第4話

故郷の変貌







 外を見えなくさせた表面を越え、まぶしすぎる光を発する出口を、抜けると、一面には荒れた荒野が広がっていた。
 地はまるで無数の隕石でも落ちたかのように、数多くのくぼみが見られ、大きさは大小様々だった。
 天は暗雲が広がり、雷鳴が響いていた。
 太助達は出口を抜け、この光景を見て絶句していた。
 出口を抜けると同時に、表面を透明にして、見せてもらった光景に恐怖していた。
「ひどい……」
 出口を出て、初めて発した声は太助のそれだった。

 カッ

 はるか前方、うっすらと黒煙が舞う方に、白い光が爆発するように光った。
 その光を見たと同時に、五龍天はさらにスピードをあげた
 星道の中から、フルスピード以上の速さで移動してきたのに、さらにスピードを上げるということは、何かあるようだった。
 その証拠に、言葉で言う代わりに、顔の形相が凄まじかった。
 しかし、先程までのスピードに慣れていた太助達は、さらにスピードを上げられ、足をとられ転んでしまった。 「わっ!」
 なんとか体をおこした太助は、腕を組み、直立して、微動だにしない烈境を見た。
「烈境……?」
 烈境はまさに鬼のごとく、唇をかみ、じっと光を発している場所を睨んでいた。
 今、太助達がいる荒野は元は緑が多く、たくさんの湧き水が湧き、池や沢などがあった場所だった。
 そこは、四神相応でいうと南、星神天の神殿から南に位置する場所である。
 南の位置に池や沢などがあると、朱雀が棲むと言われている。
 当然、烈境が使役している朱雀はこの地域を守護していた。

 この荒れ果てた光景を目の当たりにしたシャオ達は、愕然とし、激怒したようだった。
 荒野を進み、荒れた廃墟が見え始めた。  太助があれも星宿界の建物だったんだな……と、思ったとたん――!!

 ギュン!

 上空から黒い影が三体、もの凄いスピードで突っ込んできた。

 ガシッ!

 四角推の表面に見知らぬ生き物が張り付いていた。
「な、なんだ?!」
 見知らぬ生き物…バケモノは真っ黒な体で、身長は三メートル近くある。
 目は死んだ獣のような目をしていて、筋肉は異常に発達したボディビルダーのようだった。
 ドンッ!ドンッ!ドンッ!
 バケモノは太助達の乗る四角推に張り付くと、表面を壊し、太助達を殺そうとしている。
 太助は直感的にそう思った。
「くっ!このままじゃマズイ!土架!振り落とせるか?!」
「む、無理です!完璧に張り付かれて、逆さまにしても落ちないと思いまキャッ!」
 バケモノは結界が破られないと分かると、結界を張っている五龍天に攻撃の矛先を向けた。
「れ…烈境様!し…神殿へお向かい下さい!」
 四角推の進行方向左前、蒼い龍がバケモノの攻撃に苦しみながら話しかけてきた。
「しかし水明!」
「……分かったわ」
「風雪(さん)(殿)?!」
「今、私達のやるべき事は、星神天様の安否を確認し、身柄を保護することです。そのためには、多少の犠牲は致し方ありません……」
 みると風雪の手は震えるばかりではなく、握りすぎて血が滴り落ちている。
「でもね水明…、これだけは約束して」
「……私に出来ることならなんなりと」
「必ず生きて、私達に顔を見せて。これは元主である癒身氷天風雪の願いよ」
「…………分かりました」
「あなた達もね…」
『……はっ!』
 風雪の何もかも癒やすかのような笑顔で、四人から活力のある返事が返ってくる。
「じゃあ…、行くぞ!」
 烈境のかけ声で、太助達の乗っていた四角推は消え、太助達は重力に身を任せ落下して行く。
 しかし、烈境と風雪は、烈境の朱雀に
 シャオと太助は、軒轅に
 ルーアンは小さくしていた絨毯を、大きくしてもらい陽天心をかけ
 キリュウは、短天扇に乗り込んだ。
 バケモノは、捕まっていた支えを無くし、落下して行く…かのように見えたが…
 なにもなかったかのように、背中に、急に翼が生えた。
 まがまがしく、まさに悪魔が付けていそうな翼である。

 グオオオオオオ!!

バケモノの雄叫びで戦闘に入る!

