FGBR一発ネタ第3弾「梅雨の言い伝え」
 
 
 
5月中旬、午前7時。七梨家宅・・・
 
 
アナウンサー『それでは向日一週間の天気を伝えて貰います。天気予報士の滝沢さ〜ん!』
 
滝沢さん『はい、それではまず明日の天気からです。現在沖縄諸島の西南西の方角に発達した雨雲が接近しています。この雨雲は今日の昼頃には本州に上陸し、明日は本州全域で雨となるでしょう。少々早い梅雨の到来らしく降ったり止んだりが続きますので皆さん傘を忘れないようにしてくださいね♪』
 
 
シ「太助様・・・明日から梅雨に入るみたいですよ?」
 
太「えぇ〜っ!?またあのじめじめした季節になるのかぁ・・・。シャオ、古くなった食べ物に気をつけろよ?梅雨になると冷蔵庫の中に入れてても腐りやすくなるからな。」
 
シ「はい、太助様。」
 
 
現在七梨家はシャオを筆頭に朝食の準備が進められている。・・・が、若干約一名仲間はずれが一人。
 
那奈(以下那)「仲間はずれ言うな!!」
 
ごんっ←作者の顔面にニーバズーカーを繰り出す
 
ぐにゃり←崩れ落ちる音
 
 
朝っぱらからニーバズーカーとは、いつも通りハイテンションなヤツだ那奈は。←コンマ3秒で復活
 
那「あたしだってちゃんと手伝ってんだぞ?!・・・食器を並べてるだけだけど。」
 
太「那奈姉、それあんまり威張って言えるセリフじゃない。」
 
那「・・・・・・・・。」
 
朝早くから弟の手厳しいツッコミのせいでげんなりする那奈。彼女は将来どんな主婦になるのか、不安で仕方がない。
 
と、引き続き朝食の準備をしていた時・・・・
 
♪ぴんぽろ〜ん♪←チャイムの音
 
 
太「あ、もしかして・・・・。」
 
菜箸を持ったまま、玄関へと向かう太助。そしてドアの先には・・・・。
 
れ「おはようございます太助さん。」
 
横「よっ、メシたかりに来たでぇ♪」←がめつい奴
 
れたすと横島という何とも珍しい組み合わせである。何でこんな朝からこの二人が七梨家に来るかというと・・・。
 
 
太「あ、ちょっと待っててくれない?もうちょっとで準備が終わるからそれまで家ん中入ってゆっくりしてってよ。」
 
れ「それじゃ、お言葉に甘えて・・・・。」
 
横「邪魔するぞー♪」
 
太助の案内によってれたす・横島がリビングに通される。
 
・・・実はこの三人の通っている学校、距離的にもあまり変わらないご近所学校であることから、何だかんだで一緒に登校するようになってしまったのだ。
 
横島からしたら朝食を作るシャオの姿が拝め、また食費も浮くため、まさに一石二鳥のアイディアなのだ。
 
那「よぅれたす、横島。おっはー☆」
 
れ「・・・・お、おっはー・・・・・です、那奈さん(汗)。」←ひいてる
 
 
横「おっはー☆那奈さん。」←乗り気
 
太「とうに過ぎた流行語をこんな所で使うな。」
 
・・・一応説明しておくが、山ちゃんの方ではなく、マヨチュチュの方である。←もっと分かんねぇよ
 
 
那「コミュニケーションだっつーの!全く、・・・ボキャブラリーも多少ないとシャオに見捨てられるぞ?!」
 
太「意味わかんねぇよ!!つかボキャブラリー関係ねーだろ!!」
 
シャオ自体ボキャブラリーの固まりのようなものなので、太助がそんな技能を身につけてもあまり意味はないだろう。
 
 
那「・・・いいかれたす、こんな女心の『お』の字も理解しようともしないニブチン男を好きになるなよ?絶対あとで後悔するぞ。」
 
れ「え、あ、はぁ・・・・・。」
 
勢いに流され、適当に頷くれたす。一方話の一例として使われた挙げられた太助はただただ、弟として姉からの屈辱に耐えるのみだった。
 
 
 
