第11話



第11話

雷娘の恋心?!

(後編)



「ふわぁ〜あ」
 日が落ちかけている時間。
 翔子は商店街を歩いていた。
「しかし、今日は面白かったな〜」
 今日の学校での出来事を思いだし、キシキシっと笑い出す翔子。
 烈境達が学校にやってきたと言って、なにも知らない奴らは大はしゃぎ。
 しかし、太助の関係者だと分かった瞬間、男女問わず、太助に襲いかかった。
 なぜ女子も参加しているかというと、火月が美男子だったほかあるまい。
「それはそれで面白かったけど、授業の方も他の奴らより、断然よかったな」
 烈境は、すぐに何でも「特撮・アニメ物」のキャラを持ち出して、そのキャラの動きを忠実に再現して見せたのだ。
 特にウル○ラマンや仮面ラ○ダーなどが人気だった。
 風雪は最初の授業ということで、自分自ら料理を作った。
 しかし、誰もがその料理をしているところや、材料を見たはずなのに、誰も思い出せなかったのだ。
 そして、風雪の料理を食べた男子幾人が、気絶して保健室の世話になった。
 翔子は風雪に、なにを作ったか聞くと、「謎ジャムですよ」と言って、精霊器らしき物に、男子を入れ、保健室に行った。
 作者は謎ジャムについて無知である。  どっかで気絶するほどの物だとか、黄色だとか聞いたことがあります。
 水明の授業は、他の二人とはうって変わって、ちゃんとしたまともな授業だった。
 しかし、内容はすごく分かりやすく説明してくれて、普段まともに授業を受けない翔子でも、まともに授業を受けたほどである。
「明日からはもっと楽しくなりそうだ」
 言って、商店街を抜けようとすると――
「翔子ちゃーん!」
 デンが猛スピードで走ってくるのが見えた。
 それを見た翔子は、一瞬逃げようかと思ったが、なぜか足を止め、デンが来るのを待った。
 やがて、デンが翔子の前に着くと。
「一緒に帰ろ」
 それを聞いた翔子は「はぁ?」と聞き返した
「お前、どうせ七梨んとこに居るんだろ?だったら遠回りだぞ?」
「分かってないな翔子ちゃん、男は好きな女の子を家まで送るという、義務があるんだ!」
 翔子は呆れて頭が痛くなった
 しかし、翔子はガッツポーズをするデンを見ても、嫌な気がしなかった。
 だから
「勝手にしろ」
 デンを無視して、家に帰ろうとした。
「おう」
 そして、しばらく歩くと、急に翔子が口を開いた。
「………適当にやってたか?」
 デンは唐突に言われ、目を見開いたが、自分のことを、多少なりとも心配してくれていた事に嬉しさを覚えた。
「ああ、翔子ちゃんに言われたとおり、適当にやってたよ」
「そうか…」
 デンは翔子の後ろにいたので見えなかったが、翔子は、顔を少し赤らめていた。
 それは、夕日のための赤い顔ではなかった。
 と、そこに――
「お取り込み中のところ悪いが、そこの女をこっちに渡してもらえるか?」
 振り返ってみると、例の如く、フードを被った、火月と同じくらいの背丈の男がいた。
「なんだお前?……て言わなくても分かるぜ!お前!奴らの仲間だろ!」
 指で突き刺すように、デンはフードの男を指さした。
「なんだ。分かってるじゃないか、なら説明しなくていいだろう。
 その女をこっちに渡せ」
「なぜ翔子ちゃんを狙う!翔子ちゃんは関係ないはずだ!」
 翔子と男の間に立ちふさがる。
「おい、お前…」
「大丈夫。翔子ちゃんには指一本触れさせはしない!」
 翔子の言葉を遮り、デンは制服の懐から霊を封じ込めるために使っていた玉を取り出した。
「封霊解除!武霊召還!電霊刃!」
 デンが叫ぶと、握っていた玉が激しく光りだし、光が刃の形になっていく。
「武霊完了!いくぜっ!!」
 光がおさまり、刃の形なったモノを手に取り、デンはかけだした。
「封霊刃舞、百鬼夜行!」
 デンは刃を両手で持ち、大きく降りおろした。
 しかし男は、デンの上段からの攻撃を「素手」で受け止め言い放った。
「なにも知らないなら教えてやる。
 こいつは俺の両親を殺した翼の後継者、雷帝なんだよ!」
 言って、デンの電霊刃を叩き折った。
「今日の朝、微かな霊気がお前達の通う学校というものから反応があった。
 しかも、お前の顎の部分には、その霊気の残りカスが付着している!」
 男はいいながら、デンの顎に強力な一撃をくらわした。
「ガハッ!」
「それが、雷帝、翼の霊気、雷霊気だったんだよ!
 そしてその反応の根源が、その女なんだ!」
 男は、力を込め、忌ましい言葉を吐き捨てるように言った。
 しかし、デンからは何の反応もない。
「ふっ、気絶したか、それとも死んだか…まぁ生きていても俺たちの邪魔にはなるまい。……さて」
 男は翔子の方を振り向いた。
「ひっ!」
 そこには、いつもの翔子の気丈さは無く、そこには何の変哲もない少女が居る。
 いきなり事とで混乱しているからだろうが、デンが圧倒的に圧倒され、壁がなくなったからかもしれない、恐怖が一気に襲ってきた
 それほどデンを信頼していると言うことであろうか。
「なにも怖がることはない、俺が用があるのは、お前であってお前ではない」
 しかし、翔子の耳には届かず、翔子は脅えるばかり。
「俺が用があるのは、お前の中にある翼の力だ!さぁ!覚醒して見せろ!」
 男は怒声のようなものと同時に、翔子に襲いかかる。
「ふ…封電弓!」
「ッ!!」
 しかし突如、デンが埋もれている瓦礫の場所から、数本の黄色い光が男めがけ飛び、全弓命中した。
「ぐはっ!」
「翔子ちゃんに……指一本触れて見ろ…ただじゃ…済まないぞ…」
 瓦礫の中から、全身傷だらけで、血を流すデンが現れた。
 男が激痛のあまり、うずくまったのを見計らってか、翔子は、男がうずくまると同時に、デンのところにかけだした。
「神崎!」
「はは、翔子ちゃん大丈夫か?大丈夫、あんな奴、俺がすぐに倒してやるから」
 言って、ふらつきながら、デンは男の場所へ向かおうとする。が――
「ぐっ!」
 しかしデンは、数歩も歩かないうちに、バランスを崩し、倒れてしまう。
 だが、なおも立ち上がり、男の場所へと歩み寄る。
(なんで…)
 翔子は自分に問う。
(なんでそこまで…)
 デンは男の元にやってくると、弓を剣に変えた。
「これで…終わりだ!封電剣!!」
 両手で突き刺すように持たれた剣は、男めがけ降ろされた。