「……大丈夫かな……」
 五龍天をその場に残し、猛スピードで空中を飛ぶ四体の影のうち一体に乗っている太助が呟いた。
「……」
しかし、誰も答えない。
 五龍天は誰もが心配だが、彼らは自らの意志であそこに残り、生きて帰ると約束したのだから、そのことでは安堵に似た気持ちになっている。
 その分、烈境達が心から心配できる人は星神天である。
 太助は、猛スピード進んでいるため、目をあまり開けられない中、シャオ達の顔を見ると、不安、恐れ、困惑の表情がうかがえた。
すると――

ドドンッ!

『!!!』
 今度は白ではなく黒の影が、爆発するように飛び散った。
 烈境は無言で、スピードを上げる、少し遅れてシャオ達もあとを追う。

「ひどい……」
 神殿の上空…、いや、神殿であったであろう建物の瓦礫の上空に着くと太助は呟いた。
「せ…星神天様!!」
 烈境と風雪を乗せた朱雀が急降下して瓦礫の山に向かっていく。
 シャオ達もそれを追う……が
「あれは……?」
 シャオが急に烈境達のあとを追うのを止め、方向転換し、別の方向に降りていく。
「シャオ?」
「もしかして……!」
 シャオの顔が急に険しくなる。  太助はシャオの視線の方を見ると。
「あっ!」
 一人の少女、といっても太助達より外見的に少し年上のような 少女が倒れていた
 少女は全身傷だらけで、大量の血を浴びていた。
「婁襄様!!!」

「……占気が殆ど空っぽ、このままじゃ危険ね」
 あの後すぐに風雪を呼び、少女の傷癒やしたが、傷以上に、少女の…いや精霊の源でもある『気』、この少女にとっては占気が足りたいという。
詳しく説明すると、気とは精霊個人の命の源のような物である。
 例えば、シャオは月、ルーアンは太陽、キリュウは大地、烈境は炎、風雪は氷である。
 それぞれ月気、日気、地気、炎気、氷気が太助に使える精霊の気である。
 そして、先程の少女は占天という精霊らしい、つまり、占天の気は占気ということになる。
「どうすればいいんですか?」
 いかに見ず知らずの者でも、怪我をしていたら見捨てられない。
 ましてや、ほっておいたら死んでしまうかもしれない人を見捨てるわけにはいかない太助が不安そうに聞く。
「大丈夫よ、主様。不幸中の幸いに、ちょうど精霊が五人集まってるんだから、必ず助けられるわ」
「え…?」
「つまり、占天である彼女の占気を補うには、五行の力を合成した気が必要なんだ。五行は分かるな?、『木』『火』『土』『金』『水』のうち、木が月天、火が俺、土が地天、金が日天、水が風雪だ。時間がないから月天と日天の五行については、今度時間があるとき説明してやる」
「……分かった」
「とりあえず、一刻を争うから、すぐに準備を始めましょう」

 まず、真円の円をかき、その中に五芒星をかく、そこに、ある頂点から左回りに木:シャオ、火:烈境、土:キリュウ、金:ルーアン、水:風雪の順で並ぶ。
 そして、円の中心に、占天である少女を置く。
「木を司る月の精霊シャオリン」
「火を司る炎の精霊烈境」
「土を司る地の精霊キリュウ」
「金を司る太陽の精霊ルーアン」
「水を司る氷の精霊風雪」
『今、我らの気を合わせ、五行を司る占天の気を満たせ!合気注入!』

 カッ

 円から発せられた円柱の光は、天高く昇る。
 やがて、光の柱は中心に集まるように幅を小さくしていった。
 最後には、円柱の上面が降りてきて、少女の体に収まった。
「んっ………んん」
 少女はゆっくりと上体を起こす。
 すると、シャオ達は、少女が上体を起こすと、膝を立て、西洋の王宮で王様に平伏すような形をした。
「四神天が一人、炎天烈境、ただいま帰界しました」
「同じく氷天風雪」
「十二天が一人、月天シャオリン、同じく帰界しました」
「同じく日天ルーアン」
「同じく地天キリュウ」
「……し…四…神…天……?……じ…十…二……天……?」
 少女は虚ろな目でシャオ達を見回す。
「婁襄様……?」
 様子がおかしい少女に疑問の声をあげる。――すると!
「あ……ああああああああ!!!」
 突如頭を抱え、叫びだす少女。
「婁襄様?!」
 風雪が少女に近寄り、少女に手を伸ばすが――

 バシッ!