・・・・・・
 
 
そして登校時・・・。
 
翔「よっ、七梨、れたす、シャオ。おはよ♪」
 
シ・れ「「おはようございます、翔子さん♪」」
 
太「おう山野辺、おはよう。」
 
翔「今日は横島の奴はいないのか?」
 
太「朝飯たかった後、とっとと学校に行っちまった。・・・出席日数ヤバイらしいからな。」
 
うんうんと頷く翔子。横島の場合、生活をギリギリまで切りつめている為、多少留年を覚悟してでも稼がないと生命の危機に追いやられるのだ。
 
 
れ「あ、じゃあ私はここで・・・。皆さんもお気をつけて。」
 
翔「おっ、そうだれたす。いいこと教えてやるからちょっと耳貸せ。」
 
れ「えっ・・・・?」
 
ちょっと動揺しながらも、近くの路地に連れ込まれるれたす。
 
 
翔(いいかれたす・・・あたしが従兄弟から聞いた噂なんだけど・・・)
 
れ(は・・・はい・・・・)
 
翔(その年の梅雨で、一番最初に降った雨が止むまでにさぁ・・・。)
 
れ(はい・・・はい・・・・・えぇっ?!!)
 
翔子の最後の一言に、これでもかと言うくらいの驚き用を見せるれたす。その一方で・・・
 
 
シ「太助様・・・どうしてのぞき見なんてするんです?」
 
太「いや・・・山野辺がれたすさんに何か変なことを吹き込んでないか心配でさぁ・・・・。」
 
 
物陰からそっと二人の様子をうかがう太助とシャオ。だが、太助の予感は違う方向で見事に的中することとなる・・・・。
 
 
 
その日の夜、碧川家宅・・・・のれたすの部屋。
 
れ「うぅ〜〜ん・・・問題はどうやって白金さんの側に自然にいるかよね・・・。」
 
何やら翔子に吹き込まれたことを参考に計画を熱心に練っているようだ。
 
 
れ「カフェだと絶対いちごさん達に会っちゃいますし・・・かといって一緒に学校まで登校なんて無理だし・・・・・。」
 
そんなかんだで、れたすの夜はふけていく・・・・。
 
 
そして翌朝・・・・カフェミュウミュウの一室、白金の部屋。
 
外はあいにくの雨。・・・それでも朝になると部屋が明るくなり、彼の目を刺激する。
 
白「・・・・・ん・・ふぁあぁぁぁ〜〜っ。もう朝か・・・・・」
 
 
・・・・・・・・・
 
 
白金、目の前に入ってきた光景にしばし硬直。え、それは何故かって?それは・・・・
 
白「れ、れたすぅぅぅぅ??!!」
 
れ「ふぁぁぁぁ・・・・っ。おはようございます、白金さん。」
 
白「あ、お・・・おはよう・・・・ってそうじゃねーだろ!!」
 
白金が素でつっこむのも無理はない。目覚めた自分の目の前に何故かキャミソール姿のれたすがきゅんとした表情でスタンバっていたのだから。
 
 
白「ちょ、ちょっとまて!!いくらこのSSがギャグメインだからって自分の出身誌を忘れるような行為は止めろよ!!!
 
れ「ちなみに、赤坂さんにはしばらく眠っていただきました。邪魔だし・・・
 
 
白「!!!????!!」
 
表情とは裏腹に凄まじいほどの殺気を感じた白金は、赤坂の様子が心配となり慌てて彼が昨日泊まり込んでいた厨房へと急ぐ。
 
白「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
 
彼が厨房で見たもの・・・それは真っ白に石化した状態でコチーンと固まっている赤坂の姿だった。
 
新作の洋菓子が出来たばかりの所を石化されたのだろう。自らの身に何が起きたのか知ることもなく穏やかな笑顔で硬直している。
 
 
白(ちょ、ちょっと待て!!ってことは他の奴らも??!)
 
白金の脳裏に一筋の不安がよぎる。が・・・・
 
 
れ「ちなみにいちごさん達はカフェに来てないのでまだ手は出してないです。」
 
白(いずれは手を出すのか・・・・。)
 
白金は思いっきり声に出してつっこみたかったがそれは出来なかった。出したが最後、自分も赤坂と同じ運命をたどることは間違いないからだ。
 
 
れ「それよりも白金さん、せっかくの休日ですし・・・公園でも散歩しませんか?」
 
白「あ、ああ・・・そうだな。どのみちカフェも圭一郎があの様子じゃどうにもならんし。・・・つかその格好で一緒に外に出るのは俺は勘弁だぞ。」
 
れ「もちろんですよ♪これは単なるウケねらいですから。」
 
白「・・・・・・・。」
 
ウケねらいで自分の寝ている側に迫ってきて欲しくないなぁと心底思う白金であった・・・・。
 
 
 
所変わって・・・公園。
 
 
休日と言えど、天候が雨・・・ということで人も殆どいない。いるとすればトレーニングに精を出す兄ちゃんぐらいか。
 
そんな中恐怖を押し殺しながら一夜の内に狂戦士(バーサーカー)と化した少女と腕を組んで公園を散歩する哀れな少年が一人。
 
 
白(・・・・全く、何でこんな目に。俺何にも悪い事してないのになぁ・・・・。)
 
いちごへのセクハラは悪事の内に入らないのだろうか?
 
