FGBR一発ネタ第2弾「ちょっと大人の雛祭り」
時は流れ・・・3月1日。明後日はいよいよあの日である。
い「♪あっかりをつっけまっしょぼんぼりにぃ〜♪」
シ「♪おっはなをあっげましょもものはな〜♪」
セ「♪ごぉ〜にんばやしぃのふぅえだいこぉ〜」
オープニングから何やら間の抜けたコーラスがこだましてくる。
乙女三人「「「♪あっさってはたのしいひぃなまつりぃ〜〜♪」」
そう・・・明後日は桃の節句、通称雛祭りである。男共からしたら何らメリットもないことからあまりメジャーではないと思われるが・・・。
太「のりのりだなみんな。ほい、シャオ。桃の花、買ってきたよ。」
シ「ありがとうございます、太助様。・・・それにしても、家にこんな立派なお雛様があったなんて・・・知りませんでした。」
太「那奈姉のお下がりだよ。とは言ってもその当人は今はいないけどな。」
い「太助兄、ところで那奈姉は今年一体どこへ?」
太「なんか・・・ラスベガスで一発夢を手に入れてくるとか言ってたな。ったく・・・夢を手に入れる前に監獄への切符を手に入れてこなきゃいいけどな。」
いや、いくら那奈でも前科者になるような真似はしないだろ。裏月天の方ならまだしも、こっちの月天は原作に忠実なんだから。
太「そういえばいちご、他のみんなは誘ったのか?美神さんやみんとちゃんとかは・・・。」
い「あぁ・・・それなんだけど・・・・。」
太・シ・セ「「「・・・・??」」」
い「みんとは『自宅の方で盛大にやるから庶民の娯楽に付き合わなくても間に合ってますわ』・・・なんてイヤミったらしく言って断った。」
太・セ「「身も蓋もないな相変わらず。」」
多分、みんとがそういう風に言ってるということは嫌がおうにもざくろと歩鈴はそっちの方に向かったと見て間違いないだろう。
い「そんでもって美神さんは『何で私がこんな歳になってまで雛祭りで盛り上がらなきゃいけないのよ?!ってかそれより今日中に仕上げなきゃいけない書類が溜まりまくってるっていうのにぃ〜!!』とかいって事務所の奥に消えていった。」
太「相変わらず大変そうだなGSの方は・・・。」
時としてGSはデスクワークをもこなさなければならないときもある。だが、美神のように実力主義者の場合こういう卓上作業は苦手なことこの上ない。
シ「・・・せめて美神さんの所には雛あられだけでも持っていきますか?」
い「多分・・・持っていったとしても横島さんの非常食になりかねないからやめといた方がいいと思うけど?」
太「切実な話題出すなよ。本人は至って真面目に毎月やりくりしてるんだから。」
いつの間にやらいちごと太助のぶっちゃけトークコントが開催されていた。すると・・・
ぴんぽーん・・・
太「ん?客だ・・・誰だろう。」
半ば愚痴混じりでぶつぶつ言いながら玄関へと向かう太助。ん、まてよ?
太(・・・よく考えろ太助。こういう面白可笑しいイベントの前には決まってあいつが・・・あいつが顔を見せに来る!!慎重に行動しなければ・・・)
恐る恐る玄関ドアののぞき窓に目をやると・・・いた。奴だ!!
太(山野辺・・・案の定シャオに何か吹き込みにやって来たな!!だが、毎年同じパターンが通じる俺だと思うな!・・・って、隣にいるのって・・・れたすさん?)
のぞき窓から覗いているのでよくは見えないが、れたすが翔子の隣にいる様に見える。
太(山野辺は家に入れたくはないけど・・・れたすさんに罪はないしなぁ・・・あぁぁ〜〜っどうすればいいんだ〜〜っ(Byたかし)!!!)
