時を越えて!!(2)



ルーアンは雨の中そこらにあったほうきに陽天心をかけ飛んでいた。
「たー様待っててね、いま行くわよー」
すると前の方でキリュウが短天扇に乗って飛んでいた。
「あら、キリュウじゃない」
「ルーアン殿ではないか」
キリュウも声をかけられルーアンに気が付いた。
「たー様どこにいるのかしらね」
「大地の樹木よ、地の精霊たる我に力を!!」
清明の屋敷に向かっている清明、太助、シャオの近くの木が一本だけ大きくなった。
「たー様」
「主殿」
飛んできたルーアンとキリュウを見た太助は驚いた。
「ルーアンにキリュウじゃないか!!よくここが分かったな」
するとキリュウが
「そこの木が教えてくれた」
「そう言えばそんなことできるんだよな」
太助は前にもキリュウがそんなことをしていたことを思い出した。
「この方々はあなたが探していた二人ですか」
清明が聞いた。
「そうです」
「紹介は後にしよう、シャオどのの体を怨霊にとられたらまずい」
清明は走った。
太助たちは清明の後を走った。
すると一軒の屋敷に着いた。
屋敷の前に一人の女性が立っていた。
その女性は香蘭だった。
「もどったぞ」
「清明さま、お帰りなさいませ」
すると清明の屋敷から男が一人出てきた。
「博雅来ておったか」
この人は源博朝臣である、清明の親友である。
「ああ、その者たちは」
「それは後にして、結界をはらなければならい、太助、シャオどのを」
清明はシャオを抱えて屋敷の中に走っていった。
「では、私についてきてください」
「はい」
太助たちは香蘭と博雅の後に続いて屋敷の中に入った。
太助たちは部屋に通された。
「少しお待ちください」
と香蘭は言って部屋を出た。
「はぁ、なんか疲れちゃった」
ルーアンは横になった。
「暑い・・」
キリュウは持参の団扇を扇いでいた。
すると清明が廊下を歩いてきた。
「待たせて悪かったな」
「何をしてたんですか」
太助が聞いてきたので清明は答えた。 「それは魂が抜けた体は、怨霊、もののけの餌食になってしまうのでな、結界をはってきた」
そう言うと清明は
「なにか食うか」
すると博雅が
「清明、鮎を台所においといたぞ」
「では焼かせよう」
すると台所から鮎が焼く匂いがしてきた。
「あら、美味しそうな匂いね」
ルーアンが鮎の焼ける匂いに腹を空かした。
「そう言えば自己紹介がまだでしたね」
「あ、では紹介します、そこで横になって寝ているのが慶幸日天ルーアンで、太陽の精霊です。そして団扇を扇いでいるのは万難地天キリュウで、大地の精霊です。そしてシャは守護月天で月の精霊で、みんな心が清らかな者に宿る精霊です」
「では、知ってると思うがおれは安部清明、陰陽師だ、そこの男は源博雅で朝臣だ、どんな呼び方でもいいぞ」
「清明さま、お持ちしました」
すると廊下から香蘭が鮎を焼いて持ってきた。
「この女は香蘭といいます、私は少し用があるので先に食べていてください、飯がほしいのでしたら香蘭に頼んでください」
すると清明は立ち上がり部屋を出た。
「ご飯全部持ってきて」
ルーアンは香蘭に早速ご飯を全部頼んだ。
「うまいな」
キリュウは鮎を食べはじめた。
「ああ」
太助も鮎を食べはじめた。
「どうぞ」
そこに先ほどルーアンが頼んだご飯がきた。
「食べるわよー」
ルーアン五、六人分のご飯を食べ始めた。
「んーおいしいわね、ご飯あと十人前ね」
ルーアンは鮎を少し食べご飯を一杯食べるペースだった。
「ルーアンどのは、よく食べるな」
博雅はルーアンが大量のご飯を食べるのを見て聞いた。
「お腹いっぱいになりにくいのよねー」
清明は戻ってくると酒を持っていた。
「清明、酒を取りに行ったのか?」
「ああ」