白「・・・・雨、すごいな。」
 
れ「そうですね・・・まぁ梅雨に入っちゃいましたし、これからもっと凄くなるかもしれませんね。」
 
・・・・・・・
 
 
何故か黙り込む二人・・・。れたす自身は会話のネタが見つからなくて黙りこいているのだが、白金の場合、れたすの機嫌を損ねないように何を話したらいいか頭をフル回転させていた。
 
とりあえずこんな状態がしばらく続くのでカフェに視点を戻す・・・。
 
 
 
い「な、何よこれぇぇぇぇぇっ!!!?」
 
いちごがカフェに入るなりいきなり素で叫ぶ。そう、厨房で石化している赤坂を発見したのだ。
 
み「一体・・・何があったのでしょう?心なしか凄く満足そうな顔で固まってらっしゃいますけど?」
 
い「・・・・美神さんならどうにかしてくれるかなぁ・・・。」
 
み「あんまり期待したくはありませんわね・・・・。」
 
 
などといろいろ算段していると・・・・
 
那「おーっす☆邪魔するぞ〜!!」
 
い「げっ、あの声は・・・那奈姉?!」
 
いちごの声を聞きつけ、厨房へとダッシュする那奈。そしていちごを見つけるや否や肩をバンバンとたたいていつものバカ笑いをする。
 
那「いちご〜〜!!懐かしいなぁ・・・5年ぶりだっけかぁ?」
 
み「いちご・・・・この方は?」
 
い「太助兄のお姉さんで・・・・那奈姉。」
 
那「ま、そういうこった。・・・・ん?何だこの男の石像は。よく出来てんなぁ・・・。」
 
い「あ、ちょ、ちょっと那奈姉!迂闊に触ったら・・・・」
 
 
ぐらっ・・・・
 
 
がっしゃーん!!!
 
い「・・・・・・・・」
 
み「・・・・・・・・・・・・・・」
 
那「・・・・・ごめんな。安らかに眠ってくれ。」
 
 
眠らすな。
 
 
 