シ「あ、翔子さんれたすさんいらっしゃいませぇ♪」
がちゃ←抵抗する気もなく扉が素直に開く音
あ
顎がはずれたような驚きの表情で太助はシャオを見つめる。っつーてもシャオに罪はないしなぁ・・・。
翔子(以下翔)「ようシャオ、久しぶり。・・・ったくこのバカ主はせっかく来たお客を前に何ためらってたんだか。」
れ「それって多分山野辺さんに最大の原因があるように思えるんですが・・・。」
翔「何か言ったかれたす?!」
れ「いえ、何でもないです・・・。」
翔子の剣幕に押され、思わず後ずさりしたれたす。
翔「にしても七梨・・・。」
太「・・・・・・・。」
翔「また増えたな。」
太「言っとくけど増えてるのは俺の意志じゃないからな。」
三精霊の場合もまた然り。
セ(何が増えたの?)
い(太助兄の周りを取り巻く女の子の数。)
いちごの場合は紹介が遅れたと言うことで説明が付くが、セリカの場合はどうにもならない。たしかに彼の言うとおり取り巻く人間が増えるのは彼の意志ではない。
太「っつか、お前も雛祭り参加するんなら少しは手伝ってけ山野辺。」
翔「あたしは遠慮しとくよ。もうさすがにお雛様の話題で騒ぐ歳でもねぇし。」
セ「以外と現実主義なんですね翔子さん。」
翔「何を言う!あたしだってそれなりに淡い気持ちを抱くこともあるぞ。・・・ごくたまにだけど。」
最後の部分だけ他の面々には聞こえない位のボリュームでつぶやく翔子。さすがに自分が男勝りっていうのは自覚していたらしい。
結局シャオの説得もあってか雛祭りの準備を手伝っていった翔子。そして、ちゃっかりと晩飯もお召しになりました。
そして、雛祭りを明日に控えた3月2日・・・。
花「七梨先輩っ!!」
太「朝からボリュームでかいな愛原。」
いうなれば鶴中版いちごというところか。そのテンションの高さは試練&前日夜遅くまで続いた雛祭りの準備でお疲れ気味の太助の頭に響く。
花「ところで先輩、今年はスケジュール開いてますか?」
太「いや、今年は家の方で知り合いやシャオ達と雛祭りやることにした。」
花「えぇ〜〜っ!そんなぁ・・・(涙)。今年もあのバイト一緒にやってくれるって思って予約入れてたのにぃ〜!!」
あのバイト・・・。
小説2巻を読んでる読者の方々はとうに分かってらっしゃると思われるが、かつて太助は花織のバイトに付き合わされ、お内裏様のコスプレ衣装を着てのなりきりバイトを成し遂げた経験がある。
あれ以来、太助にとって雛祭りというものは一種のコンプレックスの固まりのようなイベントでしかなく、いちご達が祭りのアイディアを持ちかけてきた当初は乗り気ではなかった。
では何故承諾したのだろうか?答は簡単。シャオの説得にあっさりと折れてしまったのである。情けない主の典型的な例と言えよう。と・・・
太「愛原も来るだろ?」
花「え・・・?」
太「この際5人も6人も変わらないからな(居候&野次馬が増えたし)。それに、人数が多い方が楽しいだろ?」
花「・・・・(涙)。」
太「あ・・・愛原?」
太助の口から飛び出した衝撃の一言に思わず涙を流す花織。彼女からしたら乙女心にグッと来たと言うところなのだろうが、傍目から見るとその様子はむしろたかしに近い。
無論花織がそんなすばらしい誘いを断るはずもなく、あっさりと承諾。後先考えないで目先の利益に飛びつく点はいちごと全く同じである。
一方セリカの方は・・・。
ジ「雛祭り・・・?私が・・・??」
セ「はいっ♪」
何故に私が?といわんばかりの表情でセリカを見つめるジル。
いくら自分が日本文化に興味があるといっても年相応でもない行事に何故参加させられなければならないかを考えると正直乗り気ではなかった。
ジ「・・・一応聞いておくけど、行かないって言っても連れてく気よね?」
