第9話 紅蓮の悪夢



第9話

紅蓮の悪夢



 森がなぎ倒される。
 森が燃える。
 そんな中、二人の男女が何かから逃げるように走っている。
 男はその何かに、立ち向かおうとしたが、連れの女に目を落とすと、逃げるしかないと思った。
 女は瀕死の重傷を負っていた。
 その何かにつけられた傷である。
「ギャハハハ!いつまで逃げられるかな?」
 直後、走っている前方の大木がこちらに向かって倒れてきた。
「くっ!」
 男は、木を避けようとしたが、避けきれず、女だけでも助けようと、あまり衝撃がないように、木が倒れない所に女を突き飛ばした。

 ドーン!!

「ぐあっ!」
 男は足を挟まれ、倒れた。
「あれ?追いかけっこは終わりかな?じゃあつまらないから終わらせちゃおう♪」
 姿を見せない何かは、声だけ発すると。
「バイバイ♪」
 何か勢いのいいものが、女に向かっていく。
「やめろーーー!!!」

「うわあああ!!」

 がばっ!

 烈境は、リビングで文字通り跳ね起きた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
 汗がぐっしょりで、息づかいが荒い。
 まわりには、昨夜の歓迎会で疲れ果てた皆が居る。
 時刻は六時、先程の夢を夢だと思いこみ、シャオを起こして、朝食の支度をしてもらおうと思い、シャオを探すと、異変に気づいた。
「――風雪?!」
 風雪が居ないのに、尋常ではない不安を感じ、慌てて家の中を探した。
 リビングはもちろん、台所、風呂場、二階の寝室も探した。
 しかし、風雪は居なかった。
 烈境は、玄関を飛び出して叫んだ。
「風雪ーーっ!!」
「なに?」
「おわっ!」
 横から何事もないように、ジョーロを片手にした風雪が立っていた。
「どうしたの、あなた?」
 風雪に驚いた烈境は、尻餅をついていたが、いきなり烈境は、風雪に抱きついた。
「ちょっ!あなた?!」
 突然のことに驚く風雪。
「よかった。ホントによかった」
 抱きつきながら半泣きしているらしい烈境に、風雪は困った。

 その後、何とか烈境を落ち着かせ、皆を起こさないように、朝食の準備を始めた。
 烈境は、風雪が準備をしている姿を、台所の椅子に座って眺めていた。
「ふわぁ〜おはようございます風雪さん、烈境さん。早いんですね」
 六時半になって、多少寝ぼけながら台所に入ってきた。
「おはよう、シャオちゃん」
「ああ、おはよう月天」
「庭にあった鈴蘭の花壇を昨日見つけたから、朝一番で水をあげてたのよ」
「そうなんですか、ありがとうございました」
「朝食の用意も、もうすぐ終わるから、食器出してくれる?」
「はいっ」

 その後何事もなく、太助達は学校へ向かった。
 乎一郎も七梨家に泊まったが、制服で来ていたため、そのまま学校へ向かった。
「で?どういう事か教えてくれる?」
 太助達を学校へ送った後も、烈境の様子がおかしかったため、どうしたのか風雪が気になったらしく、少し場所を変えて話している。
 精霊器の中なのだ。
 四神天の精霊器はシャオ達十二天と違い、真っ暗な闇ではなく。
 一つの小さな世界として存在している。
 広さ的に、だいたい一人の四神天の精霊器に存在している世界の広さは、日本の大きさに等しい。
 そして、その中では、四神天の好みに応じて環境変化できるようになっている。
 生物も入れようとすれば入れられるが、精霊器の許容空間を著しく消耗する。
 つまり、リスやハムスター等の小動物などはさして変わらないが、巨大な龍などを収容すると、龍の大きさ分が世界から龍の存在維持のため消滅するのだ。
 もちろん、生き物だけではなく、物も収容できる。
 そして今、烈境と風雪は、風雪の精霊器の中にいる。
 中は、緑豊かな平原が広がり、所々に花壇や草花、樹木が植えてある。
 これらは、風雪の趣味のガーデニングが活かされている。
 その中にポツンと、家が一軒建っている。
 大きな敷地に二階建て、白を基調とした家である。
 烈境と風雪はその家の中にいた。
「で?朝の様子の原因を教えてくれる?」
 烈境は差し出されたコーヒーを見つめながら呟いた。
「夢を……夢を見たんだ」
「夢…?」
 烈境の体は小刻みに震えている。
「あの夢を見た直後、風雪が居なくなるんじゃないかと思ったんだ」
 烈境は頭を両手で抱え、カタカタと震えている。
 風雪もこんな烈境を見るのは初めてだったので、最初は少し戸惑ったが―
「大丈夫」
 風雪は、烈境を優しく包み込むように烈境を抱いた。
「私はあなたの前から消えないわ」
 風雪は、烈境が静まるまでそうしていた。
 やっと烈境も落ち着き、お互いに照れ笑いしていると、今の片隅にある亀の彫像の目が光った。
『風雪!烈境!今太助から連絡があったわ!太助の学校に敵が現れるらしいから、大至急現場に向かって!』
 それまで和やかだった空気が一変して、緊張が走った。
 風雪と烈境はお互いに顔を見て頷いた。
『了解!』