 ズボッ

 しかしデンの剣は、男に刺さる直前に、何かに埋もれた。
「―っ?!」
 異変に気づいたデンは慌てて剣を引っ込めた。
「お前…なんだそれは…」
 男の背中には、黒く、円い物が浮かび、中心から回っている。
「ふふふ、貴様はおかしいとは思わなかったのか?
 貴様は俺が十二冥帝だとわかったが、俺が何の帝がわかっていたか?」
「―っ!!」
 男は言いながら立ち上がる。
「俺はな、光の対極に位置する、影の仲間の闇帝なんだよ!」
 すると、黒くて円い物が徐々に姿を変え、マガマガしい斧に姿を変えた。
「斧…?そうか、お前が深也とかいう奴か」
 目を伏せながら、微笑するかのように、剣を刃に変えた。
「じゃあ、第二ラウンド…行くぜ!」

(なんで…なんでだよ…何でお前は私なんかのためにそんな頑張れるんだよ…)
 翔子は、デンの死闘を見ながら思った。

 ―――そんなん簡単だろ?それにお前は気づいてるはずだぜ?

 いつの間にか翔子の後ろに、男の気配があった。

 ―――奴の気持ちにも………それにお前の気持ちにもな

 言って、デンを見ていた眼が、鋭く翔子を見る。

 ―――さてどうする…って、もう決めちまってるか

 翔子は無言で頷く。

 ―――しゃあねぇな、仕方ねぇから、俺が力かしてやるよ

 言って、笑いながら男は消えた。

 ―――やっぱお前と俺は似てるよ

「ぐはっ!」
 何度目か分からない強打を受け、デンは膝をついた。
「どうした。もう終わりか?あの女を守るんだろ?」
 深也は顔をにやけさせながら、デンに近づいてくる。
 デンの側によると、深也はデンの髪を引っ張り上げ、言った。
「お前、まぁまぁ強いから、俺の部下になんねぇか?」
 デンの様子に気づかず、いけしゃあしゃあと言う深也。
「俺の部下になればそれなりの…」
 ぺっ
 デンは深也の言葉を遮り、唾を深也の顔にかけた。
「……なるほど、それがお前の答えか」
 深也はデンの顔を地面に叩きつけ、立ち上がった。
「お望み通りお前から冥界に送ってやるよ!まぁそこもいずれ安全じゃなくなるけどな!」
 深也は斧を振りかざし、デンに止めを刺そうとした。が――

 ズドーーンッ!!

 深也とデンのすぐ側に雷が落ちた。
『―っ?!』
 驚いている暇はない、雷は次々と深也めがけて落ちてくる。
 しかも、デンに当たらないように。
「くっ!まさかこれはアイツの――っ?!」
 言い終わら無いうちに、深也の過ぐそばの所に雷が落ちた。
「ふははは!ようやくお目覚めか!雷帝、翼!今こそ俺の――」
「うるせぇよ!」

 ドドーーンッ!