セ「当然ですっ!じゃないとメンツが足りませんから♪」
ジ「・・・・・・。」
いちごやれたすから聞いてはいたが、これほどセリカが折れにくいキャラとは思わなかったジル。っつーか嫌がる人間を無理矢理連れてくって時点でどうかと思うが。
ジ「よし、こうなったらクリスやバリーも誘いましょう!多分あの二人のことだから置いてけぼりにしたらいろいろと言われそうだし!!」
一人生き恥をさらす位ならせめて道連れに・・・とかなんとかとんでもないことを考えていたジルであったが、とても正義の味方の考えることではない。もはや完全に腐りきったS.T.A.R.S.であった。
そして迎えた3月3日、雛祭り当日。
太「・・・結構集まってきたな。薄々感づいてはいたけど。」
シ「にぎやかでいいですね。太助様♪」
わいわいがやがや・・・いろいろなルーツで知り合った女性陣が一挙に七梨家の庭に集合していた。
一方、ジルにおまけみたいな扱いで誘われた主謀者を除く唯一の男二人組、クリスとバリー。
ク「・・・俺達、一体何でこんな所にいるんだろうな。」
バ「ジルに誘われてきたものの、俺達お呼びでないって感じだな。」
黄昏ていた。
無理もないのは周知の事実だが、完全に浮きまくっている二人。
れ「まぁまぁ、せっかくいらしたんですし甘酒でもいかがですか?」
ク「おっ、酒かぁ♪気が利くじゃねーかれたすちゃん。ではお言葉に甘えて・・・」
クリス・バリー共に、れたすが持ってきた紙コップに注がれた甘酒を手に取り、一斉に口にする。
ク・バ「「甘っ!!」」
当たり前だった。
れ「甘酒ですし・・・アルコールもほとんど無いに等しいですからね。」
ク「うぅ〜〜ん・・・これじゃ物足りねぇな。よし、鍋ん中の甘酒全部に手持ちのウォッカでも入れるか。」
れ「入れないでくださいそんな物。他の人が飲めなくなります。」
とりあえず冷静につっこんでおくれたす。本来天然ボケキャラがたまにつっこみに回るとそのつっこみ方も至って生真面目だ。
ク「大丈夫だって!こういうのはな、ある程度本物の酒を入れておくとさらに美味くなるんだ。」
バ「本当かよそれ?!」
ク「いや、本当は昨日セリカから聞いたんだけどよ。」
半ば強引にクリスは甘酒が煮込まれている大鍋に本当にウォッカをドバドバと入れていく。れたすの方は、知りませんよぉと言わんばかりの横目でクリスを見つめている。
そして、その甘酒が他の面々に配られる・・・。
翔「そんじゃま、祭りもそろそろお開きが近づいてきたということで・・・皆さん、手持ちの甘酒を手に取ってぇ〜〜♪」
幹事役、翔子が最後の締めを仕切る。そして、全員が一斉に甘酒を口にした・・・
ぶごばぁ〜〜←甘酒の大噴水
あまりのアルコール濃度に思わず吹き出してしまった一同。そんな中、平然と何事もないように(偽)甘酒を飲み干すバカ男クリス。
太「・・ごふっ・・・げふっ・・・こ、この甘酒なんか混じってないか?!」
れ「すいません・・・クリスさんが甘酒を煮込んでた鍋にウォッカをミラクルダイブさせてしまって・・・私は止めたんですが・・・。」
ジ「クリスっ!!」
ク「いや・・おっかしーな・・・俺はそれほど違和感を感じなかったけど、何かまずかった?」
ジ「みんな殆ど未成年&酒に免疫がないんだからあなたみたいなリアクションがとれる分けないでしょっ!!」
同僚のあまりのバカっぷりに思わず頭痛が押し寄せてきたジル。その一方で何やら異変が起き始めている未成年’s。
い「・・・ふふ・・ふふふふふふ・・・・♪」←不気味な笑み
花「あは・・・あははははははははは♪」←上に同じ
太「い、いちご・・?愛原・・・?どうした・・・・??」
あ、あかん。これは、もしかして・・・