 時間は少し戻って太助達一行。
「乎一郎、婁襄が今日の夜詳しく聞きたいことがあるから、また来てくれないかって行ってたけど、来れるか?」
 学校へ向かう途中、ルーアンと歩く乎一郎に言った。
「僕は大丈夫だよ、僕も皆に言いたいことがあったからちょうどいいよ」
「分かった。じゃあ今日も一緒に帰るか」
「うん」
 そんな話をしていると、学校の校門が見えた。
 しかしなにやら人だかりが出来ている。
「なんでしょう?校庭に何かあるんでしょうか?」
 太助達は人込みの中を抜け、校庭を見ると――
「あ、あれは!!」
 校庭には太助の見たことがない文字が掘られていた。
 先生方がシャベルで文字を埋めようとしているが、いっこうに埋まっていない。
「太助君…あれは…冥降文字だよ…!」
 文字を見た乎一郎の顔がみるみる厳しくなっていく。
「乎一郎、冥降文字って…、それに読めるのか?」
「奴らの使ってる文字だよ、過去に何か役に立つんじゃないかと思って学んだらしい」
「それで……なんて書いてあるんだ?」
「ちょっと待って……オーケー言うよ
『我、強腕の帝、力帝・郷棄(ごうき)。憎き炎の帝に復讐するために地獄より舞い戻った。
 本日この星の時間でいう九時にこの文字が書かれている場所から半径3キロメートル四方に攻撃を仕掛ける。
 他の帝には興味はない、炎の帝を連れてこい!さすれば町への攻撃を止める!しかし来なかった場合は……分かっているな?』」
 時間はただいま八時半、ほぼ絶望的である。
「くそっ時間がない!乎一郎!炎の帝の後継者だと思う奴はいるか?!」
(あの人が炎の帝だとしたら……いやいや!あの人は違う存在じゃないか!)
 乎一郎は頭の中で一人の顔を思い浮かべたが、すぐにかき消した。
「……ううん、居ない…」
「くそっ、とりあえず婁襄達に連絡して来てもらおう!」
「うん」

 婁襄達が来てからの行動は素早かった。
 まず、町中に張った札を用いて、学校を開校記念日だということにして、生徒達全員の記憶を操り家へ送り返した。
 そして再び町中の札を用いて鶴ヶ丘を含むまわりの町に特殊な結界を張った。
 これは限定した空間を違う空間にコピーして、現実空間との関係を絶った空間である。
 中では無音無風、例えコピーされた空間の物を破壊されても、現実世界には何の影響も起きない。
 前回影鬼との戦いでも用いられていた。
 そして、すべての準備が終わったのが、八時五十五分。
「乎一郎、力帝に関して知っていることがあったら教えてくれる?」
「すいません、僕は力帝と戦った事がないので…、聞いた話によると力がものすごく強くて、スピードも遅くはないということくらいしか」
 聞いた婁襄は、厳しい顔をしている。
 力帝と言われて立てた作戦がはずれたのだろう。
 かく言う太助も、力と聞いてスピードが遅いと思っていて、速さでかくらんしようと思っていた。
 婁襄も似たようなことを考えていたのだろうが、乎一郎の言葉で駄目になった様子だ。
 そして無惨にも時刻は九時になった。
 しかし敵は現れない。
 が――

ジリリリリリリリッ!!

