれでいこう!!」
 
キ「同じ試練を二度も行っても成長はないと思うが・・・まぁいい。」
 
やや不満げだったが、あっさり承諾のキリュウ。そして・・・
 
 
少女「七梨先輩・・・まだかなぁ・・・?」
 
校門の前で一途に太助の登校を待ち続ける少女。彼女の名は愛原花織、なにげにFGBRでは初登場である。
 
花織(以下花)「あたしの必殺悩殺チョコ・・・。受け取ってくれるかなぁ・・・?」
 
ネーミングセンスの問題がどうこうの前に、そんなチョコ食ったら一発で麻薬ジャンキーになりそうだ。
 
 
ひゅるるるるる・・・・
 
 
鼻歌を吹きずさみながら太助を待つ花織。そんな時、上空から何かが飛来する音が・・・。
 
花「・・・・げっ!!」
 
思わず素でびっくりした花織。それもそのはず。
 
上空から鋭利な部分を持つ文房具やカッターナイフ等、様々な凶器類ご一行が宇宙(そら)からご来襲されたのだから。
 
 
ドガガガガガッ!!←凶器類ご一行地面に突き刺さる
 
 
花「あたしはご主人様じゃないのにぃぃぃぃ!!!」
 
逃げまどう花織。その遙か後方230m地点に、愛しの七梨太助がいたことに彼女は気づいていない・・・。
 
 
一方、もう一人の恋する中1の乙女・・・。
 
い「さてと、太助兄の分は下駄箱に入れてきたからいいけど・・・本命の方はどうしよう・・・?」
 
そう、いざ鞄の中に完成品を入れてきたはいいが、いつ、どのようなタイミングで渡したらいいのか、いちごには分からなかった。
 
いくら付き合っているのが公になったといっても、雅也にまとわりつくファンの群は一向に減らない。
 
い「はぁ・・・ふぅ・・・。」
 
ため息を盛大につきつつ、昇降口へとはいるいちご。その時・・・
 
雅「いちご。どうしたの?ボーっとして。」
 
い「ひゃぁうっ!!」
 
後ろからいきなり意中の人に呼び止められたため、声が裏返り、端から見ても分かるくらいの大ジャンプぶり。
 
ちと大げさすぎないか?
 
い「あ、青山君・・・あのね・・・その・・・・・」
 
雅「・・???」
 
いざ本番となると、全く声が出てこない。やばい、何て言えば・・・。そんな言葉が彼女の脳裏をよぎる。
 
その時、突如どこからともなく心の師匠の声がこだましてきた。
 
 
???(諦めたらダメよ・・・諦めたら、そこで試合終了なんだから・・・。)
 
 
い「??!美神さん!!」
 
辺りを見回すも、美神の姿は見あたらない。突然の師匠の激励に、勇気が湧いてきた弟子一号。
 
ここで頑張らなきゃ、なにも始まらない。そう自分に言い聞かせたとき、すでに体は動いていた。
 
い「青山君、こっち!!」
 
雅「あ、ちょ、ちょっといちご!授業はどうするんだよ?!」
 
 
雅也の制止も聞かず、彼の手を握って学校の外へと連れ出すいちご。その一方で・・・
 
 
令「・・・我が弟子ながら、なかなかのモノね(涙)。」
 
 
子供「ママー、あそこになんか変なおばちゃんがいるぅ〜。」
 
母親「シッ!指差すんじゃありませんっ!!」
 
 
似たようなパターン、以前にもなかったか?
 
 
所変わって、いちご&雅也組。
 
い「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・ここまでくればもう大丈夫ね。」
 
雅「一体どうしたんだよいちご?」
 
い「あのね・・・これっ!!
 
雅「・・・チョコレート?」
 
い「うんっ・・・ここのとこ忙しくてデートとか出来なかったお詫びの意味も込めて・・・。」
 
改めて出された美神補助版、いちご手作りチョコレート。冷却させることによって濃縮された異臭が、パッケージを通して雅也の嗅覚を麻痺させる。
 
雅(うぐっ・・・まさか、これを食べろと?)
 
いくら彼のお心が広いといえども、自分の命は惜しい。でもいちごは裏切れない・・・。
 
そんないろんな思考が彼の頭の中を行ったり来たり・・・たまにフラメンコがフラダンスを踊ったり踊らなかったりとかそんな光景はなかったが
 
彼は今、人生最大の分岐点に立たされていた。無論、彼が選ぶ道はただ一つ・・・。
 
 
雅「あ、ありがとういちご。うれしいよ・・・。」
 
い「青山君・・・。」
 
 
こっから先は、分かり切った展開なので観閲を省略します。
 
 
 
P.S.
 
翌日、チョコを食べた雅也君は学校をお休みしました。
 
太助君も無難に試練をこなし、自宅でシャオからチョコをゲット。花織のエクステンション・ハイは試練の中でバラバラに砕かれました。南無三・・・。
 
 
あとがき
 
もうすぐバレンタイン・デーということで、急遽制作した一発ネタSS。
 
ものの一時間ちょいで完成させたインスタント的な話ですが、どうだったでしょうか?
 
やっぱ美神といちごはメインで使うとギャグに持って行きやすいな・・・。
 
花織ちゃんの出番がすごい曖昧な位置づけになりましたが。
 
・・・・あ!!ルーアンと翔子ちん出すの忘れてた!!