清明と博雅は酒を飲み始めた。
すると清明が
「博雅、あの者たちに悪霊や物の怪の大群が襲うのだ、少し手伝ってくれ」
「ああ、それはいいが清明」
博雅は聞いた。
「なぜあの者たちはそんなに大勢の悪霊やもののけに襲われるのだ?」
「あの者たちは虎鬼、名前から鬼であろう、その鬼の封印を解いてしまったのだ」
博雅は意味が解らなかった。
「封印を解いて、なぜ襲われるのだ?」
「普通はどうかしらんがあの者たちの二人は精霊で、その魂が美味かったからまた食いに来るのだ」
「では太助どのは食われないのか」
「いや食われる」
「なぜ?」
博雅は聞いた。
「太助は清らかな心を持っている、だから物の怪や悪霊が食らいたがるのさ」
「ではどうするのだ」
「木の人形を作るのさ」
「だれが」
「おぬしが」
博雅はいやな顔をした。
「清明、お前がやればいいだろう」
「おれはほかにもすることがある、だからお主に頼んだのだ」
博雅は納得した。
「わかった」
「あのー清明さん」
太助が清明に聞いた。
「何だ?太助」
「さっきの話で俺が食われると言いましたが、悪霊やもののけからどうやって俺は身を守るんですか?」
太助は物の怪や悪霊を退治できる力が無いのでどうすればいいか聞いた。
「博雅と一緒に結界に居てもらう」
「俺もか、清明」
博雅は聞いた。
「お前はもののけは切れるが悪霊には太刀は通用しない」 「そうか、それではしかたない」 「ルーアンとキリュウはどうやって戦うんです?」
太助は物理攻撃しかできないルーアンとキリュウはどうやって戦うか気になった。
「ルーアンどのとキリュウどのはどんな力があるのです」
ルーアンは食べながら
「私は物に命を吹き込めるわよ」
キリュウは箸を止め
「私は物を大きくしたり小さくしたりならできるが」
すると清明は
「それでは特殊な護符を渡しますので、戦いはどう言う戦い方でもいいですよ」
清明は立ち上がり
「では、私は護符を作りに行くとしますか」
「では私は帰るとしよう」
博雅も立ち上がり帰っていった。
そのときルーアンは大量のご飯をたべきった。
「あーおなかいっぱい」
「では、あなたたちがお休みになられるお部屋に案内します」
香蘭は太助たちを連れて部屋に連れて行った。
「では、お休みなさいませ」
香蘭は部屋に着くと挨拶を太助たちにして後片付けに向かった。
「たー様とおんなじ部屋なんてルーアンうれしー」
「だー離れろ、ルーアン!!」
太助はルーアンに抱きつかれて苦しんでいた。
ルーアンは黒天筒を持ち陽天心を布団にかけた。
「陽天心召来」
すると布団は動き出し太助とルーアンをグルグル巻きにした。
「これでたー様は私から逃げられないわよ!!」
「うわー助けてくれ!!キリュウ」 
「これも試練だ、主殿」
キリュウは自分の布団に入って眠りに入った。
「離れてくれ!!ルーアン」
「たー様観念して私と寝るのよ」
ルーアンは太助の首に腕を回そうそしたら
「う、私まで動けないじゃない」
陽天心布団がおもいっきり締めているのでルーアンも動けないのであった。
しかも夏のうえに夜になっても暑かったので太助とルーアンはどんどん暑くなっていった。
「あールーアン、暑苦しい!!」
「もーほんとに暑苦しいったらありゃしないわね」
太助とルーアンは布団に包まっているので余計に暑さを感じた。
「ルーアンはやく布団をどっかにやってくれ!!」
「はい、たーさま」
そして
「ちょっと巻きつくのをやめなさい」
陽天心布団はルーアンの命令で巻きつくのをやめた。
そして汗だくの太助はルーアンに
「寝てる間、くっつくなよ、ただでさえ暑いんだからな」
「はーい、たー様」
そして太助、ルーアンは自分の布団にはいって寝た。
「続く」