 突如けたたましい音が学校の屋上から鳴り響いた。
「……なんだ?」
 皆は戦闘体勢を止め、用心しながら屋上へ向かった。
 と、そこには異様な光景が広がっていた。
 奴らと同じようにフードを被っている奴が、目覚ましい時計を慌てて止めような体勢でいた。
「うわっもう九時じゃん!時間だよ!」
 言葉からして少年くらいだろう。
 少年は、慌てて飛び起きると、屋上の出入り口に佇んでいる太助達を見つけた。
「あれ?お兄さん達どうした……」
 しかし少年は、太助達の手に武器が握られているのを見ると、口を閉ざした。
「なるほどね、僕を殺りに来たんだ」
 その場の空気が変わった。
「お前が力帝なのか?!」
 少年が力を解放しつつある影響で風が蠢いている中、烈境が少年に叫んだ。
「そうだよ。そういうおじさんは精霊みたいだね、でも僕は精霊にも他の帝にも興味はないんだよ。
 興味があるのは炎帝だけ!炎帝が居ないんなら用はないから、約束通り町を破壊するよ!」
 勢いよく風が蠢き、太助達は飛ばされる。
 そんな中、烈境が「俺はおじさんじゃねぇ!」と、叫んでいた。
「出よ!ラクシャサ!」
 宙に浮いている郷棄が右手を掲げると、星宿界を襲った化け物が上空から数十体現れた。
「さぁ、町を破壊し尽くすんだ!」

「仕方がない、二手に分かれよう
 力帝と化け物だ。力帝は、俺、風雪、主、月天、乎一郎、火月、デンだ。
 化け物の方は、残りの奴らで片づけてくれ」
『了解!!』
 散会し、二手に分かれた。
「町の四方に敵が現れてるから、分散して戦うわ
 私とライ、金欧と木蘭、水明と土架、ルーアンとキリュウで、それぞれ四方に散って、なるべく敵を倒すこと!」
『了解!』

「炎天拳技・壱式・火炎弾!」
「氷天舞技・壱式・氷柱舞(つららまい)!」
 風雪の上空からの降ってくる尖った氷柱と、下から突き上げるように昇ってくるいくつもの火炎弾が、宙に浮いている力帝めがけ襲いかかる。
「剛拳昇降!」
 しかし、郷棄は下から突き上げるような体勢から腕を降り上げ氷柱を粉砕、続いて降り上げた右手をそのまま下に付き落とし、いくつもあった火炎弾を、一つ残らず粉砕した。
「来々、車騎!」
「風帝槍技・遠型・風刃!」
「雷神・招来!」
 烈境と風雪の攻撃をかわされたことに怯まず。
 シャオ、乎一郎、デンが間髪入れず、攻撃を仕掛ける。
 郷棄は、一点集中だった攻撃を、すかさず素早い攻撃でかわす。
 そこで郷棄は、反撃にでた。
「そんな程度かい?じゃ、僕も反撃に……」
 しかし、郷棄は言葉を止めた。
 地面に移る二つの影が、自分の影めがけて飛んできたのだ。
「「火龍・奥伝・降火刃!」」
 太助と火月の刃が、郷棄の両斜め上から振り降ろされる。
「ぐっ…!」
 不意打ちとあってか、決定打には至らなかったものの、動きを止めるには十分な傷を負わせられた。
「よしっ」
 郷棄の両肩の布は、傷から染みた血が、どんどん広がっていく。
「よくもやってくれたね……倍返しだ!!」
 言った瞬間、郷棄が消えた。
 そして消えたと同時に――
「がはっ!」
 火月が、勢いよく校舎の壁に吹っ飛ばされた。
「火月!」
 叫ぶ烈境。
 しかし、次は乎一郎が狙われた。
 乎一郎は火月が吹っ飛ばされたと同時に体勢を整えていた。が――

 ドガッ!