 まるで、触られたくない子供のように、風雪の手をはじいた。
「婁襄…様……?」
 少女の叫ぶ声が荒野に木霊していく…
 すると――
「みんなが……私を………と言うのなら…、私は………になる!」
 少女の周りに風が蠢き、少女の体が上昇していく。 「あああああああああああ!!!!」
 少女の周りで蠢いていた風が爆発する。  その爆風で太助達は五メートルほど飛ばされた。 「な、なんだ?!」
「婁襄様!!」
 太助が疑問の声をあげ、風雪が少女の名を叫ぶが、全く反応がない。
 太助達が何も出来ないでいると、太助の横を通り過ぎる影があった。
「婁襄様!」
 それは、五龍天のうちの一人の老人だった。
「お気をお静め下さい、婁襄様!もうあなたのことを、あのように言う輩は居なくなりました!」
「す……水明……」
 すると、あれほど少女の周りを吹き荒れていた風は、徐々に弱まり、消え、少女の体が落ちる!
「あっ危ない!」
 少女が地面スレスレまで落ちかけたが、烈境がギリギリキャッチした。
「ふ〜、危ねぇ、危ねぇ」
 烈境が少女をキャッチしたのをみて、太助達が烈境の近くに寄っていく。
「どぉ?」
「大丈夫だ、気を失っているだけで、なんともない」
「そぉ…」
 安堵の息をもらす風雪。
「とりあえず、安全な場所に寝かせておかないと…」
「そうだな」

 神殿であった場所に、かろうじて原形を止めている部屋に、壊れていなかったベッドを運んで寝かせた。
「さて…水明…」
「解っております…、婁襄様のことでございましょう…」
 烈境と風雪は無言で頷いた。
「しかし、皆様…先ほどの婁襄様のことについては、私は何も言うことが出来ません」
「…何故だ……?」
「あのことを知るのは、星神天様を初め、私を含む先代五龍天や、当時この星宿界に住んでいた住民だけです」
「仮にそれを言うとしたら、星神天様の許可が必要…か?」
「左様でごさいます」
「そうか……なら仕方がない…が、婁襄様に聞いて話してくださればいいのだろう?」
「婁襄様自身のことですから…、婁襄様がお話すると言ったら、私に止める権利はございません」
「わかった…、それで星神天様の捜索はどうなった?」
「今、地天殿や日天殿、土架殿達が捜索していますが、なんとも…」
「そうか…、すべては婁襄様がお目覚めになられてから…ってことか」
「そういうことね」
 三人のやりとりを隅で見ていた太助は、無言で外に出ていくシャオを見た。
「シャオ……?」

 外に出ると、シャオは大きな瓦礫の上に座り、足を垂らしていた。
「そんなところにいると風邪を引くぞ、シャオ…」
「太助様……」
 寂しそうな瞳で、太助を見下ろすシャオ。
「となり…、いいかな?」
「ええ、どうぞ」
 太助は、シャオの隣に座った。
「…………」
「…………」
「シャオ」
「太助様」
 沈黙を破り、二人は話しかけようとしたが、二人のかけ声が綺麗に重なる…
「シ、シャオからいいよ」
「いえ、太助様から…」
「………」
「………」
「シャオ……」
 恥ずかしくなって、また沈黙していた状況で、太助が聞く。
「……はい」
「なんでルーアンやキリュウと一緒に、星神天様を探しに行かなかったんだい?」
 本当は解っている…解っているが、聞かないといけなかった。
「…それは……、私が守護月天だから…、この状況で太助様の所から離れたら危険だと……」
「シャオ!!」
「――っ!!!」
 少し動揺したような、シャオの言葉が言い終わる前に太助が大声をだして一括した。
「シャオ…、別に俺は怒っているんじゃない。
 俺は、シャオを守護月天の宿命から解き放つために、キリュウの試練を受けてる。
 それは、俺がシャオと一緒にいたいからだ。
 それは、自分だけの幸せを望んでのことじゃなくて、シャオと一緒に居たいからなんだ。
 もし、シャオが『守護月天』として俺を守るんだったら・・・・・・、でも俺は『シャオ』と一緒にいたい!
 前にも言ったろ?シャオは好きなことをして良いって、今だって、無理して俺と一緒に居なくても良いんだよ。
 シャオはシャオが思ったことを行動すればいいんだから・・・」
「はい・・・・・・!」
 シャオは泣いていた
「シャオ・・・」
「太助様・・・」
 シャオが目を閉じ、太助がシャオに近づき、今、二人が重な・・・・・・らない。
「婁襄様!おやめ下さい!」
「離して!私は・・・!」
 部屋の方から大きな声がして、太助とシャオは急いで部屋へ行くと、先ほどの少女が、巫女のような服装・・・と言っても、少し、飾りが付いているが巫女を基準にしている服装を着ている。
 髪は、腰までとどく黒いロングストレートの髪、目は吸い込まれそうな綺麗な蒼である、しかし、片方の目、左目が紅い。
「どうしたん・・・・・・」
 部屋に入り、太助が烈境に聞く。
「離して!私は星神天様を助けなければ!」
「駄目です!!星神天様を心配する気持ちは分かりますが、今は星神天様が行方不明であるのなら、住民の救助が先です!
 星神天様はいつもおっしゃっていたじゃないですか!国とは人だと!」
「でも…!」
 太助は急な展開に頭がついていっていない、シャオも状況把握に困難している――と
「婁襄様、失礼します」