再び視点をれたすペアに戻す・・・・。
 
現在彼らは商店街に繰り出し買い物の最中である。買い物の内容はれたすの人形作りの為の材料。厚手の布に綿、それに糸と針。
 
極めればそれだけ作りも複雑になるので自然と材料の数も増える。
 
 
白「よっと・・・、こんなもんか?」
 
れ「そうですね。・・・・すいません、荷物全部持っていただいて。」
 
白「ん、なぁに気にするな。」
 
 
出発当初の緊張感は何処へやら。傍目から見て二人は完全にどこかのカップルのように見える。そんな雰囲気に気付いているためか少々緊張気味のれたす。
 
その一方でそんな雰囲気に全く気付いていないニブチンが一人。
 
 
香「ん?・・・あれ、れたすちゃんと白金君じゃない。おぉ〜〜い二人共!!」
 
白「ん?あぁ香澄さ・・・(むぐっ!!)」
 
香澄のかけ声に答えようとする白金の口を塞ぎ、そのまま裏路地へと引っ張っていくれたす。
 
香「あ、ちょ、ちょっとどうしたのよ?!」
 
ぴすっ←脳天に裁縫針が刺さる音
 
ぐにゃり←崩れ落ちた
 
証拠隠滅の為に香澄を手にかけるれたす。血も涙もない・・・・。
 
 
しばらくして・・・裏路地へと引っ張られていった白金は、しばらくしてれたすの腕をふりほどく。
 
 
白「・・・っ!一体どうしたってんだよ?!」
 
れ「・・・・ごめんなさい・・。でも、まだ・・・・・。」
 
 
雨が・・・雨がまだ・・・・
 
 
花「・・・・あぁ〜〜っ!!れたすさんと白金さん見ーっけ♪」
 
れ「・・・!!」
 
花「いちごちゃん達から連絡受けた時は駆け落ちかと思ったけど・・・あたしと七梨先輩ですらまだなのに、デートなんて絶対にさせないんだからぁっ!!」
 
いつも通り、どうも動機だけは不純な花織ちゃんでした。
 
 
横「ちくしょー!!チクショー!!何だかとってもチクショーッ!!」
 
 
何故か藁人形(×2)と釘、二人の顔写真を持って歩み寄る、不気味な姿の横島。
 
 
れ「あ・・・あぁ・・・・・」
 
 
美「あっ、いたいた!!全く、赤坂クンを石化させるなんてなかなか味な真似するじゃない!!お陰で梅雨のジメジメした中かり出されていろいろと大変だったのよ?!」
 
 
白「・・・・・・。」
 
 
 
翔『その年の梅雨で、一番最初に降った雨が止むまでさ・・・お互い同士しか口を聞かなかった二人は、その後とんでもなく幸せになれるんだぜ・・・。』
 
 
 
白「・・・・一体なんだってんだ、今日は?」
 
れ「っ!!!!!ダメえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!
 
花「??!?!?」
 
横「!!!!??」
 
美「!!!!!!!」
 
あまりにデカい&長い叫びの為、思わず耳を塞いだ他メンバー。無論真近くにいた白金はモロに鼓膜に直撃、しばらく放心状態となった。
 
 
れ「ダメですぅぅぅ!!まだ、まだ雨が止んでないんです!雨が止むまで私が白金さんと・・・じゃなくって白金さんが私と・・・ってこれも違うぅぅぅ!!!」
 
白「お、おい落ち着けれたす!落ち着いて順に説明しろ!!一体どうしたってんだ?今日のお前変だぞ?」
 
 
とりあえずれたすに深呼吸させて落ち着かせる白金。そして、一呼吸置いて・・・
 
れ「だから・・・・雨が止むまで私も白金さんも、お互い同士でしか口を聞いちゃいけないんです!!おまじないなんだから!!」
 
白「おまじない?何の??っつーかそんなメチャクチャなおまじないのネタどっから仕入れてきた?!」
 
れ「翔子さんです!」
 
 
・・・・・・
 
 
お前かーっ!!
 
 
その場に居合わせたメンバー全員が悪戯に微笑する翔子の顔を想像し、つっこんだ。
 
白「全く・・・・・山野辺の奴は。ま、とりあえず・・・逃げればいいんだろれたす!!
 
れ「えっ、えええっ??!」
 
 
いきなりれたすの手を取り、背面のドアを蹴り開けて花織達を撒く白金。それに負けじと後を追う一行だったが、当然裏路地の複雑な作りに迷子になる人間続出。
 
意外にもこの辺の地理に詳しいれたすの案内あってか、二人は完全に追っ手を振りきった。
 
 
れ(翔子さん・・・・私・・・わがままなんでしょうか?・・・このまま・・雨、止まないで欲しいなって思っちゃうの・・・。)
 
 
 
れ「雨、止んじゃいましたね。」
 
白「ああ。・・・・ところでれたす、雨が止むまでお互い同士しか口を聞かなかったらどうなるんだ?」
 
 
白金が尋ねると、れたすは悪戯に笑って答えた。
 
れ「ふふっ・・・♪とんでもなく幸せになれるそうです。」
 
白「なるほどね・・・・。その代償が圭一郎の命かぁ・・・。
 
これまたしみじみと訴えるようにほざく白金。見殺しにしたくせに何言うか。
 
 
白「ま、なんにせよこんなのは二度と御免だからな。・・・・お前はお前らしくしてた方が一番似合ってるんだからよ。」
 
れ「白金さん・・・・。」
 
 
終始見つめ合う二人でしたが、結局何もないまま。カフェへと戻りました。ちゃんちゃん♪
 
 
P.S.  事件後、たまたまカフェに遊びに来た翔子は、逃げる隙を与えられることなく白金から蹴りの洗礼を受けた。
 
 
 
 
あとがき
 
まだ梅雨には早い気がしますが、一発ネタと言うことでこんなん書いてみました。
 
タイトル通り月天の原作8巻のネタそのままパロってみましたが、シャオと太助を引っ張り出してきたんじゃ何か芸がねぇなぁと言うことであの二人になりました。
 
いちご&青山ペアもありきたりですしぃ。