 鈍い音とともに、乎一郎が空を舞った。
 五メートル近く飛び上がった乎一郎は、再び鈍い音とともに、地面に叩きつけられた。
「がはっ!」
「乎一郎!」
 太助は叫ぶと同時にデンと背中を合わせた。
「くそっなんて速さだ。ホントに人間なのか?」
「はっ怪しいもんだ」
 太助とデンが背中越しに話していると、郷棄が猛スピードで突っ込んできて二人に話しかけた。
「お兄さん達、そんこと話してる場合じゃないでしょ」
 太助とデンの真横に、郷棄の顔があった。
「「――っ!!」」
 とっさにお互い、背中にバネがあるように飛び去ろうとしたが、郷棄の両腕が、それ以上の速さで二人の腹に強烈な一撃を喰らわした。
「太助様っ!!」
 シャオが太助に近寄ろうとしたが―
「人の心配をするより、自分の心配をした方がいいよ、綺麗なお姉ちゃん」
 かけだした体勢だったシャオの背中を、踵落としのように蹴り落とした。
「うぐっ!」
 校庭にたたずむ三人、烈境、風雪、郷棄だけである。
「さぁ、どうする?もう二人だけだよ?」
「くっ…」
「あなた…アレやりましょう。アレでしとめられなかったら絶望的だけど、あいつに勝てるのはアレだけよ」
 風雪は、敵を睨み続けながら烈境に小声で呟く。
「……そうだな、もう後がないし…」
 ちらっと倒れている太助達に目をやる。
「…時間がない!」
 言うやいなや、烈境と風雪は目を見開き、自分達の精霊器を取り出した。
「炎司る、燃え盛りし鳥よ」
「氷司る、強固たる亀よ」
『我が御名において、抑えたる封印の一部を使いて、我が力となれ!』
 精霊器が淡い光から、強烈な光に変わる。
『朱雀・壱式・飛翔!』
『玄武・参式・拘束!』
 烈境と風雪が使役する、朱雀と玄武が精霊器から現れる。
 精霊器から呼び出された朱雀と玄武は、それぞれの主である烈境と風雪の中に入っていった。
 すると、烈境の背中に天使のような翼が現れた。
 しかし、唯一の違いは、その翼が燃え盛る炎によって作られていたことである。
 一方風雪の方は少々奇怪だった。
 両手が白い蛇にかわっていたのだ。
「な、なんだよ、それ!」
 郷棄は二人の突然の変化に戸惑いを隠せない。
「いくぞっ!」
 二人は二手に分かれた。
 烈境は炎の翼を使い上空へ、風雪は郷棄へ一直線に向かった。
「――っ!」
 郷棄は危険を察知して即座に逃げようとしたが、ある物に体を引っ張られ、動けなくなった。
 見ると、風雪の両手の白蛇は、郷棄を何重にも巻き付いていた。
「くそっ!」
 郷棄は力一杯この拘束から逃れようとしたが、力を入れる分、白蛇の力が強まり締めつれられる。
「ぐぐっ!………!!」
 上空に紅い炎の翼を携えた影が見えた。
 烈境が目を閉じ、目の前で腕をクロスしている。
「朱雀飛翔・烈火朱雀舞!!」
 すると烈境が瞬く間に炎に包まれる。
 しかしその姿は、まさしく朱雀であった。
 朱雀は大きな雄叫びをあげると真っ直ぐ郷棄に向かっていく。
「くそくそくそっ!」
 郷棄は烈境の攻撃を察知し、必死に逃げようとしているが、もがけばもがくほど風雪の拘束力があがっていき、逆に締め付けられる。
 そして、烈境は炎に包まれた体を渾身の力で郷棄にぶつけた―――はずだった。
 烈境が郷棄に当たる直前に、郷棄の体が光を発したのだ。
「「――っ?!」」
 光が発光し終わると、郷棄は風雪の拘束を破り宙に浮いていた。
「ふ〜危ない危ない、まさかこれを使うとは思ってもみなかったけどね」
 言って郷棄は、両腕にある金色のブレスを見せた。
「風帝の人も光帝の人も、まだあの時の武器を使ってなかったからなんとかなったよ」
 ケタケタと笑う郷棄。
 烈境と風雪は最後の大技をあっさり破られたが、未だ体勢を崩していない。
 しかし表情には半ば諦めの色が伺える。
「君達はよくやったよ、僕をここまで追いつめて、このブレスまで使わせたんだから
 でももうあきちゃった、だから……死んで♪」
 その瞬間、その場から郷棄の姿が消えた。
「―――っ!!」
 身の危険を察知した風雪はとっさに防御しようとする。
「弐式・甲へっ!」
 しかし、詠唱中に風雪は上空高くへ飛ばされた。
 先ほどの乎一郎より遙か高く。
「風雪!!」
 烈境はいまだ生えている翼で、風雪の元に羽ばたく。
烈境が羽ばたくと同時に、郷棄が風雪を叩き落とした。
「くっ!間に合うか?!」

 ―――ドクンッ!

 烈境の心臓がはねる。
 以前も似たようなことがあったと思わせる既視感に襲われる。

 ―――ドクンッ!
(俺はまたあいつを守れないのか……!)

 ―――ドクンッ!

 烈境の脳裏に過去の記憶が浮かぶ。
 それは今朝見た夢と同じ夢だった。
(ちがう……今度は……今度は同じ過ちをしない!)

 ―――ドクンッ!