 翔子は深也の言葉を遮り、強力な雷を与えた。
「ガハッ!…くっ、それなりにこの体にも馴れてきて、力も復活してきたが、まだ足りないか…!
 しかも、覚醒直後でこの威力とは…!」
 片膝を付き、翔子を睨む。
「くっ!仕方が無い!今日は引いてやる!しかし、力が完全に戻ったとき、必ずお前の首をいただいてやる!
 そのときまで首を洗って待っていろ!」
 言って、深也は自分の影に沈むように消えた。
「……そうだ!アイツ!」
 思い出したように、翔子はデンの方に駆け寄った。
「おい!神崎!神崎!」
 必死にデンに呼びかける翔子。
「ん……んん…翔…子ちゃん…」
「神崎!大丈夫か?!」
「はは…この体を見て、そんな言葉が出るとはね…」
 デンの体は、全身傷だらけ血だらけで、所々折れて、中が見えている。
「まってろ!すぐに救急車呼んでくるから!」
「いいんだ翔子ちゃん」
 急いで救急車を呼びに行こうとする翔子を、弱々しい声でデンが止める。
「自分の体のことは自分がよく分かる。
 だからもういいんだよ」
「バカ野郎!そんなことであきらめてどうすんだよ!
 前にお前が言ったじゃないか!今度デートしようって!お前は好きな女の子との約束一つ守れないのか?!」
「はは、まさか翔子ちゃんがそのことを覚えてるとは思わなかった…よ……」
 笑っているのだろうが、その微笑みも、顔にならない。
「おい…神崎…?おい!神崎!かんざ…………デーーン!!」
 翔子は抱えていたデンの頭をおもいっきり抱きしめた。
「デン!デンっ!!」
 翔子は泣いた。
 今までこれほど泣いた事はないほど泣いた。

 ―――ったく、しょうがねぇな

 いつの間にきたのか、男の気配が翔子の後ろにある。

 ―――その男を助けたいか?

 当たり前だ!と、言わんばかりに大きく首を振る。

 ―――この男を助けることによって、お前は死ぬほどつらい目に合うぞ?

「デンが助かるためなら私は何でもする!」
 言い、覚悟を決める。
 男がなにを言いたいのかよく分かる。
 翔子は理解していた。
 今デンを助けるために、先ほどの力を使えば、ターニングポイントは通過する。
 さっきの力は自分の力ではなく、男の力である。
 しかし今度は自分の力を使う。
 それが意味するのは、完全なる覚醒。
 戦いに明け暮れる日々が待っていることは明白である。
 しかし翔子は――
「守られてばかりは私の性分じゃない!」
 翔子は太助がシャオを守るために無理する気持ちが、少し分かった気がした。


「雷帝 翼、覚醒完了ですね」
「ええ」
 乎一郎と婁襄が、宙に浮かび、二人の様子を眺めている。
「山野辺さんがどこまで思い出したか心配ですね」
「そうね、あの子に好意をよせていたのも彼だったんでしょ?」
「ええ」
 乎一郎と婁襄は一部始終……いやすべてを見ていた。
 デンが傷つき、倒れようとしているのに、わざと指をくわえて見ていたのである。
 しかし、ただ見ていた訳ではない。
 町の札を、婁襄が発動させたのである。
「これで四人……次に四人のうち誰かの番でも不思議じゃないわね」
「そうですね…でも、もし共鳴するとしたら、何の反応がなくても、シャオちゃんのもう一つの封印と、ルーアン先生達の封印は多少の違いはあれ、効果は同じですから、なんらかの動きはあると思います」
「……それかもう…動き始めているのかもしれないわね」
 黙って頷く乎一郎。
 大地の息吹、太陽の光を反射した月の輝きが、翔子とデンを照らしていた。
 婁襄もそれらを感じ、悲しみが頬をつたった。



座談会
グ「コミケいけなくなったぁ〜」
烈「何?!じゃあ、俺が頼んだ本はどうするんだ?!」
グ「頼むしかないなぁ」
烈「そうか…」
風「なんの話しをしているの?」
烈「コミケ(同人誌即売会)の話」
婁「どんな本売ってるの?」
グ&烈「…………(ニヤリ)」
婁「…………(ゾクッ)」
グ「今回欲しい本いっぱいあったのになぁ」
烈「俺はまほろ本欲しかったな」
グ「俺は成恵本も欲しかった」
風「………私はテニプリ本…(ボソッ)」
グ&烈&婁「え?!」
グ「………まぁとにかく、俺が行けなくなったのは確か」
烈「そうか…」
風「そういや、今回は?」
婁「前々回難しいって言ってたけどどうだったの?」
グ「うん、難しかった。結構悩んだしね」
烈「次回は?」
グ「やっと月天って感じの話」
風「じゃあ」
グ「そ」
婁「誰?」
グ「内緒♪でも、もしかしたらかなり長くなるかもしれない、下手したら3編になるかもしれない」
烈「長っ!」
グ「仕方ないじゃん」
風「まっ、ちゃんとできればいいけど」 グ「うん頑張る」 烈「メッチャ手抜きだけど今回はこれまで!!」 グ&烈&風&婁『再来!!』


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