い・花「「にゃはははははははははははは♪♪♪」」
こわれり。
翔「あぁあ・・・やっちまったな。普段から無駄にハイテンションな奴って殆ど下戸だよな。」
突如タコ踊りを始める花織といちご。いっちゃん最初にごばっと大量の甘酒を飲み干したこの二人が最初にネジが外れた。
れ「う・・うぅ・・・そういえば私も・・気持ち悪いですぅ・・・・。」←二番目に大量に飲み干した奴
翔「アルコール濃度高くなってるからな。免疫無い奴には毒も同じだな。」
太「・・っつか何でお前平気なんだよ?」
翔「金持ちの特権&用心でちょっとしか飲んでなかった。」
太「最悪だな。」
自分の退路だけはちゃっかり確保していた翔子ちんでした。
太「うぅ・・・俺もちょっと気持ち悪くなって・・・うぐっ、もうダメだっ!!」
慌てて口を手で押さえてトイレに駆け込む太助。かなり大ピンチっぽい勢いだったが、何とか間に合い、トイレで生理現象をもおよす。
そして、帰ってきた彼が見た修羅場は・・・
シ「一番・シャオリン!阿波踊りはっじめまぁ〜〜っす♪」
ル「ほぉ〜らぁ〜酒がひゃんないわよぉ〜・・・もぉっともってきらひゃいもっとぉ・・・」
キ「シャ・・シャオ殿・・・ルーアン殿・・・もう少し酒は控えた方がいいかと・・・」←唯一甘酒飲んでなかった奴
ク「なぁにかてぇ事言ってんだよキリュウちゃん!!こういうときは無礼講っつーもんだろ無礼講!!」←既にできあがってる奴
い「にゃひゃひゃひゃひゃひゃ・・・花ゃおりちゃぁん・・あたしでぁっていっしょーけんめー頑張ってんにょにねぇ・・雇い主(←白金のことらしい)はセクハラはたらくしカレシはにぶいしで・・・ねぇ」←酒臭い息で愚痴たれてる
花「わっかりますぅ・・その気持ちわっかりますよぉ・・・おぉいおぃおぃ・・・」←泣き崩れる
翔(・・・・そろそろ逃げるか。)←逃走準備
酒池肉林。
太助はその壊れた一同の姿を見て・・・またもおよした。
そして翌日、登校時・・・。
太「あ・・うぅ・・・・頭痛ぇ・・・完全に二日酔いじゃん・・。」
押し寄せる吐き気と頭痛と闘いながら登校する太助。フラフラ状態で教室にたどり着いた彼が見た物は・・・
ル「はぁ〜〜いみんな♪今日も一日頑張りまっしょい♪♪」
太「何でピンピンしてるんだよルーアン?」
どうやら昨日の酒がわずかに残っているようだ。ルーアンのテンションがおかしい。さりげに少しモー娘。が混じってたし。
ル「なぁに言ってるのよたー様。あたしはこう見えてもシャオリン達よりもずっと大人なのよぉ?平気も平気よ♪」
太「いや、それは分かるが・・・じゃ他のみんなは?家で酔いつぶれて結局リビングで一晩明かしてたじゃん。」
ル「シャオリンとおじょーちゃん達はまだ撃沈中。S.T.A.R.S.の面々は早々に酒が抜けてとっとと帰ってったわよ。」
太「シャオが未だに立ち直れてないほどなんだからよっぽどきつかったんだな昨日のウォッカは。」
いや、ただ単に免疫がなかっただけだろ、ジルが言ってたように。
太(来年からは美神さんところでやらせて貰おう・・・。)
美神の性格から言って絶対に許可しないと思うが毎年毎年自宅でこんな地獄を見せられるくらいなら・・・と痛感していた太助であった。
終わり
あとがき
結局はシャオの阿波踊り&いちご・花織の暴走ネタがやりたくて作っちゃった一発ネタなんすけどね。
にしても今回クリスは本当にギャグキャラとして役に立ってくれましたね。
れたすも珍しくツッコミ役に回っちゃいましたし。
いちごと花織の酔いつぶれ会話がわかりにくいと思いますが、へべれけで喋ろうとするとあんな感じになっちゃいますほんとにマジで。
さて次は、どの季節ネタで行こうかな?←まだヤル気のある奴