「うおおおおぉぉぉ!ここだぁ!」
 烈境は風雪よりやや下の方めがけて飛んだ。
 そして目一杯炎の翼を広げた。
「炎帝拳武・百炎烈撃!!」
 烈境の炎に包まれた右手が数百の弾丸になる。
 と、そこに再び風雪に強烈な一撃をあびせようとする体勢で、郷棄は現れた。
「ええぇ?!」
 攻撃の体勢で現れた郷棄は、突然の攻撃に対処する間もなく烈境の放った攻撃に直撃した。
「よしっ!」
 郷棄を吹っ飛ばし、そのままの体勢で落下し続ける風雪を抱きしめながら着地する。
 そして、風雪を地面に横たえると。
「炎帝・紅境(こうけい)の後継者、鍛身炎天烈境、舞い上がる炎のように覚醒完了!」

 ヒュ〜〜〜

「……やっぱり俺はピーーーー(自主規制)みたいな熱血キャラにはなれないな」
 烈境が著作権の侵害ギリギリの発言をしたが、悲しいことにツッコミが誰も居なかった。
 そのかわり郷棄がボロボロの体を引きずって現れた。
「くくくっ、おじさんが炎帝だったんだね。
 もう少し早くわかってれば、真っ先におじさんを殺したのに」
「俺はおじさんじゃねぇ!それにお前に俺を殺すことは出来ねぇよ。
 俺は決めちまったからな、これを決めたからには俺は全力でこれを守る!」
 しばし睨み合う二人。
「……ふんっ!いつまでそれを守れるかな?昔のこともあるから、わからないとは思うけど、今日は退散するよ。
 でもいつかこの恨みは晴らさせてもらうからね」
 そう言って郷棄は、自らの影に沈んでいった。
 烈境はそれを睨めつけながら見送った。
「守ってみせるさ…だからもう後悔しない」
 と、そこへ――
「烈境ー!」
 どこからか婁襄が呼ぶ声が聞こえた。
「婁襄」
 上空から、二手に分かれた化け物グループの面々が次々と現れた。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。俺なんかより、主達の方が心配だ、なにせ強烈な打撃を喰らったからな」
 それを聞いて、ライと金欧が反応した。
「七梨君!デン!」
(火月!)
 ライは一緒に倒れている太助とデンの所に、大声で名前を呼びながら駆け寄り、金欧は無言で火月の所に向かった。
「ふぃ〜疲れた〜」
 二人が駆け寄るのを見ると、烈境は急に脱力感に襲われ、地面に座り込んでしまった。
「大丈夫ですか〜?」
「ああ、大丈夫だが、だが『融合』まで使っちまったから半端じゃなく眠いがな」
 欠伸をして苦笑したが、水明はかなり驚いたようだ。
「融合まで使ったのですか?!」
「ああ」
「融合は私が使役していたときも、使うのをおそれた秘術よ?そんなにも強かったの?」
「………ああ、俺と風雪で、協力技を使ってまでも奴には破れてしまった」
「そんな!それじゃあどうやって倒したの?!」
「…………後で言ってやる、だからとりあえず俺達を主の家に運んで…く…れ……」
 烈境は胡座をしたままの体勢で眠りに落ちてしまった。
「はぁ…」
 そんな烈境に呆れたようにため息を出した婁襄は。
「やっぱり、宿命(さだめ)には逆らえないのね」
 小声で呟いた婁襄の言葉を聞いたのは誰もいなかった。



座談会
烈「はやっ!」
グ「どうだっ!」
風「確かに早いわね」
婁「前回は二十日だったけど今回は十五日ね」
グ「この調子で行きたいよなぁ」
烈「で、今回は俺が覚醒?」
グ「うん、今まで太助、乎一郎、お前が覚醒した」
風「次は誰?」
グ「それを言っちゃまずいでしょ」
婁「じゃあヒント!」
グ「う〜ん……女の子で、人気投票では高めの順位って言ったら分かるかな?」
烈「………(考え中)……ああ!あいつか!」
風「あの子は気むずかしそうだけど、心理描写大丈夫?」
グ「そこまで見抜くか……確かにあいつは俺的に扱いにくいキャラだけど、頑張る!」
烈「まだまだ解明されていない謎もあるから頑張れや」
グ「うん」
風「で、またネタがないのね」
婁「まぁ期間が期間だからしょうがないっちゃあしょうがないけど」
グ「すまん」
烈「じゃあ今回もこの辺で!」
グ&烈&風&婁「再来!!」


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