 パシィィン

『――っ!!』
 烈境は、少女の顔の高さまで自分の顔がくるように膝を折る。
「無礼をお許し下さい婁襄様、しかし、これだけは聞いて下さい、星神天様の消息が分からない今、星宿界の事は、婁襄様の肩にかかっています。
 もし星神天様がこの場にいたら『私のことは後でいいです!今は傷ついた住民を助けなさい』と、言うでしょう。
 星神天様と婁襄様の間に何かあったということは聞いています。
 内容までは知りませんが
 風雪も言いましたが国とは人です。酷な事とは思いますが今は我慢して下さい」
 婁襄の肩におかれた烈境の両手は震えている。
「烈境……」
「分かった……、一刻も早く、住民を救助し、星神天様の捜索に全力を注ぎます!水明!至急土架ちゃん達に連絡し、住民の救助全力を注ぎなさい!」
「はっ!」
 一礼して部屋をでていく老人。
「さて…、あなたはいったい……」
 少女は太助の方に目を向け、問いかける
「え…?俺?え〜と…七梨太助って言います。」
「七梨……太助……」
「はい」
「それで……シャオリン、あなたはどうしたの?この太助君が今の主なの?」
「はい……太助様には、他にもルーアンさんとキリュウさんと一緒に仕えています」
「え?!日天月天地天同主?!」
「いえ、この方には、私や烈境も仕えています」
「つまり日天月天地天炎天氷天同主、と言うわけです」
 風雪の付け足しに烈境がさらに付け加える
「………このメンバーって……」
「何か……?」
「いえ、なんでもないわ」
 意味身な言葉をはき、ごまかす婁襄
「とりあえず住民の救助に向かいましょう!ルーアンとキリュウは水明が連絡していると思うから、私達も向かいましょう!」




座談会
グ「どうもこんばんは今年ももう1時間半で終わると迫った時間に書き上げましたグリフィンです」
烈「俺たちが生まれて、初めての年明けだな」
風「あと1ヶ月で、前作のも入れると、私たちが生まれて1年たつんですね」
グ「今日は疲れたな、いろいろあったから・・・」
婁襄(以下婁)「お疲れね、みんな」
風「そうね、特に作者は、レポも書いてましたしね」
烈「でも後一つ書いてないんだよな」
グ「ん?あぁ明日のな」
婁「明日?」
グ「ああ、新年の月天メンバーも入れて座談会しようかと思うんだけど、出来るかな・・・」
烈「今回は無理するなよ」
グ「・・・・・・急に優しくされると気持ち悪いなw」
風「いじめてあげましょうか?」
グ「こ結構です」
婁「私のプロフィール載せるんじゃなかったの?」
グ「ああ、そうだったな、じゃあこれだ」

名前
呪来占天 婁襄
(じゅらいせんてん ろうしょう)

精霊器
行天杖

性別


見かけ年齢
16歳

身長
160p

スリーサイズ
B80p
W53p
H84p

好きな物
星神天様、花、子供

嫌いな物
過去に訳ありの人達、虫、

婁「・・・・・・なんか作者の趣味は行ってない?私の設定」
グ「気のせい気のせい」
婁「まぁいいけど」
烈「作者も限界だな」
風「そうね、なんか足のあたりが溶けてるものね」
婁「気持ち悪〜い」
グ「じゃあもしかしたら明日書くかもしれないけど、今年の更新はこれで終わり!」
烈「来年も俺たちのこと応援してくれよな!」
風「私たちの活躍にも期待して手てね♪」
婁「まだ出てきて間もないけど頑張ります」
グ「それではまた来年もお付き合い願います!それでは」
グ&烈&風&婁『再来!!!』



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